こんな方へ
- 建設業許可を取得したいが、経営業務管理責任者の要件を満たしているか確認したい
- 令和2年改正で経管要件がどう変わったか確認したい
- 経営経験年数と証明書類の準備方法を知りたい
- 個人事業から法人成りした場合の扱いを確認したい
- 経管が退職した場合の対応を知りたい
この記事でわかること
- 経営業務管理責任者(経管)の定義と役割
- 改正後(令和2年〜)の経管要件の全体像
- 経管が満たすべき経験の種類と年数
- 経験の証明方法と必要書類
- 経管の「常勤性」の意味と注意点
- 経管が不在になった場合のリスク
結論:経管は「役員等としての建設業の経営経験5年以上」または「改正後の新たなルート」で要件を充足できる
根拠条文:建設業法 第7条第1号・建設業法施行規則 第7条(令和2年改正)
| ルート | 要件の概要 |
|---|---|
| ルートA(従来型) | 建設業の役員等として5年以上の経営経験(許可業種に限らず、建設業一般でよい) |
| ルートB(改正後追加) | 建設業の役員等として2年以上+その他業種の役員等として3年以上の経験(合計5年) |
| ルートC(改正後追加) | 常勤役員等を直接補佐する者として、一定の経営経験と財務・労務・業務体制の整備 |
重要: 令和2年10月1日施行の改正により、経営業務管理責任者の「個人」への要件配置から、「法人・個人の適切な体制整備」へと要件の枠組みが変更されました。要件の具体的な内容・証明方法は、申請先の都道府県によって異なる場合があります。必ず申請前に管轄窓口に確認することを推奨します。
今すぐやること
- 経管候補者の経歴(役員歴・経営経験)を確認する(在籍していた会社の業種・役職・年数)
- 証明書類が揃えられるか確認する(登記簿謄本・確定申告書・請求書等)
- 候補者が常勤できるか確認する(他の会社との兼務は制約があります)
- 申請先(都道府県または地方整備局等)に事前相談する(証明方法の詳細は地域によって異なります)
判断フロー①:経管の要件を満たしているか
経管候補者の経営経験は要件を満たしているか?
ルートAで充足できる場合
- 建設業の役員等として5年以上の経験がある
- 複数社での経験を合算できる場合がある(証明書類が必要)
ルートBで充足できる場合
- 建設業の役員等として2年以上+その他業種の役員等として3年以上の経験がある
「役員等」の範囲・経験年数の計算方法・証明書類の要件は都道府県によって異なる場合があります。事前に申請先窓口に確認することを強く推奨します。
判断フロー②:候補者が常勤できるか
経管候補者は常勤の要件を満たしているか?
常勤できる
- 申請する会社のみに勤務し、他の会社の役員・従業員でない
- 個人事業主として申請する場合(自身が経管となる場合)
注意が必要
- 他の会社の代表取締役・取締役を兼任している
- 非常勤役員・社外取締役として他社に在籍している
常勤性の判断は実態で行われます。名義上の退職・非常勤への変更があっても、実態として兼務していると判断された場合は常勤性が認められないとされることがあります。
① 経営業務管理責任者(経管)とは
→ 建設業の経営業務について、総合的に管理した経験を持ち、常勤で職務に当たる者です。
根拠条文:建設業法 第7条第1号
経管は、建設業の請負契約の適切な締結・履行・管理等について、責任を持って経営業務を行う立場にある者が対象とされています。
「経営業務」とは: 請負契約の見積り・入札・契約の締結、工事施工の管理、財務管理等、建設業の経営に必要な業務全般を指します。現場作業員や事務員としての業務は、経営業務には含まれないとされています。
② 令和2年改正による要件の変化
→ 令和2年10月1日施行の建設業法改正により、経管に関する要件の枠組みが変更されました。
根拠条文:建設業法施行規則 第7条(令和2年改正)
改正前(〜令和2年9月30日)
特定の「個人」が経管として要件を満たす必要がありました。原則として、建設業の役員等として5年以上の経験を持つ個人が求められていました。
改正後(令和2年10月1日〜)
「個人」への要件配置から、法人・個人事業主の体制整備へと枠組みが変わりました。ルートA・B・Cの複数の充足方法が整理されました。
改正後は、特定の個人が単独で要件を満たすかではなく、常勤役員等および補佐体制を含めて、会社として経営業務を適切に管理できる体制が整備されているかが判断されます。
改正のポイント:
- 建設業の経験だけでなく、他業種の経営経験との組み合わせ(ルートB)が認められるようになりました
- 経験のある者を補佐する体制(ルートC)が認められるようになりました
③ 各ルートの詳細
ルートA:建設業の役員等として5年以上の経験
→ 最も一般的なルートです。建設業の役員等として、通算5年以上の経営経験が必要とされます。
「役員等」の範囲(主な例):
- 株式会社の取締役
- 持分会社の業務執行社員
- 個人事業主(建設業を営んでいた場合)
- 支配人・令3条使用人(建設業法第3条の使用人)
注意: 監査役・非常勤役員は原則として「役員等」に含まれないとされています。また、従業員として建設業に携わっていた経験は経管の経験にはならないとされています。
経験年数の計算: 複数の会社での経験を合算することができる場合があります。ただし、同じ期間を複数社でダブルカウントすることはできないとされています。
業種の制限: ルートAは、建設業全体(業種は問いません)での経験が対象です。許可を受けようとする業種(土木・建築等)に限定されません。
個人事業主からの法人成りの場合: 個人事業主として建設業を営んでいた経験は、適切に証明できれば経管の経験として評価される場合があります。証明方法は申請先に確認してください。
ルートB:建設業2年+他業種3年(合計5年)
→ 建設業での経験が2年以上、かつその他業種での役員等経験が3年以上ある場合に適用できます。
建設業での経験年数が5年に満たなくても、他業種での経営経験と組み合わせることができるルートです。申請先によって証明方法の要件が異なる場合があります。
ルートC:常勤役員等と補佐する者の組み合わせ
→ 経営経験のある常勤役員等を配置しつつ、財務・労務・業務体制を整備するルートです。
ルートCは、経営経験を持つ者が一定の役職にある一方で、各専門分野を補佐する体制を整備することで要件を満たすルートです。要件の詳細は都道府県によって異なる場合があり、実務上は要件確認が厳格に行われる傾向があります。適用を検討する場合は、申請先に事前相談することを推奨します。
④ 経験の証明方法
→ 経管の経営経験は、客観的な書類で証明する必要があります。証明書類の要件は都道府県によって異なります。
根拠条文:建設業法施行規則 第7条
主な証明書類の例
| 証明したい事実 | 証明書類の例 |
|---|---|
| 役員であったこと | 登記事項証明書(法務局発行)・株主総会議事録等 |
| 建設業を営んでいたこと | 建設業許可証の写し・建設工事の請負契約書・注文書等 |
| 経験期間 | 確定申告書(個人事業主の場合)・厚生年金の記録等 |
| 在籍期間 | 健康保険・厚生年金の加入記録・源泉徴収票等 |
重要: 経験の「質」も問われます。単に役員として在籍していた期間ではなく、建設業の経営業務を実質的に管理していた経験であることが求められます。経験の内容が判断されるため、証明書類の内容が重要です。
証明書類が不足または不備の場合、要件を満たさないと判断される可能性があります。申請前に申請先窓口に確認することを推奨します。
⑤ 常勤性の要件
→ 経管は、申請する会社に常勤していることが必要とされます。
「常勤」とは、その会社において専ら業務に従事することをいいます。実態として常勤性が認められるかが判断のポイントとなります。
常勤性に関する注意点:
- 他の会社の代表取締役・常勤取締役を兼任している場合は、常勤性が認められないとされることがあります
- 自社の非常勤役員が経管となることは、原則として認められないとされています
- 経管は、申請する営業所(主たる営業所)に常時勤務することが原則とされています
⑥ 経管が不在になった場合のリスク
→ 経管が退職・死亡等して後任を確保できない場合は、建設業許可の取消事由となる場合があります。
根拠条文:建設業法 第29条(許可の取消し)・建設業法 第11条(変更届)
変更届の提出義務
経管に変更が生じた場合、変更後2週間以内に変更届を提出することが必要とされます。未提出の場合は行政処分の対象となる可能性があります。
後任確保の重要性
経管の退職等が見込まれる場合は、早めに後任を確保することが重要です。後任が確保できないまま要件を欠いた状態が続く場合、許可の取消しにつながる可能性があります。
このテーマで使う条文一覧
| 条文 | 法令 | 区分 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 第7条第1号 | 建設業法(本法) | 中核 | 経営業務管理責任者の要件(一般建設業) |
| 第7条 | 建設業法施行規則 | 中核 | 経管要件の詳細・各ルートの規定(令和2年改正) |
| 第11条 | 建設業法(本法) | 周辺 | 変更届の提出義務(経管変更時は2週間以内) |
| 第29条 | 建設業法(本法) | 周辺 | 許可の取消し(要件を欠いた場合) |
まとめ
経管制度は、建設業の経営業務を会社として継続的に管理できる体制(継続的経営管理体制)を確保するための制度です。常勤性・後任確保・変更届・取消リスクは、いずれもこの体制の維持を支える要素として位置づけられます。
- 経管は建設業の役員等として5年以上の経営経験(ルートA)が基本ですが、令和2年改正により複数のルートが整備されました
- 役員・事業主としての経験が必要とされます。従業員・現場作業員としての経験はカウントされないとされています
- 経験の「年数」だけでなく「実質的に経営業務を管理した経験」であることが求められます
- 常勤性が必要とされます。他社との兼任は実態で判断されます
- 証明書類の要件は都道府県によって異なります。申請前に窓口への確認が必須です
- 証明書類が不足・不備の場合、要件を満たさないと判断される可能性があります
- 経管に変更が生じた場合は変更後2週間以内に変更届の提出が必要とされます。未提出は行政処分の対象となる可能性があります
経管の要件該当性・証明方法は個別の事情によって大きく異なるため、申請先窓口への事前相談および行政書士等の専門家への確認をおすすめします。
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