国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
この法令の概要
第一条
この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とする。
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
第三条
我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とする。
第四条
日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国からの子の返還を実現するための援助(以下「外国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。
外国返還援助の申請(以下「外国返還援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。
前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。
外国返還援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局(条約第六条に規定する中央当局をいう。以下同じ。)を経由してすることができる。
この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。
第五条
外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、政令で定めるところにより、次に掲げる機関及び法人(第十五条第一項において「国の行政機関等」という。)の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに申請に係る子及び申請に係る子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該氏名又は当該住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができる。
前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。
外務大臣は、前項の規定により提供された情報が、申請に係る子が日本国内に所在していることを示すものであるが、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の所在を特定するために十分でない場合には、外務省令で定めるところにより、都道府県警察に対し、当該情報を提供して、これらの者の所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができる。
前項に規定するもののほか、外務大臣からの第二項の規定により提供された情報及び前項の規定による都道府県警察の措置によって得られた情報の提供は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。
第六条
外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第八条第一項の規定により当該外国返還援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定(以下「外国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が第四条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して外国返還援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第八条第二項において同じ。)をしなければならない。
外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。
第七条
外務大臣は、外国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国返還援助申請を却下する。
外務大臣は、前項の規定により外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。
第八条
外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、外国返還援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第四条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により外国返還援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。
外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。
第九条
外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、申請に係る子について子の返還又は申請者との交流を申請者及び申請に係る子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができる。
第十条
外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならない。
前項の規定による通告は、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第六条第一項の規定による通告とみなして、同条第二項及び第三項並びに同法第七条及び第八条の規定を適用する。
第十一条
日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国への子の返還を実現するための援助(以下「日本国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。
第四条第二項及び第三項の規定は、日本国返還援助の申請(以下「日本国返還援助申請」という。)について準用する。
この場合において、同条第二項第一号中「第七条第一項第四号」とあるのは「第十三条第一項第四号」と、同項第四号中「条約締約国」とあり、及び同項第五号中「申請に係る子の常居所地国」とあるのは「日本国」と読み替えるものとする。
第十二条
外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、日本国返還援助の決定(以下「日本国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、日本国返還援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。
外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十四条に規定する措置をとるものとする。
外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。
第十三条
外務大臣は、日本国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国返還援助申請を却下する。
外務大臣は、前項の規定により日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。
第十四条
外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十一条第二項において準用する第四条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。
外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。
第十五条
外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所又はその他の審判を行う機関(以下この項及び次項において「外国裁判所等」という。)に係属しており、当該条約締約国の中央当局から当該子の返還に係る子の日本国内における心身、養育及び就学の状況その他の生活及び取り巻く環境の状況に関する情報の提供を求められた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び当該子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該情報の提供を求めることができる。
前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、次の各号のいずれにも該当するときは、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。
外務大臣は、前項の規定により提供された情報を、第一項に規定する中央当局に対してのみ提供することができる。
第十六条
日本国内に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「日本国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。
日本国交流援助の申請(以下「日本国交流援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。
前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。
日本国交流援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局を経由してすることができる。
この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。
第十七条
外務大臣は、日本国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第十九条第一項の規定により当該日本国交流援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、日本国交流援助の決定(以下「日本国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が前条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して日本国交流援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第十九条第二項において同じ。)をしなければならない。
外務大臣は、日本国交流援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。
第十八条
外務大臣は、日本国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国交流援助申請を却下する。
外務大臣は、前項の規定により日本国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。
第十九条
外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、日本国交流援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第十六条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により日本国交流援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。
外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。
第二十条
第五条、第九条及び第十条の規定は、外務大臣に対し日本国交流援助申請があった場合について準用する。
この場合において、第五条第四項第一号中「第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは」とあるのは「子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は」と、同項第二号中「第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは」とあるのは「子との交流に関する事件又は」と、「これらの」とあるのは「当該」と、第九条中「子の返還又は申請者」とあるのは「申請者」と読み替えるものとする。
第二十一条
日本国以外の条約締約国に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国内に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「外国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。
第十六条第二項及び第三項の規定は、外国交流援助の申請(以下「外国交流援助申請」という。)について準用する。
第二十二条
外務大臣は、外国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、外国交流援助の決定(以下「外国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、外国交流援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。
外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十四条に規定する措置をとるものとする。
外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。
第二十三条
外務大臣は、外国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国交流援助申請を却下する。
外務大臣は、前項の規定により外国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。
第二十四条
外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十一条第二項において準用する第十六条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。
外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨を通知しなければならない。
第二十五条
第十五条の規定は、外務大臣に対し外国交流援助申請があった場合について準用する。
この場合において、同条第一項中「日本国への子の返還」とあるのは「申請に係る子についての子との交流」と、「当該子の返還に係る子」とあるのは「申請に係る子」と読み替えるものとする。
第二十六条
日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができる。
第二十七条
裁判所は、子の返還の申立てが次の各号に掲げる事由のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならない。
第二十八条
裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。
ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。
裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。
裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。
ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。
第二十九条
子の返還に関する事件(第三十二条第一項に規定する子の返還申立事件、第百二十一条の規定による調査及び勧告の事件並びに第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件をいう。以下同じ。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
第三十条
裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならない。
第三十一条
この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第三十二条
子の返還申立事件(第二十六条の規定による子の返還の申立てに係る事件をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。
子の返還申立事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。
第三十三条
一の申立てにより数人の子についての子の返還を求める場合には、前条の規定により一人の子についての子の返還の申立てについて管轄権を有する家庭裁判所にその申立てをすることができる。
第三十四条
管轄裁判所が法律上若しくは事実上裁判権を行うことができないとき、又は裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、最高裁判所は、申立てにより、管轄裁判所を定める。
第三十五条
裁判所の管轄は、子の返還の申立てがあった時を標準として定める。
第三十六条
当事者は、第一審に限り、合意により第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所の一を管轄裁判所と定めることができる。
前項の合意は、子の返還の申立てに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
第三十七条
裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄権を有する家庭裁判所に移送する。
家庭裁判所は、前項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。
第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所は、第一項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を自ら処理することができる。
家庭裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属する場合においても、当該子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を他の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。
第一項、第二項及び前項の規定による移送の裁判並びに第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二十二条の規定は、子の返還申立事件の移送の裁判について準用する。
第三十八条
裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。
ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。
前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。
第三十九条
裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。
当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。
ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
第四十条
合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避については、その裁判官の所属する裁判所が裁判をする。
前項の裁判は、合議体でする。
裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。
除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで子の返還申立事件の手続を停止しなければならない。
ただし、急速を要する行為については、この限りでない。
次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。
前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は子の返還申立事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。
第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、子の返還申立事件の手続は、停止しない。
除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第四十一条
裁判所書記官の除斥及び忌避については、第三十八条、第三十九条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。
裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。
ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。
裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。
ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。
第四十二条
家庭裁判所調査官の除斥については、第三十八条並びに第四十条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。
家庭裁判所調査官について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。
家庭裁判所調査官の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官の所属する裁判所がする。
第四十三条
当事者能力、子の返還申立事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理、手続行為をするのに必要な授権及び法定代理権の消滅については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十三条、第三十四条第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定を準用する。
未成年者及び成年被後見人は、法定代理人の同意を要することなく、又は法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。
被保佐人又は被補助人について、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。
後見人が他の者がした子の返還の申立て又は抗告について手続行為をするには、後見監督人の同意を要しない。
後見人が次に掲げる手続行為をするには、後見監督人の同意がなければならない。
第四十四条
親権を行う者又は後見人は、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。
第四十五条
裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、子の返還申立事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。
特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。
裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。
特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。
第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第四十六条
法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。
第四十七条
当事者となる資格を有する者は、当事者として子の返還申立事件の手続に参加することができる。
裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者を、当事者として子の返還申立事件の手続に参加させることができる。
第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。
第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第四十八条
子の返還申立事件において返還を求められている子は、子の返還申立事件の手続に参加することができる。
裁判所は、相当と認めるときは、職権で、返還を求められている子を、子の返還申立事件の手続に参加させることができる。
第一項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
裁判所は、子の返還申立事件の手続に参加しようとする子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して当該子が当該手続に参加することが当該子の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出を却下しなければならない。
第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第一項又は第二項の規定により子の返還申立事件の手続に参加した子(以下単に「手続に参加した子」という。)は、当事者がすることができる手続行為(子の返還の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。
ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、手続に参加した子が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。
第四十九条
裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を子の返還申立事件の手続から排除することができる。
前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第五十条
法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。
ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。
前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。
第五十一条
未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人(以下この条において「未成年者等」という。)が手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。
未成年者等が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。
前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し未成年者等が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。
第五十二条
手続代理人は、委任を受けた事件について、参加及び強制執行に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。
手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。
手続代理人の代理権は、制限することができない。
ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。
前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。
第五十三条
民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)、第三十六条第一項及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。
第五十四条
子の返還申立事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。
第五十五条
子の返還申立事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、各自の負担とする。
裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び手続に参加した子がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。
第五十六条
裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における手続費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。
ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。
上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。
事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。
裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、子の返還申立事件の手続費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。
第五十七条
事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の子の返還申立事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。
第五十八条
民事訴訟法第六十八条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。
この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十七条第一項又は第四十八条第一項の規定による参加の申出」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十八条第一項において準用する」と、「ついて、同条第二項の規定は前項の申立てについて」とあるのは「ついて」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「準用する。この場合において、同条第二項中「訴訟費用の負担の裁判が確定した」とあるのは、「訴訟が完結した」と読み替えるものとする」とあるのは「準用する」と読み替えるものとする。
前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第五十九条
子の返還申立事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。
ただし、救助を求める者が不当な目的で子の返還の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。
民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。
この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十九条第一項本文」と読み替えるものとする。
第六十条
子の返還申立事件の手続は、公開しない。
ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。
第六十一条
裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。
ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。
第六十二条
当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、子の返還申立事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付(第四項第一号及び第六十九条第六項において「閲覧等」という。)又は子の返還申立事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
前項の規定は、子の返還申立事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。
この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、当該申立てに係る許可をしなければならない。
裁判所は、子の返還申立事件の記録中、第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分(第一号及び第百四十九条第一項において「住所等表示部分」という。)については、前項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。
ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
裁判所は、子の返還申立事件において返還を求められている子の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、第三項及び前項ただし書の規定にかかわらず、第三項の申立てに係る許可をしないことができる。
事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てに係る許可をすることを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。
裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、当該申立てに係る許可をすることができる。
裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は子の返還申立事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。
子の返還申立事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、子の返還申立事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の規定による即時抗告が子の返還申立事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第六十三条
子の返還申立事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。
子の返還申立事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。
子の返還申立事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。
期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。
民事訴訟法第九十四条第三項及び第九十五条から第九十七条までの規定は、子の返還申立事件の手続の期日及び期間について準用する。
この場合において、同項中「第一項各号に規定する方法」とあるのは、「呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知」と読み替えるものとする。
第六十四条
裁判所は、子の返還申立事件の手続を併合し、又は分離することができる。
裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。
裁判所は、当事者を異にする子の返還申立事件についての手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。
第六十五条
当事者が子の返還申立事件の手続を続行することができない場合(当事者の死亡による場合を除く。)には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。
法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。
第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に子の返還申立事件の手続を受け継がせることができる。
第六十六条
子の返還申立事件の申立人の死亡によってその手続を続行することができない場合には、当該子の返還申立事件において申立人となることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。
前項の規定による受継の申立ては、子の返還申立事件の申立人が死亡した日から一月以内にしなければならない。
子の返還申立事件の相手方の死亡によってその手続を続行することができない場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、相手方が死亡した日から三月以内に限り、相手方の死亡後に子を監護している者に、その手続を受け継がせることができる。
第六十七条
送達及び子の返還申立事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節(第百条第二項、第三款及び第百十一条を除く。)及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。
この場合において、同法第百十二条第一項本文中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と、同項ただし書中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「当該掲示を始めた」と、同法第百十三条中「書類又は電磁的記録」とあるのは「書類」と、「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判を求める事項」と、「記載又は記録」とあるのは「記載」と、「第百十一条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と読み替えるものとする。
前項において準用する民事訴訟法第百十条第一項の規定による公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
第六十八条
裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。
前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第六十九条
子の返還申立事件の手続における申立てその他の申述(以下この条及び次条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。
前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。
第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。
第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。
第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。
第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律の規定による子の返還申立事件の記録の閲覧等は、前項の書面をもってするものとする。
当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。
第六十九条の二
子の返還申立事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。
この場合において、同法第百三十三条第三項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「子の返還申立事件の記録」と、「について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の二第一項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は手続に参加した子(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十八条第六項に規定する手続に参加した子をいう。次項及び第七項において同じ。)は、子の返還申立事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は手続に参加した子」と、「訴訟記録等の存する」とあるのは「子の返還申立事件の記録の存する」と、「訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは手続に参加した子」と読み替えるものとする。
第七十条
子の返還の申立ては、申立書(以下「子の返還申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。
子の返還申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
この場合において、第二号に掲げる申立ての趣旨は、返還を求める子及び子を返還すべき条約締約国を特定して記載しなければならない。
申立人は、一の申立てにより数人の子についての子の返還を求めることができる。
子の返還申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。
前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。
前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法第百三十七条の二の規定は、申立人が民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い子の返還の申立ての手数料を納付しない場合について準用する。
第七十一条
申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨を変更することができる。
ただし、第八十九条の規定により審理を終結した後は、この限りでない。
申立ての趣旨の変更は、子の返還申立事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
家庭裁判所は、申立ての趣旨の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。
申立ての趣旨の変更により子の返還申立事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。
第七十二条
子の返還の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、子の返還申立書の写しを相手方に送付しなければならない。
前項の規定による子の返還申立書の写しの送付は、公示送達の方法によっては、することができない。
第七十条第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付をすることができない場合について準用する。
裁判長は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。
前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
第七十三条
子の返還申立事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。
裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。
当事者が子の返還申立事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。
第七十四条
家庭裁判所は、受命裁判官に子の返還申立事件の手続の期日における手続を行わせることができる。
ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第八十二条第三項の規定又は第八十六条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。
前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
第七十五条
家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、子の返還申立事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。
子の返還申立事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。
第七十六条
子の返還申立事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、子の返還申立事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、手続に参加した子、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を、それぞれ準用する。
第七十七条
家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。
申立人及び相手方は、それぞれ第二十七条に規定する事由(第二十八条第一項第二号に規定する場合に関する事由を含む。)についての資料及び同項に規定する事由についての資料を提出するほか、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。
第七十八条
疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。
第七十九条
家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。
急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。
家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。
家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。
第八十条
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、子の返還申立事件の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。
家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、子の返還申立事件の手続の期日において、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が家庭裁判所調査官との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家庭裁判所調査官に子の返還申立事件の手続の期日に立ち会わせ、当該期日において前項の意見を述べさせることができる。
第八十一条
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。
第七十九条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について、それぞれ準用する。
第八十二条
家庭裁判所は、他の家庭裁判所に事実の調査を嘱託することができる。
前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。
家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。
前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
第八十三条
家庭裁判所は、必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の心身の状態及び生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。
第八十四条
家庭裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び手続に参加した子に通知しなければならない。
第八十五条
家庭裁判所は、子の返還の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。
家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。
ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。
第八十六条
子の返還申立事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十五条第三項、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百五条第二項、第二百七条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項及び第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。
この場合において、同法第百八十五条第一項中「地方裁判所若しくは簡易裁判所」とあるのは「他の家庭裁判所」と、同条第二項中「地方裁判所又は簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と、同法第二百五条第三項中「事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあり、及び同法第二百十五条第四項中「事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあるのは「事項」と、同法第二百三十一条の二第二項中「方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法」とあるのは「方法」と、同法第二百三十一条の三第二項中「若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する」とあるのは「又は送付する」と読み替えるものとする。
前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第八十七条
家庭裁判所は、申立人が不法な連れ去り又は不法な留置があったことを証する文書を常居所地国において得ることができるときは、申立人に対し、当該文書を提出することを求めることができる。
第八十八条
家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、終局決定をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。
第八十九条
家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。
ただし、当事者双方が立ち会うことができる子の返還申立事件の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。
第九十条
家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、裁判をする日を定めなければならない。
第九十一条
家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、決定で、裁判をする。
第九十二条
家庭裁判所は、子の返還申立事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。
家庭裁判所は、子の返還申立事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。
手続の併合を命じた数個の子の返還申立事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。
第九十三条
終局決定は、当事者及び子に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。
ただし、子(手続に参加した子を除く。)に対しては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。
終局決定は、当事者に告知することによってその効力を生ずる。
ただし、子の返還を命ずる終局決定は、確定しなければその効力を生じない。
終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。
終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。
第九十四条
終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。
終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
第九十五条
終局決定に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。
更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。
第九十六条
民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。
この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。
第九十七条
家庭裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。
中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。
第九十八条
終局決定以外の裁判は、これを受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。
終局決定以外の裁判については、これを受ける者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。
第九十二条から第九十六条まで(第九十三条第一項及び第二項並びに第九十四条第一項を除く。)の規定は、前項の裁判について準用する。
この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。
子の返還申立事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。
終局決定以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。
第九十九条
子の返還の申立ては、終局決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
ただし、申立ての取下げは、終局決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
前項ただし書の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。
ただし、申立ての取下げが子の返還申立事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。
前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。
同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。
民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、申立ての取下げについて準用する。
この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「子の返還申立事件の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。
第百条
子の返還申立事件における和解については、民事訴訟法第八十九条第一項、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。
この場合において、同法第二百六十四条第一項及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「子の返還申立事件の手続」と読み替えるものとする。
子の返還申立事件においては、子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項についても、和解をすることができる。
次の各号に掲げる事項についての和解を調書に記載したときは、その記載は、当該各号に定める裁判と同一の効力を有する。
第百一条
当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができる。
子は、子の返還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができる。
手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。
第百二条
終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
当事者又は手続に参加した子による即時抗告の期間は、即時抗告をする者が終局決定の告知を受けた日から進行する。
子(手続に参加した子を除く。)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
第百三条
即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。
前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
第七十条第四項及び第五項の規定は抗告状が第二項の規定に違反する場合について、民事訴訟法第百三十七条の二第一項から第六項までの規定は民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について、それぞれ準用する。
第百四条
終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び手続に参加した子(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。
裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。
第百五条
抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
第百六条
抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。
ただし、次条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。
第百七条
終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前款の規定(第七十条第六項、第七十二条第二項及び第五項、第九十三条第三項及び第四項、第九十五条第三項から第五項まで並びに第九十八条第五項を除く。)を準用する。
抗告裁判所は、第百四条第一項の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用する第八十九条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。
民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第九十九条第四項」と、同法第二百九十九条第二項中「第六条第一項各号」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第三十二条第一項各号」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百五十条」と読み替えるものとする。
第百八条
高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。
第百九条
特別抗告は、執行停止の効力を有しない。
ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
第百十条
第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条並びに第百七条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。
民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第二項の規定及び同法第百十条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。
第百十一条
高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第百八条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。
前項の申立てにおいては、第百八条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。
第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。
許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。
許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。
第百十二条
第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条、第百七条並びに第百九条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、第百二条第二項及び第三項、第百三条第一項、第二項第二号及び第三項、第百四条第一項並びに第百五条中「即時抗告」とあり、第百三条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第百九条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第二項の申立て」と、第百三条第一項、第二項及び第六項、第百四条並びに第百七条第二項中「抗告状」とあるのは「第百十一条第二項の規定による許可の申立書」と、同条中「即時抗告」とあり、及び第百九条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第四項に規定する許可抗告」と読み替えるものとする。
民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。
この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項の規定及び同法第百十二条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。
第百十三条
終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。
第百十四条
受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。
ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第百十五条
終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。
ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
第百九条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。
原裁判をした裁判所、裁判官又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。
第百十六条
前三目の規定(第百一条第一項及び第二項、第百二条第一項並びに同条第三項、第百四条及び第百五条(これらの規定を第百十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第百十条の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。
この場合において、第百八条第一項中「高等裁判所の終局決定」とあるのは「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、第百十一条第一項中「できる」とあるのは「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と読み替えるものとする。
第百二条第二項及び第三項、第百三条並びに第百七条の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、第百三条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。
民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用する同法第百八条第二項の規定及び同法第百十六条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する同法第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。
第百十七条
子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。
ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。
前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。
第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。
第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。
第百十八条
裁判所は、前条第一項の申立てがあった場合において、同項の規定による変更の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。
前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。
第百十九条
確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。
再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。
民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。
この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。
前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
第百二十条
裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。
前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。
第百二十一条
子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所(抗告裁判所が子の返還を命ずる終局決定をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。
子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。
子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項及び第五項においてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。
調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。
調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。
第一項の規定による調査及び勧告の手続には、その性質に反しない限り、前節第一款の規定を準用する。
前各項の規定は、和解によって定められた義務の履行について準用する。
第百二十二条
子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の当事者が子を日本国外に出国させるおそれがあるときは、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、子を出国させてはならないことを命ずることができる。
家庭裁判所は、前項の規定による申立てに係る事件の相手方が子が名義人となっている旅券を所持すると認めるときは、申立てにより、同項の規定による裁判において、当該旅券の外務大臣への提出を命じなければならない。
子の返還申立事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前二項の規定による裁判(以下「出国禁止命令」という。)をする。
出国禁止命令は、子の返還の申立てについての終局決定の確定により、その効力を失う。
第百二十三条
出国禁止命令の申立ては、その趣旨及び出国禁止命令を求める事由を明らかにしてしなければならない。
出国禁止命令を求める事由については、出国禁止命令の申立てに係る事件(以下「出国禁止命令事件」という。)の申立人が資料を提出しなければならない。
前条第二項の規定による裁判の申立ては、出国禁止命令があるまで、取り下げることができる。
民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、出国禁止命令の申立ての取下げについて準用する。
この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。
第百二十四条
出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければ、することができない。
ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより出国禁止命令の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
第百二十五条
裁判所は、第百三十三条において準用する第六十二条第三項の規定にかかわらず、出国禁止命令事件について、出国禁止命令事件の当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、出国禁止命令事件の相手方に対し、出国禁止命令事件が係属したことを通知し、又は出国禁止命令を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。
第百二十六条
出国禁止命令の申立てについての裁判は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。
出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方に告知することによってその効力を生じ、出国禁止命令の申立てを却下する裁判は、出国禁止命令事件の申立人に告知することによってその効力を生ずる。
第百二十七条
出国禁止命令事件の当事者は、出国禁止命令の申立てについての裁判に対し、即時抗告をすることができる。
第百二十八条
前条の規定により即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、又は担保を立てさせないで原裁判の執行の停止を命ずることができる。
出国禁止命令事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、この処分を命ずることができる。
第百二十三条第二項の規定は前項の申立てについて、第百九条第二項及び第三項の規定は前項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について、それぞれ準用する。
第百二十九条
第百二十二条第一項の規定による裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、当該裁判を受けた者の申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができる。
裁判所が、第百二十二条第一項の規定による裁判を取り消す場合において、同条第二項の規定による裁判がされているときは、裁判所は、当該裁判をも取り消さなければならない。
第百二十三条及び前三条の規定は、第一項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。
第百三十条
裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び前条第一項の規定による申立てに係る事件(第百三十三条において「出国禁止命令取消事件」という。)の手続の期日について、調書を作成しなければならない。
ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。
第百三十一条
外務大臣は、第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者から当該裁判に係る旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならない。
外務大臣は、出国禁止命令が効力を失ったときは、前項の旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならない。
第百三十二条
第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。
第百三十三条
出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続については、特別の定めがある場合を除き、第三節第一款から第三款まで及び第五款(第七十二条、第八十四条、第八十五条、第八十七条、第八十九条、第九十条、第九十九条及び第百条を除く。)の規定を準用する。
この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。
第百三十四条
子の返還の強制執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行う。
前項の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定(確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものを含む。)の正本に基づいて実施する。
第百三十五条
子が十六歳に達した場合には、民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行(同項の規定による決定に基づく子の返還の実施を含む。以下「子の返還の代替執行」という。)は、することができない。
民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならない。
第百三十六条
子の返還の代替執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。
第百三十七条
子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならない。
第百三十八条
第百三十四条第一項の決定は、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならない。
執行裁判所は、民事執行法第百七十一条第三項の規定にかかわらず、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、債務者を審尋しないで第百三十四条第一項の決定をすることができる。
第百三十九条
執行裁判所は、第百三十七条の返還実施者となるべき者を前条の規定により返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、第百三十七条の申立てを却下しなければならない。
第百四十条
民事執行法第百七十五条(第八項を除く。)の規定は子の返還の代替執行における執行官の権限及び当該権限の行使に係る執行裁判所の裁判について、同法第百七十六条の規定は子の返還の代替執行の手続について、それぞれ準用する。
この場合において、同法第百七十五条第一項第二号中「債権者若しくはその代理人と子」とあるのは「返還実施者(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第百三十七条に規定する返還実施者をいう。以下同じ。)、債権者若しくは同法第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人と子」と、「又は債権者若しくはその代理人」とあるのは「又は返還実施者、債権者若しくは同項に規定する代理人」と、同項第三号及び同条第九項中「債権者又はその代理人」とあるのは「返還実施者、債権者又は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人」と読み替えるものとする。
執行官は、前項において準用する民事執行法第百七十五条第一項又は第二項の規定による子の監護を解くために必要な行為をするに際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。
執行官は、前項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。
子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。
第百四十一条
返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができる。
子の返還の代替執行の手続については、民事執行法第百七十一条第六項の規定は、適用しない。
前条第一項において準用する民事執行法第百七十六条の規定は、返還実施者について準用する。
第百四十二条
外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができる。
第百四十三条
子の返還の強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。
第百四十四条
家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。
第百四十五条
裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。
ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。
第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。
前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記載部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。
前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。
第百四十六条
裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。
第百四十七条
裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。
第百四十八条
外国返還援助決定若しくは日本国交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合において、次の各号に掲げるときには、当該各号に定める家庭裁判所にも、これらの申立てをすることができる。
前項の申立てに係る審判事件及び調停事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。
第百四十九条
子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に住所等表示部分がある場合には、裁判所は、当該住所等表示部分については、家事事件手続法第四十七条第三項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。
ただし、第六十二条第四項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この限りでない。
子との交流について定め、又はその変更について定める審判書又は調停調書の正本に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。
第百五十条
この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。
この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。
第百五十一条
子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができる。
第百五十二条
親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件(人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第三十二条第一項に規定する附帯処分についての裁判及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件を含む。以下この条において同じ。)が係属している場合において、当該審判事件が係属している裁判所に対し、当該審判事件に係る子について不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが外務大臣又は当該子についての子の返還申立事件が係属する裁判所から通知されたときは、当該審判事件が係属している裁判所は、当該審判事件について裁判をしてはならない。
ただし、子の返還の申立てが相当の期間内にされないとき、又は子の返還の申立てを却下する裁判が確定したときは、この限りでない。
第百五十三条
条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子についての子の返還、子との交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続(我が国の裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなす。
第一条
この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
第二条
この法律は、この法律の施行前にされた不法な連れ去り又はこの法律の施行前に開始された不法な留置には、適用しない。
第一条
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第八条
施行日前に申し立てられた子の返還の強制執行の事件については、第二条の規定による改正後の国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百三十六条、第百三十八条第二項、第百四十条及び第百四十一条第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第二十条
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第一条
この法律は、公布の日から起算して四年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第百二十五条
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第一条
この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第四十条
第二号施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第一条
この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、附則第十六条から第十八条まで及び第十九条第一項の規定は、公布の日から施行する。
第十六条
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第一条
この法律は、民法等の一部を改正する法律(令和八年法律第 号。以下「民法等改正法」という。)の施行の日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第五条
前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。