こんな方へ
- 風俗営業を行う店舗で、何時まで営業できるか確認したい
- 自分の店舗が立地する地域で営業時間が延長されているか確認したい
- 営業時間違反をした場合の効果(行政処分・刑事罰)を整理したい
- 深夜営業を行う際に必要な措置(騒音対策・苦情処理)を確認したい
- 風俗営業と深夜酒類提供飲食店の営業時間の違いを理解したい
この記事でわかること
- 風俗営業の営業時間の原則(午前0時から午前6時まで営業禁止・国法直接規律)
- 条例による延長・短縮の仕組み(条例委任部分)
- 深夜営業時に必要な措置(騒音対策・苦情処理)
- 営業時間違反の効果(行政処分が中心。第13条違反それ自体には独立の罰則規定なし)
- 行政処分違反・接待を伴う深夜営業の重い罰則(第49条・令和7年改正で大幅強化)
- 風俗営業と深夜酒類提供飲食店の制度的な違い
結論:原則は「午前0時〜午前6時の営業禁止」だが、都道府県条例で延長・短縮されることがある
根拠条文:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第13条第1項・[同法 第13条第2項]
風俗営業の営業時間は次の二層構造で規律されています:
| 層 | 内容 |
|---|---|
| 国法直接規律 | 原則として午前0時から午前6時まで営業禁止(第13条第1項本文)・全国一律 |
| 条例委任 | 特定地域・特定日における延長(第13条第1項ただし書)・特定地域における短縮(第13条第2項)・地域差あり |
重要: 営業時間の延長・短縮は都道府県条例によって定められるため、同じ風俗営業でも都道府県・地域によって実際に営業できる時間が異なります。「○○県では午前1時まで」という一般論が、自分の営業所の所在地域にも当てはまるとは限りません。
令和7年改正との関係: 営業時間そのものに対する令和7年改正の直接的影響は限定的ですが、無許可営業の罰則(第49条)が大幅に強化されたため、接待を伴う深夜営業を許可なく行うリスクは令和7年6月28日施行以降に大幅に高まりました(個人:5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金/法人:3億円以下の罰金)。
今すぐやること
- 自分の営業所が立地する都道府県の条例を確認する(営業時間の延長地域・短縮地域に該当するか)
- 管轄警察署(生活安全課等)に営業可能時間を確認する(条例の解釈・適用の確認)
- 深夜営業を行う場合は、騒音対策・苦情処理体制を整える(第13条第3項・第4項の遵守事項)
- 「接待」を行う場合は、深夜帯の営業可能性を含めて1号営業の許可要件を確認する(無許可で接待を伴う深夜営業を行うと第49条の重い罰則対象)
判断フロー:自分の営業所の営業可能時間を確認する
判断フローでは、自分の営業所の所在地・営業種別から営業可能時間を確認します。
自分の営業所はどの規制を受けるか?
実務上の重要事項: 条例の延長地域・短縮地域の指定は地域単位(番地レベル)で行われていることが多いため、物件ごとに管轄警察署への確認が必要です。
① 風俗営業の営業時間の原則(第13条第1項本文・国法直接規律)
→ 風俗営業は、原則として午前0時から午前6時まで営業してはなりません。これは国法直接規律として全国一律に適用されます。
根拠条文:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第13条第1項
原則の内容
風営法第13条第1項本文は、次のように定めています:
風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。
つまり、原則として:
- 風俗営業の営業時間:午前6時から午前0時まで(第13条第1項本文の反対解釈)
- 深夜(午前0時〜午前6時)の営業は禁止
これは1号〜5号のすべての風俗営業に適用される原則です。
「深夜」の法令上の定義
風営法第13条第1項は「深夜」を「午前零時から午前六時までの時間」と定義しています。この定義は風営法第13条以降の規定で一貫して用いられる法令上の用語です。
② 条例による延長(第13条第1項ただし書・条例委任)
→ 特定の地域・特定の日について、都道府県条例によって営業時間を延長することができます。延長の範囲・対象地域は条例ごとに異なります。
根拠条文:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第13条第1項ただし書・各都道府県条例
延長の仕組み
風営法第13条第1項ただし書は、都道府県が条例で次の2つのケースについて延長することを認めています:
| 延長の類型 | 対象 |
|---|---|
| 第1号:特定日の延長 | 都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として条例で定める日(例:年末年始等) |
| 第2号:特定地域の延長 | 午前0時以後において風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準に従い条例で定める地域(例:繁華街等) |
延長の限界
延長の上限時間は条例ごとに異なりますが、政令で定める基準(風営法施行令第7条)により規制の枠組みが定められています。一般的には、延長地域でも午前1時までとされることが多いですが、東京都の特定地域等では別の延長が認められている場合があります。
延長地域の指定例
参考までに東京都の場合、条例による営業時間延長許容地域として一定の地域が指定されており、当該地域では特定日(年末年始等)または平常時に午前1時まで延長されている場合があります。各都道府県の条例で具体的な地域・時間が定められているため、管轄警察署への確認が必要です。
延長された場合の遵守事項(第13条第3項・第4項)
延長された時間帯(午前0時から条例で定める時まで)で営業する場合、風俗営業者は次の遵守事項を負います:
- 第13条第3項:客が大声若しくは騒音を発し、又は酒に酔つて粗野若しくは乱暴な言動をすることその他営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼすことがないようにするために必要な措置を講じる
- 第13条第4項:営業所ごとに、苦情の処理に関する帳簿を備え付け、必要な事項を記載するとともに、苦情の適切な処理に努める
これらの具体的な措置は風営法施行規則(第27条・第28条)で定められています。
③ 条例による短縮(第13条第2項・条例委任)
→ 善良の風俗・清浄な風俗環境を害する行為等を防止する必要があるときは、都道府県が条例によって営業時間を短縮することもできます。
根拠条文:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第13条第2項
短縮の仕組み
風営法第13条第2項は、都道府県が条例によって、地域を定めて営業時間を制限(短縮)することを認めています。短縮の枠組みは政令で定める基準に従って条例で定められます。
短縮の対象となるケースの例
- 住宅密集地に隣接する地域での営業時間の前倒し
- 特定の業態(4号営業のまあじゃん屋等)に対する朝の時間帯の制限
- 学校・図書館等の近接地域での営業時間の制限
具体的な短縮内容は都道府県条例によって異なるため、管轄警察署への確認が必要です。
④ 営業時間違反の効果
→ 第13条違反それ自体には独立の罰則規定が置かれていません。違反は行政処分(指示・営業停止・許可取消し)の対象となり、行政処分違反は第49条の重い罰則対象になります。
根拠条文:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第25条(指示)・[同法 第26条](営業の停止等)・[同法 第49条](罰則)
営業時間違反の処分構造
| 違反内容 | 効果 |
|---|---|
| 第13条第1項違反(深夜営業) | 直接の刑事罰は原則なし。第25条による指示・第26条による営業停止・許可取消しの対象 |
| 行政処分(指示・営業停止)違反 | 第49条により5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金(令和7年6月28日改正で大幅強化) |
| 接待を伴う深夜営業(許可不取得) | 無許可1号営業として第49条の罰則対象。同上 |
| 法人に対する両罰規定 | 第57条により3億円以下の罰金(令和7年6月28日改正で大幅強化) |
営業時間違反の典型的な行政処分の流れ
- 第25条による指示処分(初回・軽微)
- 指示処分に従わない・違反継続の場合に営業停止処分(20日以上6月以下)
- 重大・反復違反の場合に許可取消処分
「営業時間違反 + 無許可1号営業」の二重違反リスク
特に注意すべきは、午前0時以降に接待を行いつつ営業を継続した場合です。このケースは次の二つの違反が重畳します:
- 営業時間違反(第13条第1項違反)
- 接待を行うのに1号営業の許可を受けていない場合は無許可1号営業(第3条第1項違反 → 第49条で5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金)
令和7年改正による第49条の罰則大幅強化により、このような二重違反のリスクは令和7年6月28日施行以降に大幅に高まりました。
無許可1号営業の詳細は 風営法の許可要件 および 1号営業と2号営業の違い を参照してください。
⑤ 深夜酒類提供飲食店との関係(別制度)
→ 接待を行わずに深夜(午前0時以降)に酒類を提供する飲食店は「深夜酒類提供飲食店営業」として、風俗営業とは別の届出制度の対象になります。
根拠条文:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条第13項第4号・[同法 第33条]
風俗営業と深夜酒類提供飲食店の制度的な違い
| 比較項目 | 風俗営業(1〜5号) | 深夜酒類提供飲食店営業 |
|---|---|---|
| 接待 | 1号営業は接待ありが要件 | 接待不可(接待を行うと無許可1号営業に該当) |
| 営業時間 | 原則午前6時〜午前0時 + 条例延長 | 深夜(午前0時以降)に営業可能(届出制) |
| 制度 | 許可制(公安委員会の許可) | 届出制(公安委員会への届出) |
| 該当条文 | 第3条(許可) | 第33条(届出) |
重要: 深夜酒類提供飲食店として届出をした店舗が接待を行うと、風俗営業の許可を受けていない状態で1号営業を行っていることになり、無許可1号営業として第49条の罰則対象となります。「接待をしない」ことが、深夜酒類提供飲食店として営業を継続する大前提です。
深夜酒類提供飲食店の届出の詳細は 深夜酒類提供飲食店の届出 を参照してください。
⑥ 営業時間が地域によって異なる仕組み
→ 同じ風俗営業でも都道府県・地域によって営業可能時間が異なるのは、条例委任構造によるものです。
根拠条文:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第13条・各都道府県条例
地域差が生じる理由
風営法第13条が定める営業時間制限は、原則部分(第13条第1項本文)が国法直接規律として全国一律ですが、延長・短縮部分(第13条第1項ただし書・第2項)は条例委任となっているため、都道府県・地域によって運用が異なります。
主な地域差の例:
- 延長地域に指定されているか否か(同じ都道府県内でも繁華街と住宅地で異なる場合があります)
- 延長された場合の上限時間(午前1時・午前2時等)
- 短縮地域に指定されているか否か(特定業態・特定地域)
条例委任の全体構造については 風営法と条例の関係 を参照してください。
他の都道府県への出店・移転時の注意点
他の都道府県に出店・移転する場合、営業時間の延長・短縮の規定は改めて確認することが必要です。「前の都道府県で午前1時まで営業できたから大丈夫」という判断は、移転先の都道府県では通用しない場合があります。
⑦ 深夜営業時に必要な措置(第13条第3項・第4項)
→ 延長地域・延長日で午前0時から条例で定める時まで営業する場合、風俗営業者は騒音対策と苦情処理体制の整備が必要とされます。
根拠条文:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第13条第3項・第4項・風営法施行規則第27条・第28条
第13条第3項:迷惑防止措置
午前0時から条例で定める時まで営業する場合、風俗営業者は次の措置を講じる必要があります:
- 客が大声・騒音を発しないように防止する措置
- 客が酒に酔って粗野・乱暴な言動をしないように防止する措置
- 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼすことがないようにする措置
具体的な措置の内容は風営法施行規則第27条で定められており、国家公安委員会規則委任となっています。
第13条第4項:苦情処理の帳簿
延長時間帯に営業する場合、風俗営業者は次の対応が必要とされます:
- 営業所ごとに、苦情の処理に関する帳簿を備え付ける
- 必要な事項を記載する
- 苦情の適切な処理に努める
具体的な記載事項は風営法施行規則第28条で定められています。
このテーマで使う条文一覧
| 条文 | 法令 | 区分 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 第13条第1項本文 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 中核 | 営業時間の原則(午前0時から午前6時まで営業禁止・国法直接規律) |
| 第13条第1項ただし書 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 中核 | 条例による延長(条例委任) |
| 第13条第2項 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 中核 | 条例による短縮(条例委任) |
| 第13条第3項 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 周辺 | 延長時間帯の迷惑防止措置(国家公安委員会規則委任) |
| 第13条第4項 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 周辺 | 延長時間帯の苦情処理帳簿(国家公安委員会規則委任) |
| 第25条 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 周辺 | 公安委員会による指示処分 |
| 第26条 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 周辺 | 公安委員会による営業停止・許可取消し |
| 第33条 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 周辺 | 深夜における酒類提供飲食店営業の届出 |
| 第49条 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 中核 | 無許可営業等の罰則(行政処分違反・無許可1号営業を含む。令和7年6月28日改正で大幅強化) |
| 第57条 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(本法) | 周辺 | 両罰規定(令和7年6月28日改正で大幅強化) |
まとめ
- 風俗営業の営業時間は、原則として午前0時から午前6時まで営業禁止です(第13条第1項本文・国法直接規律として全国一律)
- 都道府県条例によって、特定地域・特定日について延長または短縮することができます(第13条第1項ただし書・第13条第2項・条例委任)
- 延長時間帯で営業する場合は、騒音対策(第13条第3項)と苦情処理帳簿(第13条第4項)が必要とされます
- 営業時間違反そのものには独立の罰則規定が置かれていませんが、行政処分(指示・営業停止・許可取消し)の対象となります
- 行政処分に違反した場合は、第49条により5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金(令和7年6月28日改正で大幅強化)の対象となります
- 法人の場合は両罰規定により3億円以下の罰金(第57条・令和7年6月28日改正で大幅強化)の対象となります
- 接待を行いつつ深夜営業をすると、「営業時間違反」と「無許可1号営業」の二重違反になる可能性があり、第49条の重い罰則対象になります
- 深夜酒類提供飲食店営業(届出制)は風俗営業とは別制度ですが、届出のみで接待を行うと無許可1号営業に該当します
- 営業時間の延長・短縮の具体的な内容は都道府県条例によって異なるため、出店前および他都道府県への移転前に管轄警察署への確認が必要です
営業時間の延長・短縮地域の指定状況や、具体的な営業可能時間は個別の事情によって異なるため、管轄警察署(生活安全課等)への事前相談および行政書士等の専門家への確認をおすすめします。
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