信託法
この法令の概要
第一条
信託の要件、効力等については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
第二条
この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。
この法律において「信託行為」とは、次の各号に掲げる信託の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。
この法律において「信託財産」とは、受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産をいう。
この法律において「委託者」とは、次条各号に掲げる方法により信託をする者をいう。
この法律において「受託者」とは、信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいう。
この法律において「受益者」とは、受益権を有する者をいう。
この法律において「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権(以下「受益債権」という。)及びこれを確保するためにこの法律の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう。
この法律において「固有財産」とは、受託者に属する財産であって、信託財産に属する財産でない一切の財産をいう。
この法律において「信託財産責任負担債務」とは、受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務をいう。
この法律において「信託の併合」とは、受託者を同一とする二以上の信託の信託財産の全部を一の新たな信託の信託財産とすることをいう。
この法律において「吸収信託分割」とは、ある信託の信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託の信託財産として移転することをいい、「新規信託分割」とは、ある信託の信託財産の一部を受託者を同一とする新たな信託の信託財産として移転することをいい、「信託の分割」とは、吸収信託分割又は新規信託分割をいう。
この法律において「限定責任信託」とは、受託者が当該信託のすべての信託財産責任負担債務について信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う信託をいう。
第三条
信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
第四条
前条第一号に掲げる方法によってされる信託は、委託者となるべき者と受託者となるべき者との間の信託契約の締結によってその効力を生ずる。
前条第二号に掲げる方法によってされる信託は、当該遺言の効力の発生によってその効力を生ずる。
前条第三号に掲げる方法によってされる信託は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものによってその効力を生ずる。
前三項の規定にかかわらず、信託は、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来によってその効力を生ずる。
第五条
第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合において、当該遺言に受託者となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、受託者となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に信託の引受けをするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。
ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。
前項の規定による催告があった場合において、受託者となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者の相続人に対し確答をしないときは、信託の引受けをしなかったものとみなす。
委託者の相続人が現に存しない場合における前項の規定の適用については、同項中「委託者の相続人」とあるのは、「受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはその一人、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人)」とする。
第六条
第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合において、当該遺言に受託者の指定に関する定めがないとき、又は受託者となるべき者として指定された者が信託の引受けをせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、受託者を選任することができる。
前項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
第一項の規定による受託者の選任の裁判に対しては、受益者又は既に存する受託者に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第七条
信託は、未成年者を受託者としてすることができない。
第八条
受託者は、受益者として信託の利益を享受する場合を除き、何人の名義をもってするかを問わず、信託の利益を享受することができない。
第九条
法令によりある財産権を享有することができない者は、その権利を有するのと同一の利益を受益者として享受することができない。
第十条
信託は、訴訟行為をさせることを主たる目的としてすることができない。
第十一条
委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合には、受託者が債権者を害することを知っていたか否かにかかわらず、債権者は、受託者を被告として、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる。
ただし、受益者が現に存する場合においては、当該受益者(当該受益者の中に受益権を譲り受けた者がある場合にあっては、当該受益者及びその前に受益権を譲り渡した全ての者)の全部が、受益者としての指定(信託行為の定めにより又は第八十九条第一項に規定する受益者指定権等の行使により受益者又は変更後の受益者として指定されることをいう。以下同じ。)を受けたことを知った時(受益権を譲り受けた者にあっては、受益権を譲り受けた時)において債権者を害することを知っていたときに限る。
前項の規定による詐害行為取消請求を認容する判決が確定した場合において、信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者(委託者であるものを除く。)が当該債権を取得した時において債権者を害することを知らなかったときは、委託者は、当該債権を有する債権者に対し、当該信託財産責任負担債務について弁済の責任を負う。
ただし、同項の規定による詐害行為取消請求により受託者から委託者に移転する財産の価額を限度とする。
前項の規定の適用については、第四十九条第一項(第五十三条第二項及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により受託者が有する権利は、金銭債権とみなす。
委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合において、受益者が受託者から信託財産に属する財産の給付を受けたときは、債権者は、受益者を被告として、民法第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる。
ただし、当該受益者(当該受益者が受益権を譲り受けた者である場合にあっては、当該受益者及びその前に受益権を譲り渡した全ての者)が、受益者としての指定を受けたことを知った時(受益権を譲り受けた者にあっては、受益権を譲り受けた時)において債権者を害することを知っていたときに限る。
委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合には、債権者は、受益者を被告として、その受益権を委託者に譲り渡すことを訴えをもって請求することができる。
この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
民法第四百二十六条の規定は、前項の規定による請求権について準用する。
受益者の指定又は受益権の譲渡に当たっては、第一項本文、第四項本文又は第五項前段の規定の適用を不当に免れる目的で、債権者を害することを知らない者(以下この項において「善意者」という。)を無償(無償と同視すべき有償を含む。以下この項において同じ。)で受益者として指定し、又は善意者に対し無償で受益権を譲り渡してはならない。
前項の規定に違反する受益者の指定又は受益権の譲渡により受益者となった者については、第一項ただし書及び第四項ただし書(第五項後段において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
第十二条
破産者が委託者としてした信託における破産法(平成十六年法律第七十五号)第百六十条第一項の規定の適用については、同項各号中「これによって利益を受けた者が、その行為の当時」とあるのは「受益者が現に存する場合においては、当該受益者(当該受益者の中に受益権を譲り受けた者がある場合にあっては、当該受益者及びその前に受益権を譲り渡した全ての者)の全部が信託法第十一条第一項に規定する受益者としての指定を受けたことを知った時(受益権を譲り受けた者にあっては、受益権を譲り受けた時)において」と、「知らなかったときは、この限りでない」とあるのは「知っていたときに限る」とする。
破産者が破産債権者を害することを知って委託者として信託をした場合には、破産管財人は、受益者を被告として、その受益権を破産財団に返還することを訴えをもって請求することができる。
この場合においては、前条第四項ただし書の規定を準用する。
再生債務者が委託者としてした信託における民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第百二十七条第一項の規定の適用については、同項各号中「これによって利益を受けた者が、その行為の当時」とあるのは「受益者が現に存する場合においては、当該受益者(当該受益者の中に受益権を譲り受けた者がある場合にあっては、当該受益者及びその前に受益権を譲り渡した全ての者)の全部が信託法(平成十八年法律第百八号)第十一条第一項に規定する受益者としての指定を受けたことを知った時(受益権を譲り受けた者にあっては、受益権を譲り受けた時)において」と、「知らなかったときは、この限りでない」とあるのは「知っていたときに限る」とする。
再生債務者が再生債権者を害することを知って委託者として信託をした場合には、否認権限を有する監督委員又は管財人は、受益者を被告として、その受益権を再生債務者財産(民事再生法第十二条第一項第一号に規定する再生債務者財産をいう。第二十五条第四項において同じ。)に返還することを訴えをもって請求することができる。
この場合においては、前条第四項ただし書の規定を準用する。
前二項の規定は、更生会社(会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第二条第七項に規定する更生会社又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)第百六十九条第七項に規定する更生会社をいう。)又は更生協同組織金融機関(同法第四条第七項に規定する更生協同組織金融機関をいう。)について準用する。
この場合において、第三項中「民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第百二十七条第一項」とあるのは「会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第八十六条第一項並びに金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)第五十七条第一項及び第二百二十三条第一項」と、「同項各号」とあるのは「これらの規定」と、前項中「再生債権者」とあるのは「更生債権者又は更生担保権者」と、「否認権限を有する監督委員又は管財人」とあるのは「管財人」と、「再生債務者財産(民事再生法第十二条第一項第一号に規定する再生債務者財産をいう。第二十五条第四項において同じ。)」とあるのは「更生会社財産(会社更生法第二条第十四項に規定する更生会社財産又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第百六十九条第十四項に規定する更生会社財産をいう。)又は更生協同組織金融機関財産(同法第四条第十四項に規定する更生協同組織金融機関財産をいう。)」と読み替えるものとする。
第十三条
信託の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。
第十四条
登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができない。
第十五条
受託者は、信託財産に属する財産の占有について、委託者の占有の瑕疵かしを承継する。
第十六条
信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか、次に掲げる財産は、信託財産に属する。
第十七条
信託財産に属する財産と固有財産若しくは他の信託の信託財産に属する財産との付合若しくは混和又はこれらの財産を材料とする加工があった場合には、各信託の信託財産及び固有財産に属する財産は各別の所有者に属するものとみなして、民法第二百四十二条から第二百四十八条までの規定を適用する。
第十八条
信託財産に属する財産と固有財産に属する財産とを識別することができなくなった場合(前条に規定する場合を除く。)には、各財産の共有持分が信託財産と固有財産とに属するものとみなす。
この場合において、その共有持分の割合は、その識別することができなくなった当時における各財産の価格の割合に応ずる。
前項の共有持分は、相等しいものと推定する。
前二項の規定は、ある信託の受託者が他の信託の受託者を兼ねる場合において、各信託の信託財産に属する財産を識別することができなくなったとき(前条に規定する場合を除く。)について準用する。
この場合において、第一項中「信託財産と固有財産と」とあるのは、「各信託の信託財産」と読み替えるものとする。
第十九条
受託者に属する特定の財産について、その共有持分が信託財産と固有財産とに属する場合には、次に掲げる方法により、当該財産の分割をすることができる。
前項に規定する場合において、同項第二号の協議が調わないときその他同項各号に掲げる方法による分割をすることができないときは、受託者又は受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)は、裁判所に対し、同項の共有物の分割を請求することができる。
受託者に属する特定の財産について、その共有持分が信託財産と他の信託の信託財産とに属する場合には、次に掲げる方法により、当該財産の分割をすることができる。
前項に規定する場合において、同項第二号の協議が調わないときその他同項各号に掲げる方法による分割をすることができないときは、各信託の受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)は、裁判所に対し、同項の共有物の分割を請求することができる。
第二十条
同一物について所有権及び他の物権が信託財産と固有財産又は他の信託の信託財産とにそれぞれ帰属した場合には、民法第百七十九条第一項本文の規定にかかわらず、当該他の物権は、消滅しない。
所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が信託財産と固有財産又は他の信託の信託財産とにそれぞれ帰属した場合には、民法第百七十九条第二項前段の規定にかかわらず、当該他の権利は、消滅しない。
次に掲げる場合には、民法第五百二十条本文の規定にかかわらず、当該債権は、消滅しない。
第二十一条
次に掲げる権利に係る債務は、信託財産責任負担債務となる。
信託財産責任負担債務のうち次に掲げる権利に係る債務について、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う。
第二十二条
受託者が固有財産又は他の信託の信託財産(第一号において「固有財産等」という。)に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務(第一号及び第二号において「固有財産等責任負担債務」という。)に係る債権を有する者は、当該債権をもって信託財産に属する債権に係る債務と相殺をすることができない。
ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
前項本文の規定は、第三十一条第二項各号に掲げる場合において、受託者が前項の相殺を承認したときは、適用しない。
信託財産責任負担債務(信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものに限る。)に係る債権を有する者は、当該債権をもって固有財産に属する債権に係る債務と相殺をすることができない。
ただし、当該信託財産責任負担債務に係る債権を有する者が、当該債権を取得した時又は当該固有財産に属する債権に係る債務を負担した時のいずれか遅い時において、当該固有財産に属する債権が信託財産に属するものでないことを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかった場合は、この限りでない。
前項本文の規定は、受託者が同項の相殺を承認したときは、適用しない。
第二十三条
信託財産責任負担債務に係る債権(信託財産に属する財産について生じた権利を含む。次項において同じ。)に基づく場合を除き、信託財産に属する財産に対しては、強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行若しくは競売(担保権の実行としてのものを除く。以下同じ。)又は国税滞納処分(その例による処分を含む。以下同じ。)をすることができない。
第三条第三号に掲げる方法によって信託がされた場合において、委託者がその債権者を害することを知って当該信託をしたときは、前項の規定にかかわらず、信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者のほか、当該委託者(受託者であるものに限る。)に対する債権で信託前に生じたものを有する者は、信託財産に属する財産に対し、強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行若しくは競売又は国税滞納処分をすることができる。
第十一条第一項ただし書、第七項及び第八項の規定は、前項の規定の適用について準用する。
前二項の規定は、第二項の信託がされた時から二年間を経過したときは、適用しない。
第一項又は第二項の規定に違反してされた強制執行、仮差押え、仮処分又は担保権の実行若しくは競売に対しては、受託者又は受益者は、異議を主張することができる。
この場合においては、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十八条及び民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十五条の規定を準用する。
第一項又は第二項の規定に違反してされた国税滞納処分に対しては、受託者又は受益者は、異議を主張することができる。
この場合においては、当該異議の主張は、当該国税滞納処分について不服の申立てをする方法でする。
第二十四条
前条第五項又は第六項の規定による異議に係る訴えを提起した受益者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、当該訴えに係る訴訟に関し、必要な費用(訴訟費用を除く。)を支出したとき、又は弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、司法書士若しくは司法書士法人に報酬を支払うべきときは、その費用又は報酬は、その額の範囲内で相当と認められる額を限度として、信託財産から支弁する。
前項の訴えを提起した受益者が敗訴した場合であっても、悪意があったときを除き、当該受益者は、受託者に対し、これによって生じた損害を賠償する義務を負わない。
第二十五条
受託者が破産手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、破産財団に属しない。
前項の場合には、受益債権は、破産債権とならない。
信託債権であって受託者が信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものも、同様とする。
第一項の場合には、破産法第二百五十二条第一項の免責許可の決定による信託債権(前項に規定する信託債権を除く。)に係る債務の免責は、信託財産との関係においては、その効力を主張することができない。
受託者が再生手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、再生債務者財産に属しない。
前項の場合には、受益債権は、再生債権とならない。
信託債権であって受託者が信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものも、同様とする。
第四項の場合には、再生計画、再生計画認可の決定又は民事再生法第二百三十五条第一項の免責の決定による信託債権(前項に規定する信託債権を除く。)に係る債務の免責又は変更は、信託財産との関係においては、その効力を主張することができない。
前三項の規定は、受託者が更生手続開始の決定を受けた場合について準用する。
この場合において、第四項中「再生債務者財産」とあるのは「更生会社財産(会社更生法第二条第十四項に規定する更生会社財産又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第百六十九条第十四項に規定する更生会社財産をいう。)又は更生協同組織金融機関財産(同法第四条第十四項に規定する更生協同組織金融機関財産をいう。)」と、第五項中「再生債権」とあるのは「更生債権又は更生担保権」と、前項中「再生計画、再生計画認可の決定又は民事再生法第二百三十五条第一項の免責の決定」とあるのは「更生計画又は更生計画認可の決定」と読み替えるものとする。
第二十六条
受託者は、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有する。
ただし、信託行為によりその権限に制限を加えることを妨げない。
第二十七条
受託者が信託財産のためにした行為がその権限に属しない場合において、次のいずれにも該当するときは、受益者は、当該行為を取り消すことができる。
前項の規定にかかわらず、受託者が信託財産に属する財産(第十四条の信託の登記又は登録をすることができるものに限る。)について権利を設定し又は移転した行為がその権限に属しない場合には、次のいずれにも該当するときに限り、受益者は、当該行為を取り消すことができる。
二人以上の受益者のうちの一人が前二項の規定による取消権を行使したときは、その取消しは、他の受益者のためにも、その効力を生ずる。
第一項又は第二項の規定による取消権は、受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)が取消しの原因があることを知った時から三箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。
行為の時から一年を経過したときも、同様とする。
第二十八条
受託者は、次に掲げる場合には、信託事務の処理を第三者に委託することができる。
第二十九条
受託者は、信託の本旨に従い、信託事務を処理しなければならない。
受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる注意をもって、これをするものとする。
第三十条
受託者は、受益者のため忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならない。
第三十一条
受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。
前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をすることができる。
ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為をすることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。
受託者は、第一項各号に掲げる行為をしたときは、受益者に対し、当該行為についての重要な事実を通知しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第一項及び第二項の規定に違反して第一項第一号又は第二号に掲げる行為がされた場合には、これらの行為は、無効とする。
前項の行為は、受益者の追認により、当該行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。
第四項に規定する場合において、受託者が第三者との間において第一項第一号又は第二号の財産について処分その他の行為をしたときは、当該第三者が同項及び第二項の規定に違反して第一項第一号又は第二号に掲げる行為がされたことを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該処分その他の行為を取り消すことができる。
この場合においては、第二十七条第三項及び第四項の規定を準用する。
第一項及び第二項の規定に違反して第一項第三号又は第四号に掲げる行為がされた場合には、当該第三者がこれを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該行為を取り消すことができる。
この場合においては、第二十七条第三項及び第四項の規定を準用する。
第三十二条
受託者は、受託者として有する権限に基づいて信託事務の処理としてすることができる行為であってこれをしないことが受益者の利益に反するものについては、これを固有財産又は受託者の利害関係人の計算でしてはならない。
前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項に規定する行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることができる。
ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。
受託者は、第一項に規定する行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算でした場合には、受益者に対し、当該行為についての重要な事実を通知しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第一項及び第二項の規定に違反して受託者が第一項に規定する行為をした場合には、受益者は、当該行為は信託財産のためにされたものとみなすことができる。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
前項の規定による権利は、当該行為の時から一年を経過したときは、消滅する。
第三十三条
受益者が二人以上ある信託においては、受託者は、受益者のために公平にその職務を行わなければならない。
第三十四条
受託者は、信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める方法により、分別して管理しなければならない。
ただし、分別して管理する方法について、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
前項ただし書の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる財産について第十四条の信託の登記又は登録をする義務は、これを免除することができない。
第三十五条
第二十八条の規定により信託事務の処理を第三者に委託するときは、受託者は、信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならない。
第二十八条の規定により信託事務の処理を第三者に委託したときは、受託者は、当該第三者に対し、信託の目的の達成のために必要かつ適切な監督を行わなければならない。
受託者が信託事務の処理を次に掲げる第三者に委託したときは、前二項の規定は、適用しない。
ただし、受託者は、当該第三者が不適任若しくは不誠実であること又は当該第三者による事務の処理が不適切であることを知ったときは、その旨の受益者に対する通知、当該第三者への委託の解除その他の必要な措置をとらなければならない。
前項ただし書の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第三十六条
委託者又は受益者は、受託者に対し、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況について報告を求めることができる。
第三十七条
受託者は、信託事務に関する計算並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託財産に係る帳簿その他の書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
受託者は、毎年一回、一定の時期に、法務省令で定めるところにより、貸借対照表、損益計算書その他の法務省令で定める書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
受託者は、前項の書類又は電磁的記録を作成したときは、その内容について受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)に報告しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者は、第一項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、その作成の日から十年間(当該期間内に信託の清算の結了があったときは、その日までの間。次項において同じ。)、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。
ただし、受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人。第六項ただし書において同じ。)に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
受託者は、信託財産に属する財産の処分に係る契約書その他の信託事務の処理に関する書類又は電磁的記録を作成し、又は取得した場合には、その作成又は取得の日から十年間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。
この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
受託者は、第二項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、信託の清算の結了の日までの間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。
ただし、その作成の日から十年間を経過した後において、受益者に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
第三十八条
受益者は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
前項(第一号及び第二号を除く。)の規定は、受益者が二人以上ある信託のすべての受益者から第一項の請求があったとき、又は受益者が一人である信託の当該受益者から同項の請求があったときは、適用しない。
信託行為において、次に掲げる情報以外の情報について、受益者が同意をしたときは第一項の規定による閲覧又は謄写の請求をすることができない旨の定めがある場合には、当該同意をした受益者(その承継人を含む。以下この条において同じ。)は、その同意を撤回することができない。
受託者は、前項の同意をした受益者から第一項の規定による閲覧又は謄写の請求があったときは、前項各号に掲げる情報に該当する部分を除き、これを拒むことができる。
利害関係人は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。
第三十九条
受益者が二人以上ある信託においては、受益者は、受託者に対し、次に掲げる事項を相当な方法により開示することを請求することができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
前二項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第四十条
受託者がその任務を怠ったことによって次の各号に掲げる場合に該当するに至ったときは、受益者は、当該受託者に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。
ただし、第二号に定める措置にあっては、原状の回復が著しく困難であるとき、原状の回復をするのに過分の費用を要するとき、その他受託者に原状の回復をさせることを不適当とする特別の事情があるときは、この限りでない。
受託者が第二十八条の規定に違反して信託事務の処理を第三者に委託した場合において、信託財産に損失又は変更を生じたときは、受託者は、第三者に委託をしなかったとしても損失又は変更が生じたことを証明しなければ、前項の責任を免れることができない。
受託者が第三十条、第三十一条第一項及び第二項又は第三十二条第一項及び第二項の規定に違反する行為をした場合には、受託者は、当該行為によって受託者又はその利害関係人が得た利益の額と同額の損失を信託財産に生じさせたものと推定する。
受託者が第三十四条の規定に違反して信託財産に属する財産を管理した場合において、信託財産に損失又は変更を生じたときは、受託者は、同条の規定に従い分別して管理をしたとしても損失又は変更が生じたことを証明しなければ、第一項の責任を免れることができない。
第四十一条
法人である受託者の理事、取締役若しくは執行役又はこれらに準ずる者は、当該法人が前条の規定による責任を負う場合において、当該法人が行った法令又は信託行為の定めに違反する行為につき悪意又は重大な過失があるときは、受益者に対し、当該法人と連帯して、損失のてん補又は原状の回復をする責任を負う。
第四十二条
受益者は、次に掲げる責任を免除することができる。
第四十三条
第四十条の規定による責任に係る債権の消滅時効は、債務の不履行によって生じた責任に係る債権の消滅時効の例による。
第四十一条の規定による責任に係る債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
第四十条又は第四十一条の規定による責任に係る受益者の債権の消滅時効は、受益者が受益者としての指定を受けたことを知るに至るまでの間(受益者が現に存しない場合にあっては、信託管理人が選任されるまでの間)は、進行しない。
前項に規定する債権は、受託者がその任務を怠ったことによって信託財産に損失又は変更が生じた時から二十年を経過したときは、消滅する。
第四十四条
受託者が法令若しくは信託行為の定めに違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって信託財産に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、受益者は、当該受託者に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
受託者が第三十三条の規定に違反する行為をし、又はこれをするおそれがある場合において、当該行為によって一部の受益者に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該受益者は、当該受託者に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
第四十五条
第四十条、第四十一条又は前条の規定による請求に係る訴えを提起した受益者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、当該訴えに係る訴訟に関し、必要な費用(訴訟費用を除く。)を支出したとき、又は弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、司法書士若しくは司法書士法人に報酬を支払うべきときは、その費用又は報酬は、その額の範囲内で相当と認められる額を限度として、信託財産から支弁する。
前項の訴えを提起した受益者が敗訴した場合であっても、悪意があったときを除き、当該受益者は、受託者に対し、これによって生じた損害を賠償する義務を負わない。
第四十六条
受託者の信託事務の処理に関し、不正の行為又は法令若しくは信託行為の定めに違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、受益者は、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
第一項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
第一項の規定による検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第二項の検査役は、信託財産から裁判所が定める報酬を受けることができる。
前項の規定による検査役の報酬を定める裁判をする場合には、受託者及び第二項の検査役の陳述を聴かなければならない。
第五項の規定による検査役の報酬を定める裁判に対しては、受託者及び第二項の検査役に限り、即時抗告をすることができる。
第四十七条
前条第二項の検査役は、その職務を行うため必要があるときは、受託者に対し、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況について報告を求め、又は当該信託に係る帳簿、書類その他の物件を調査することができる。
前条第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭りようにし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、前条第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
前条第二項の検査役は、第二項の報告をしたときは、受託者及び同条第一項の申立てをした受益者に対し、第二項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
受託者は、前項の規定による書面の写しの交付又は電磁的記録に記録された事項の法務省令で定める方法による提供があったときは、直ちに、その旨を受益者(前条第一項の申立てをしたものを除く。次項において同じ。)に通知しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
裁判所は、第二項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、受託者に対し、同項の調査の結果を受益者に通知することその他の当該報告の内容を周知するための適切な措置をとるべきことを命じなければならない。
第四十八条
受託者は、信託事務を処理するのに必要と認められる費用を固有財産から支出した場合には、信託財産から当該費用及び支出の日以後におけるその利息(以下「費用等」という。)の償還を受けることができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者は、信託事務を処理するについて費用を要するときは、信託財産からその前払を受けることができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者は、前項本文の規定により信託財産から費用の前払を受けるには、受益者に対し、前払を受ける額及びその算定根拠を通知しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第一項又は第二項の規定にかかわらず、費用等の償還又は費用の前払は、受託者が第四十条の規定による責任を負う場合には、これを履行した後でなければ、受けることができない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第一項又は第二項の場合には、受託者が受益者との間の合意に基づいて当該受益者から費用等の償還又は費用の前払を受けることを妨げない。
第四十九条
受託者は、前条第一項又は第二項の規定により信託財産から費用等の償還又は費用の前払を受けることができる場合には、その額の限度で、信託財産に属する金銭を固有財産に帰属させることができる。
前項に規定する場合において、必要があるときは、受託者は、信託財産に属する財産(当該財産を処分することにより信託の目的を達成することができないこととなるものを除く。)を処分することができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第一項に規定する場合において、第三十一条第二項各号のいずれかに該当するときは、受託者は、第一項の規定により有する権利の行使に代えて、信託財産に属する財産で金銭以外のものを固有財産に帰属させることができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第一項の規定により受託者が有する権利は、信託財産に属する財産に対し強制執行又は担保権の実行の手続が開始したときは、これらの手続との関係においては、金銭債権とみなす。
前項の場合には、同項に規定する権利の存在を証する文書により当該権利を有することを証明した受託者も、同項の強制執行又は担保権の実行の手続において、配当要求をすることができる。
各債権者(信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者に限る。以下この項及び次項において同じ。)の共同の利益のためにされた信託財産に属する財産の保存、清算又は配当に関する費用等について第一項の規定により受託者が有する権利は、第四項の強制執行又は担保権の実行の手続において、他の債権者(当該費用等がすべての債権者に有益でなかった場合にあっては、当該費用等によって利益を受けていないものを除く。)の権利に優先する。
この場合においては、その順位は、民法第三百七条第一項に規定する先取特権と同順位とする。
次の各号に該当する費用等について第一項の規定により受託者が有する権利は、当該各号に掲げる区分に応じ、当該各号の財産に係る第四項の強制執行又は担保権の実行の手続において、当該各号に定める金額について、他の債権者の権利に優先する。
第五十条
受託者は、信託財産責任負担債務を固有財産をもって弁済した場合において、これにより前条第一項の規定による権利を有することとなったときは、当該信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者に代位する。
この場合においては、同項の規定により受託者が有する権利は、その代位との関係においては、金銭債権とみなす。
前項の規定により受託者が同項の債権者に代位するときは、受託者は、遅滞なく、当該債権者の有する債権が信託財産責任負担債務に係る債権である旨及びこれを固有財産をもって弁済した旨を当該債権者に通知しなければならない。
第五十一条
受託者は、第四十九条第一項の規定により受託者が有する権利が消滅するまでは、受益者又は第百八十二条第一項第二号に規定する帰属権利者に対する信託財産に係る給付をすべき債務の履行を拒むことができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第五十二条
受託者は、第四十八条第一項又は第二項の規定により信託財産から費用等の償還又は費用の前払を受けるのに信託財産(第四十九条第二項の規定により処分することができないものを除く。第一号及び第四項において同じ。)が不足している場合において、委託者及び受益者に対し次に掲げる事項を通知し、第二号の相当の期間を経過しても委託者又は受益者から費用等の償還又は費用の前払を受けなかったときは、信託を終了させることができる。
委託者が現に存しない場合における前項の規定の適用については、同項中「委託者及び受益者」とあり、及び「委託者又は受益者」とあるのは、「受益者」とする。
受益者が現に存しない場合における第一項の規定の適用については、同項中「委託者及び受益者」とあり、及び「委託者又は受益者」とあるのは、「委託者」とする。
第四十八条第一項又は第二項の規定により信託財産から費用等の償還又は費用の前払を受けるのに信託財産が不足している場合において、委託者及び受益者が現に存しないときは、受託者は、信託を終了させることができる。
第五十三条
受託者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める損害の額について、信託財産からその賠償を受けることができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第四十八条第四項及び第五項、第四十九条(第六項及び第七項を除く。)並びに前二条の規定は、前項の規定による信託財産からの損害の賠償について準用する。
第五十四条
受託者は、信託の引受けについて商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百十二条の規定の適用がある場合のほか、信託行為に受託者が信託財産から信託報酬(信託事務の処理の対価として受託者の受ける財産上の利益をいう。以下同じ。)を受ける旨の定めがある場合に限り、信託財産から信託報酬を受けることができる。
前項の場合には、信託報酬の額は、信託行為に信託報酬の額又は算定方法に関する定めがあるときはその定めるところにより、その定めがないときは相当の額とする。
前項の定めがないときは、受託者は、信託財産から信託報酬を受けるには、受益者に対し、信託報酬の額及びその算定の根拠を通知しなければならない。
第四十八条第四項及び第五項、第四十九条(第六項及び第七項を除く。)、第五十一条並びに第五十二条並びに民法第六百四十八条第二項及び第三項並びに第六百四十八条の二の規定は、受託者の信託報酬について準用する。
第五十五条
担保権が信託財産である信託において、信託行為において受益者が当該担保権によって担保される債権に係る債権者とされている場合には、担保権者である受託者は、信託事務として、当該担保権の実行の申立てをし、売却代金の配当又は弁済金の交付を受けることができる。
第五十六条
受託者の任務は、信託の清算が結了した場合のほか、次に掲げる事由によって終了する。
ただし、第二号又は第三号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者である法人が合併をした場合における合併後存続する法人又は合併により設立する法人は、受託者の任務を引き継ぐものとする。
受託者である法人が分割をした場合における分割により受託者としての権利義務を承継する法人も、同様とする。
前項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第一項第三号に掲げる事由が生じた場合において、同項ただし書の定めにより受託者の任務が終了しないときは、受託者の職務は、破産者が行う。
受託者の任務は、受託者が再生手続開始の決定を受けたことによっては、終了しない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
前項本文に規定する場合において、管財人があるときは、受託者の職務の遂行並びに信託財産に属する財産の管理及び処分をする権利は、管財人に専属する。
保全管理人があるときも、同様とする。
前二項の規定は、受託者が更生手続開始の決定を受けた場合について準用する。
この場合において、前項中「管財人があるとき」とあるのは、「管財人があるとき(会社更生法第七十四条第二項(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第四十七条及び第二百十三条において準用する場合を含む。)の期間を除く。)」と読み替えるものとする。
第五十七条
受託者は、委託者及び受益者の同意を得て、辞任することができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者は、やむを得ない事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
受託者は、前項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。
第二項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
第二項の規定による辞任の許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
委託者が現に存しない場合には、第一項本文の規定は、適用しない。
第五十八条
委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、受託者を解任することができる。
委託者及び受益者が受託者に不利な時期に受託者を解任したときは、委託者及び受益者は、受託者の損害を賠償しなければならない。
ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
前二項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者がその任務に違反して信託財産に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、委託者又は受益者の申立てにより、受託者を解任することができる。
裁判所は、前項の規定により受託者を解任する場合には、受託者の陳述を聴かなければならない。
第四項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
第四項の規定による解任の裁判に対しては、委託者、受託者又は受益者に限り、即時抗告をすることができる。
委託者が現に存しない場合には、第一項及び第二項の規定は、適用しない。
第五十九条
第五十六条第一項第三号から第七号までに掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、受託者であった者(以下「前受託者」という。)は、受益者に対し、その旨を通知しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第五十六条第一項第三号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、破産管財人に対し、信託財産に属する財産の内容及び所在、信託財産責任負担債務の内容その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。
第五十六条第一項第四号から第七号までに掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、新たな受託者(第六十四条第一項の規定により信託財産管理者が選任された場合にあっては、信託財産管理者。以下この節において「新受託者等」という。)が信託事務の処理をすることができるに至るまで、引き続き信託財産に属する財産の保管をし、かつ、信託事務の引継ぎに必要な行為をしなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その義務を加重することができる。
前項の規定にかかわらず、第五十六条第一項第五号に掲げる事由(第五十七条第一項の規定によるものに限る。)により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、新受託者等が信託事務の処理をすることができるに至るまで、引き続き受託者としての権利義務を有する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
第三項の場合(前項本文に規定する場合を除く。)において、前受託者が信託財産に属する財産の処分をしようとするときは、受益者は、前受託者に対し、当該財産の処分をやめることを請求することができる。
ただし、新受託者等が信託事務の処理をすることができるに至った後は、この限りでない。
第六十条
第五十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、前受託者の相続人(法定代理人が現に存する場合にあっては、その法定代理人)又は成年後見人若しくは保佐人(以下この節において「前受託者の相続人等」と総称する。)がその事実を知っているときは、前受託者の相続人等は、知れている受益者に対し、これを通知しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第五十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、前受託者の相続人等は、新受託者等又は信託財産法人管理人が信託事務の処理をすることができるに至るまで、信託財産に属する財産の保管をし、かつ、信託事務の引継ぎに必要な行為をしなければならない。
前項の場合において、前受託者の相続人等が信託財産に属する財産の処分をしようとするときは、受益者は、これらの者に対し、当該財産の処分をやめることを請求することができる。
ただし、新受託者等又は信託財産法人管理人が信託事務の処理をすることができるに至った後は、この限りでない。
第五十六条第一項第三号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、破産管財人は、新受託者等が信託事務を処理することができるに至るまで、信託財産に属する財産の保管をし、かつ、信託事務の引継ぎに必要な行為をしなければならない。
前項の場合において、破産管財人が信託財産に属する財産の処分をしようとするときは、受益者は、破産管財人に対し、当該財産の処分をやめることを請求することができる。
ただし、新受託者等が信託事務の処理をすることができるに至った後は、この限りでない。
前受託者の相続人等又は破産管財人は、新受託者等又は信託財産法人管理人に対し、第一項、第二項又は第四項の規定による行為をするために支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
第四十九条第六項及び第七項の規定は、前項の規定により前受託者の相続人等又は破産管財人が有する権利について準用する。
第六十一条
第五十九条第五項又は前条第三項若しくは第五項の規定による請求に係る訴えを提起した受益者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、当該訴えに係る訴訟に関し、必要な費用(訴訟費用を除く。)を支出したとき、又は弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、司法書士若しくは司法書士法人に報酬を支払うべきときは、その費用又は報酬は、その額の範囲内で相当と認められる額を限度として、信託財産から支弁する。
前項の訴えを提起した受益者が敗訴した場合であっても、悪意があったときを除き、当該受益者は、受託者に対し、これによって生じた損害を賠償する義務を負わない。
第六十二条
第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、信託行為に新たな受託者(以下「新受託者」という。)に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより新受託者となるべき者として指定された者が信託の引受けをせず、若しくはこれをすることができないときは、委託者及び受益者は、その合意により、新受託者を選任することができる。
第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、信託行為に新受託者となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、新受託者となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。
ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。
前項の規定による催告があった場合において、新受託者となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者及び受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはその一人、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。
第一項の場合において、同項の合意に係る協議の状況その他の事情に照らして必要があると認めるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、新受託者を選任することができる。
前項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
第四項の規定による新受託者の選任の裁判に対しては、委託者若しくは受益者又は現に存する受託者に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
委託者が現に存しない場合における前各項の規定の適用については、第一項中「委託者及び受益者は、その合意により」とあるのは「受益者は」と、第三項中「委託者及び受益者」とあるのは「受益者」と、第四項中「同項の合意に係る協議の状況」とあるのは「受益者の状況」とする。
第六十三条
第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新受託者が選任されておらず、かつ、必要があると認めるときは、新受託者が選任されるまでの間、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託財産管理者による管理を命ずる処分(以下この款において「信託財産管理命令」という。)をすることができる。
前項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
裁判所は、信託財産管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
信託財産管理命令及び前項の規定による決定に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。
第六十四条
裁判所は、信託財産管理命令をする場合には、当該信託財産管理命令において、信託財産管理者を選任しなければならない。
前項の規定による信託財産管理者の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
裁判所は、第一項の規定による信託財産管理者の選任の裁判をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。
前項第二号の規定は、同号に掲げる事項に変更を生じた場合について準用する。
信託財産管理命令があった場合において、信託財産に属する権利で登記又は登録がされたものがあることを知ったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、信託財産管理命令の登記又は登録を嘱託しなければならない。
信託財産管理命令を取り消す裁判があったとき、又は信託財産管理命令があった後に新受託者が選任された場合において当該新受託者が信託財産管理命令の登記若しくは登録の抹消の嘱託の申立てをしたときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、信託財産管理命令の登記又は登録の抹消を嘱託しなければならない。
第六十五条
前受託者が前条第一項の規定による信託財産管理者の選任の裁判があった後に信託財産に属する財産に関してした法律行為は、信託財産との関係においては、その効力を主張することができない。
前受託者が前条第一項の規定による信託財産管理者の選任の裁判があった日にした法律行為は、当該裁判があった後にしたものと推定する。
第六十六条
第六十四条第一項の規定により信託財産管理者が選任された場合には、受託者の職務の遂行並びに信託財産に属する財産の管理及び処分をする権利は、信託財産管理者に専属する。
二人以上の信託財産管理者があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。
ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
二人以上の信託財産管理者があるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
信託財産管理者が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
前項の規定に違反して行った信託財産管理者の行為は、無効とする。
ただし、信託財産管理者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
信託財産管理者は、第二項ただし書又は第四項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。
第二項ただし書又は第四項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
第二項ただし書又は第四項の規定による許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第六十七条
信託財産管理者は、就職の後直ちに信託財産に属する財産の管理に着手しなければならない。
第六十八条
信託財産に関する訴えについては、信託財産管理者を原告又は被告とする。
第六十九条
信託財産管理者は、その職務を行うに当たっては、受託者と同一の義務及び責任を負う。
第七十条
第五十七条第二項から第五項までの規定は信託財産管理者の辞任について、第五十八条第四項から第七項までの規定は信託財産管理者の解任について、それぞれ準用する。
この場合において、第五十七条第二項中「やむを得ない事由」とあるのは、「正当な事由」と読み替えるものとする。
第七十一条
信託財産管理者は、信託財産から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
前項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判をする場合には、信託財産管理者の陳述を聴かなければならない。
第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判に対しては、信託財産管理者に限り、即時抗告をすることができる。
第七十二条
第七十七条の規定は、信託財産管理者の選任後に新受託者が就任した場合について準用する。
この場合において、同条第一項中「受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人)」とあり、同条第二項中「受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人。次項において同じ。)」とあり、及び同条第三項中「受益者」とあるのは「新受託者」と、同条第二項中「当該受益者」とあるのは「当該新受託者」と読み替えるものとする。
第七十三条
第六十六条の規定は、受託者の職務を代行する者を選任する仮処分命令により選任された受託者の職務を代行する者について準用する。
第七十四条
第五十六条第一項第一号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、信託財産は、法人とする。
前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託財産法人管理人による管理を命ずる処分(第六項において「信託財産法人管理命令」という。)をすることができる。
第六十三条第二項から第四項までの規定は、前項の申立てに係る事件について準用する。
新受託者が就任したときは、第一項の法人は、成立しなかったものとみなす。
ただし、信託財産法人管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
信託財産法人管理人の代理権は、新受託者が信託事務の処理をすることができるに至った時に消滅する。
第六十四条の規定は信託財産法人管理命令をする場合について、第六十六条から第七十二条までの規定は信託財産法人管理人について、それぞれ準用する。
第七十五条
第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新受託者が就任したときは、新受託者は、前受託者の任務が終了した時に、その時に存する信託に関する権利義務を前受託者から承継したものとみなす。
前項の規定にかかわらず、第五十六条第一項第五号に掲げる事由(第五十七条第一項の規定によるものに限る。)により受託者の任務が終了した場合(第五十九条第四項ただし書の場合を除く。)には、新受託者は、新受託者等が就任した時に、その時に存する信託に関する権利義務を前受託者から承継したものとみなす。
前二項の規定は、新受託者が就任するに至るまでの間に前受託者、信託財産管理者又は信託財産法人管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
第二十七条の規定は、新受託者等が就任するに至るまでの間に前受託者がその権限に属しない行為をした場合について準用する。
前受託者(その相続人を含む。以下この条において同じ。)が第四十条の規定による責任を負う場合又は法人である前受託者の理事、取締役若しくは執行役若しくはこれらに準ずる者(以下この項において「理事等」と総称する。)が第四十一条の規定による責任を負う場合には、新受託者等又は信託財産法人管理人は、前受託者又は理事等に対し、第四十条又は第四十一条の規定による請求をすることができる。
前受託者が信託財産から費用等の償還若しくは損害の賠償を受けることができ、又は信託報酬を受けることができる場合には、前受託者は、新受託者等又は信託財産法人管理人に対し、費用等の償還若しくは損害の賠償又は信託報酬の支払を請求することができる。
ただし、新受託者等又は信託財産法人管理人は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
第四十八条第四項並びに第四十九条第六項及び第七項の規定は、前項の規定により前受託者が有する権利について準用する。
新受託者が就任するに至るまでの間に信託財産に属する財産に対し既にされている強制執行、仮差押え若しくは仮処分の執行又は担保権の実行若しくは競売の手続は、新受託者に対し続行することができる。
前受託者は、第六項の規定による請求に係る債権の弁済を受けるまで、信託財産に属する財産を留置することができる。
第七十六条
前条第一項又は第二項の規定により信託債権に係る債務が新受託者に承継された場合にも、前受託者は、自己の固有財産をもって、その承継された債務を履行する責任を負う。
ただし、信託財産に属する財産のみをもって当該債務を履行する責任を負うときは、この限りでない。
新受託者は、前項本文に規定する債務を承継した場合には、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
第七十七条
新受託者等が就任した場合には、前受託者は、遅滞なく、信託事務に関する計算を行い、受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人)に対しその承認を求めるとともに、新受託者等が信託事務の処理を行うのに必要な信託事務の引継ぎをしなければならない。
受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人。次項において同じ。)が前項の計算を承認した場合には、同項の規定による当該受益者に対する信託事務の引継ぎに関する責任は、免除されたものとみなす。
ただし、前受託者の職務の執行に不正の行為があったときは、この限りでない。
受益者が前受託者から第一項の計算の承認を求められた時から一箇月以内に異議を述べなかった場合には、当該受益者は、同項の計算を承認したものとみなす。
第七十八条
前条の規定は、第五十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合における前受託者の相続人等及び同項第三号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合における破産管財人について準用する。
第七十九条
受託者が二人以上ある信託においては、信託財産は、その合有とする。
第八十条
受託者が二人以上ある信託においては、信託事務の処理については、受託者の過半数をもって決する。
前項の規定にかかわらず、保存行為については、各受託者が単独で決することができる。
前二項の規定により信託事務の処理について決定がされた場合には、各受託者は、当該決定に基づいて信託事務を執行することができる。
前三項の規定にかかわらず、信託行為に受託者の職務の分掌に関する定めがある場合には、各受託者は、その定めに従い、信託事務の処理について決し、これを執行する。
前二項の規定による信託事務の処理についての決定に基づく信託財産のためにする行為については、各受託者は、他の受託者を代理する権限を有する。
前各項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者が二人以上ある信託においては、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
ただし、受益者の意思表示については、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第八十一条
前条第四項に規定する場合には、信託財産に関する訴えについて、各受託者は、自己の分掌する職務に関し、他の受託者のために原告又は被告となる。
第八十二条
受託者が二人以上ある信託においては、各受託者は、信託行為に別段の定めがある場合又はやむを得ない事由がある場合を除き、他の受託者に対し、信託事務(常務に属するものを除く。)の処理についての決定を委託することができない。
第八十三条
受託者が二人以上ある信託において、信託事務を処理するに当たって各受託者が第三者に対し債務を負担した場合には、各受託者は、連帯債務者とする。
前項の規定にかかわらず、信託行為に受託者の職務の分掌に関する定めがある場合において、ある受託者がその定めに従い信託事務を処理するに当たって第三者に対し債務を負担したときは、他の受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
ただし、当該第三者が、その債務の負担の原因である行為の当時、当該行為が信託事務の処理としてされたこと及び受託者が二人以上ある信託であることを知っていた場合であって、信託行為に受託者の職務の分掌に関する定めがあることを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかったときは、当該他の受託者は、これをもって当該第三者に対抗することができない。
第八十四条
受託者が二人以上ある信託における第十九条の規定の適用については、同条第一項中「場合には」とあるのは「場合において、当該信託財産に係る信託に受託者が二人以上あるときは」と、同項第二号中「受託者」とあるのは「固有財産に共有持分が属する受託者」と、同項第三号中「受託者の」とあるのは「固有財産に共有持分が属する受託者の」と、同条第二項中「受託者」とあるのは「固有財産に共有持分が属する受託者」と、同条第三項中「場合には」とあるのは「場合において、当該信託財産に係る信託又は他の信託財産に係る信託に受託者が二人以上あるときは」と、同項第三号中「受託者の」とあるのは「各信託財産の共有持分が属する受託者の」と、「受託者が決する」とあるのは「受託者の協議による」と、同条第四項中「第二号」とあるのは「第二号又は第三号」とする。
第八十五条
受託者が二人以上ある信託において、二人以上の受託者がその任務に違反する行為をしたことにより第四十条の規定による責任を負う場合には、当該行為をした各受託者は、連帯債務者とする。
受託者が二人以上ある信託における第四十条第一項及び第四十一条の規定の適用については、これらの規定中「受益者」とあるのは、「受益者又は他の受託者」とする。
受託者が二人以上ある信託において第四十二条の規定により第四十条又は第四十一条の規定による責任が免除されたときは、他の受託者は、これらの規定によれば当該責任を負うべき者に対し、当該責任の追及に係る請求をすることができない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者が二人以上ある信託における第四十四条の規定の適用については、同条第一項中「受益者」とあるのは「受益者又は他の受託者」と、同条第二項中「当該受益者」とあるのは「当該受益者又は他の受託者」とする。
第八十六条
受託者が二人以上ある信託における第五十九条の規定の適用については、同条第一項中「受益者」とあるのは「受益者及び他の受託者」と、同条第三項及び第四項中「受託者の任務」とあるのは「すべての受託者の任務」とする。
受託者が二人以上ある信託における第六十条の規定の適用については、同条第一項中「受益者」とあるのは「受益者及び他の受託者」と、同条第二項及び第四項中「受託者の任務」とあるのは「すべての受託者の任務」とする。
受託者が二人以上ある信託における第七十四条第一項の規定の適用については、同項中「受託者の任務」とあるのは、「すべての受託者の任務」とする。
受託者が二人以上ある信託においては、第七十五条第一項及び第二項の規定にかかわらず、その一人の任務が第五十六条第一項各号に掲げる事由により終了した場合には、その任務が終了した時に存する信託に関する権利義務は他の受託者が当然に承継し、その任務は他の受託者が行う。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第八十七条
受託者が二人以上ある信託における第百六十三条第三号の規定の適用については、同号中「受託者が欠けた場合」とあるのは、「すべての受託者が欠けた場合」とする。
受託者が二人以上ある信託においては、受託者の一部が欠けた場合であって、前条第四項ただし書の規定によりその任務が他の受託者によって行われず、かつ、新受託者が就任しない状態が一年間継続したときも、信託は、終了する。
第八十八条
信託行為の定めにより受益者となるべき者として指定された者(次条第一項に規定する受益者指定権等の行使により受益者又は変更後の受益者として指定された者を含む。)は、当然に受益権を取得する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者は、前項に規定する受益者となるべき者として指定された者が同項の規定により受益権を取得したことを知らないときは、その者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第八十九条
受益者を指定し、又はこれを変更する権利(以下この条において「受益者指定権等」という。)を有する者の定めのある信託においては、受益者指定権等は、受託者に対する意思表示によって行使する。
前項の規定にかかわらず、受益者指定権等は、遺言によって行使することができる。
前項の規定により遺言によって受益者指定権等が行使された場合において、受託者がこれを知らないときは、これにより受益者となったことをもって当該受託者に対抗することができない。
受託者は、受益者を変更する権利が行使されたことにより受益者であった者がその受益権を失ったときは、その者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受益者指定権等は、相続によって承継されない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受益者指定権等を有する者が受託者である場合における第一項の規定の適用については、同項中「受託者」とあるのは、「受益者となるべき者」とする。
第九十条
次の各号に掲げる信託においては、当該各号の委託者は、受益者を変更する権利を有する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
前項第二号の受益者は、同号の委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第九十一条
受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。
第九十二条
受益者による次に掲げる権利の行使は、信託行為の定めにより制限することができない。
第九十三条
受益者は、その有する受益権を譲り渡すことができる。
ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
前項の規定にかかわらず、受益権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の信託行為の定め(以下この項において「譲渡制限の定め」という。)は、その譲渡制限の定めがされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。
第九十四条
受益権の譲渡は、譲渡人が受託者に通知をし、又は受託者が承諾をしなければ、受託者その他の第三者に対抗することができない。
前項の通知及び承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、受託者以外の第三者に対抗することができない。
第九十五条
受託者は、前条第一項の通知又は承諾がされるまでに譲渡人に対し生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
第九十五条の二
相続により受益権が承継された場合において、民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該受益権を承継した共同相続人が当該受益権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該受益権を承継した場合にあっては、当該受益権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして受託者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が受託者に通知をしたものとみなして、同法第八百九十九条の二第一項の規定を適用する。
第九十六条
受益者は、その有する受益権に質権を設定することができる。
ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
前項の規定にかかわらず、受益権の質入れを禁止し、又は制限する旨の信託行為の定め(以下この項において「質入制限の定め」という。)は、その質入制限の定めがされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった質権者その他の第三者に対抗することができる。
第九十七条
受益権を目的とする質権は、次に掲げる金銭等(金銭その他の財産をいう。以下この条及び次条において同じ。)について存在する。
第九十八条
受益権の質権者は、前条の金銭等(金銭に限る。)を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
前項の債権の弁済期が到来していないときは、受益権の質権者は、受託者に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。
この場合において、質権は、その供託金について存在する。
第九十九条
受益者は、受託者に対し、受益権を放棄する旨の意思表示をすることができる。
ただし、受益者が信託行為の当事者である場合は、この限りでない。
受益者は、前項の規定による意思表示をしたときは、当初から受益権を有していなかったものとみなす。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
第百条
受益債権に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
第百一条
受益債権は、信託債権に後れる。
第百二条
受益債権の消滅時効は、次項及び第三項に定める事項を除き、債権の消滅時効の例による。
受益債権の消滅時効は、受益者が受益者としての指定を受けたことを知るに至るまでの間(受益者が現に存しない場合にあっては、信託管理人が選任されるまでの間)は、進行しない。
受益債権の消滅時効は、次に掲げる場合に限り、援用することができる。
受益債権は、これを行使することができる時から二十年を経過したときは、消滅する。
第百三条
次に掲げる事項に係る信託の変更(第三項において「重要な信託の変更」という。)がされる場合には、これにより損害を受けるおそれのある受益者は、受託者に対し、自己の有する受益権を公正な価格で取得することを請求することができる。
ただし、第一号又は第二号に掲げる事項に係る信託の変更がされる場合にあっては、これにより損害を受けるおそれのあることを要しない。
信託の併合又は分割がされる場合には、これらにより損害を受けるおそれのある受益者は、受託者に対し、自己の有する受益権を公正な価格で取得することを請求することができる。
ただし、前項第一号又は第二号に掲げる事項に係る変更を伴う信託の併合又は分割がされる場合にあっては、これらにより損害を受けるおそれのあることを要しない。
前二項の受益者が、重要な信託の変更又は信託の併合若しくは信託の分割(以下この章において「重要な信託の変更等」という。)の意思決定に関与し、その際に当該重要な信託の変更等に賛成する旨の意思を表示したときは、前二項の規定は、当該受益者については、適用しない。
受託者は、重要な信託の変更等の意思決定の日から二十日以内に、受益者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、官報による公告をもって代えることができる。
第一項又は第二項の規定による請求(以下この款において「受益権取得請求」という。)は、第四項の規定による通知又は前項の規定による公告の日から二十日以内に、その受益権取得請求に係る受益権の内容を明らかにしてしなければならない。
受益権取得請求をした受益者は、受託者の承諾を得た場合に限り、その受益権取得請求を撤回することができる。
重要な信託の変更等が中止されたときは、受益権取得請求は、その効力を失う。
第百四条
受益権取得請求があった場合において、受益権の価格の決定について、受託者と受益者との間に協議が調ったときは、受託者は、受益権取得請求の日から六十日を経過する日(その日までに効力発生日が到来していない場合にあっては、効力発生日)までにその支払をしなければならない。
受益権の価格の決定について、受益権取得請求の日から三十日以内に協議が調わないときは、受託者又は受益者は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
裁判所は、前項の規定により価格の決定をする場合には、同項の申立てをすることができる者の陳述を聴かなければならない。
第二項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
第二項の規定による価格の決定の裁判に対しては、申立人及び同項の申立てをすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
前条第七項の規定にかかわらず、第二項に規定する場合において、受益権取得請求の日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、受益者は、いつでも、受益権取得請求を撤回することができる。
第一項の受託者は、裁判所の決定した価格に対する同項の期間の満了の日後の利息をも支払わなければならない。
受託者は、受益権の価格の決定があるまでは、受益者に対し、当該受託者が公正な価格と認める額を支払うことができる。
受益権取得請求に係る受託者による受益権の取得は、当該受益権の価格に相当する金銭の支払の時に、その効力を生ずる。
受益証券(第百八十五条第一項に規定する受益証券をいう。以下この章において同じ。)が発行されている受益権について受益権取得請求があったときは、当該受益証券と引換えに、その受益権取得請求に係る受益権の価格に相当する金銭を支払わなければならない。
受益権取得請求に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
ただし、信託行為又は当該重要な信託の変更等の意思決定において別段の定めがされたときは、その定めるところによる。
前条第一項又は第二項の規定により受託者が受益権を取得したときは、その受益権は、消滅する。
ただし、信託行為又は当該重要な信託の変更等の意思決定において別段の定めがされたときは、その定めるところによる。
第百五条
受益者が二人以上ある信託における受益者の意思決定(第九十二条各号に掲げる権利の行使に係るものを除く。)は、すべての受益者の一致によってこれを決する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
前項ただし書の場合において、信託行為に受益者集会における多数決による旨の定めがあるときは、次款の定めるところによる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第一項ただし書又は前項の規定にかかわらず、第四十二条の規定による責任の免除に係る意思決定の方法についての信託行為の定めは、次款の定めるところによる受益者集会における多数決による旨の定めに限り、その効力を有する。
第一項ただし書及び前二項の規定は、次に掲げる責任の免除については、適用しない。
第百六条
受益者集会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
受益者集会は、受託者(信託監督人が現に存する場合にあっては、受託者又は信託監督人)が招集する。
第百七条
受益者は、受託者(信託監督人が現に存する場合にあっては、受託者又は信託監督人)に対し、受益者集会の目的である事項及び招集の理由を示して、受益者集会の招集を請求することができる。
次に掲げる場合において、信託財産に著しい損害を生ずるおそれがあるときは、前項の規定による請求をした受益者は、受益者集会を招集することができる。
第百八条
受益者集会を招集する者(以下この款において「招集者」という。)は、受益者集会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
第百九条
受益者集会を招集するには、招集者は、受益者集会の日の二週間前までに、知れている受益者及び受託者(信託監督人が現に存する場合にあっては、知れている受益者、受託者及び信託監督人)に対し、書面をもってその通知を発しなければならない。
招集者は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、同項の通知を受けるべき者の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。
この場合において、当該招集者は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
前二項の通知には、前条各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
無記名式の受益証券が発行されている場合において、受益者集会を招集するには、招集者は、受益者集会の日の三週間前までに、受益者集会を招集する旨及び前条各号に掲げる事項を官報により公告しなければならない。
第百十条
招集者は、前条第一項の通知に際しては、法務省令で定めるところにより、知れている受益者に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下この条において「受益者集会参考書類」という。)及び受益者が議決権を行使するための書面(以下この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
招集者は、前条第二項の承諾をした受益者に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による受益者集会参考書類及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
ただし、受益者の請求があったときは、これらの書類を当該受益者に交付しなければならない。
招集者は、前条第四項の規定による公告をした場合において、受益者集会の日の一週間前までに無記名受益権(無記名式の受益証券が発行されている受益権をいう。第八章において同じ。)の受益者の請求があったときは、直ちに、受益者集会参考書類及び議決権行使書面を当該受益者に交付しなければならない。
招集者は、前項の規定による受益者集会参考書類及び議決権行使書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、受益者の承諾を得て、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該招集者は、同項の規定によるこれらの書類の交付をしたものとみなす。
第百十一条
招集者は、第百八条第三号に掲げる事項を定めた場合には、第百九条第二項の承諾をした受益者に対する電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、受益者に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
招集者は、第百八条第三号に掲げる事項を定めた場合において、第百九条第二項の承諾をしていない受益者から受益者集会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該受益者に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。
第百十二条
受益者は、受益者集会において、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定めるものに応じて、議決権を有する。
前項の規定にかかわらず、受益権が当該受益権に係る信託の信託財産に属するときは、受託者は、当該受益権については、議決権を有しない。
第百十三条
受益者集会の決議は、議決権を行使することができる受益者の議決権の過半数を有する受益者が出席し、出席した当該受益者の議決権の過半数をもって行う。
前項の規定にかかわらず、次に掲げる事項に係る受益者集会の決議は、当該受益者集会において議決権を行使することができる受益者の議決権の過半数を有する受益者が出席し、出席した当該受益者の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
前二項の規定にかかわらず、第百三条第一項第二号から第四号までに掲げる事項(同号に掲げる事項にあっては、受益者間の権衡に変更を及ぼすものを除く。)に係る重要な信託の変更等に係る受益者集会の決議は、当該受益者集会において議決権を行使することができる受益者の半数以上であって、当該受益者の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
前三項の規定にかかわらず、第百三条第一項第一号又は第四号に掲げる事項(同号に掲げる事項にあっては、受益者間の権衡に変更を及ぼすものに限る。)に係る重要な信託の変更等に係る受益者集会の決議は、総受益者の半数以上であって、総受益者の議決権の四分の三以上に当たる多数をもって行わなければならない。
受益者集会は、第百八条第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。
第百十四条
受益者は、代理人によってその議決権を行使することができる。
この場合においては、当該受益者又は代理人は、代理権を証明する書面を招集者に提出しなければならない。
前項の代理権の授与は、受益者集会ごとにしなければならない。
第一項の受益者又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該受益者又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
受益者が第百九条第二項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
第百十五条
受益者集会に出席しない受益者は、書面によって議決権を行使することができる。
書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を招集者に提出して行う。
前項の規定により書面によって行使した議決権は、出席した議決権者の行使した議決権とみなす。
第百十六条
電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該招集者に提供して行う。
受益者が第百九条第二項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
第一項の規定により電磁的方法によって行使した議決権は、出席した議決権者の行使した議決権とみなす。
第百十七条
受益者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。
この場合においては、受益者集会の日の三日前までに、招集者に対しその旨及びその理由を通知しなければならない。
招集者は、前項の受益者が他人のために受益権を有する者でないときは、当該受益者が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。
第百十八条
受託者(法人である受託者にあっては、その代表者又は代理人。次項において同じ。)は、受益者集会に出席し、又は書面により意見を述べることができる。
受益者集会又は招集者は、必要があると認めるときは、受託者に対し、その出席を求めることができる。
この場合において、受益者集会にあっては、これをする旨の決議を経なければならない。
第百十九条
受益者集会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第百八条及び第百九条の規定は、適用しない。
第百二十条
受益者集会の議事については、招集者は、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
第百二十一条
受益者集会の決議は、当該信託のすべての受益者に対してその効力を有する。
第百二十二条
受益者集会に関する必要な費用を支出した者は、受託者に対し、その償還を請求することができる。
前項の規定による請求に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
第百二十三条
信託行為においては、受益者が現に存しない場合に信託管理人となるべき者を指定する定めを設けることができる。
信託行為に信託管理人となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、信託管理人となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。
ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。
前項の規定による催告があった場合において、信託管理人となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者(委託者が現に存しない場合にあっては、受託者)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。
受益者が現に存しない場合において、信託行為に信託管理人に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより信託管理人となるべき者として指定された者が就任の承諾をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託管理人を選任することができる。
前項の規定による信託管理人の選任の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第一項の定めが設けられたものとみなす。
第四項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
第四項の規定による信託管理人の選任の裁判に対しては、委託者若しくは受託者又は既に存する信託管理人に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第百二十四条
次に掲げる者は、信託管理人となることができない。
第百二十五条
信託管理人は、受益者のために自己の名をもって受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
二人以上の信託管理人があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
この法律の規定により受益者に対してすべき通知は、信託管理人があるときは、信託管理人に対してしなければならない。
第百二十六条
信託管理人は、善良な管理者の注意をもって、前条第一項の権限を行使しなければならない。
信託管理人は、受益者のために、誠実かつ公平に前条第一項の権限を行使しなければならない。
第百二十七条
信託管理人は、その事務を処理するのに必要と認められる費用及び支出の日以後におけるその利息を受託者に請求することができる。
信託管理人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める損害の額について、受託者にその賠償を請求することができる。
信託管理人は、商法第五百十二条の規定の適用がある場合のほか、信託行為に信託管理人が報酬を受ける旨の定めがある場合に限り、受託者に報酬を請求することができる。
前三項の規定による請求に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
第三項の場合には、報酬の額は、信託行為に報酬の額又は算定方法に関する定めがあるときはその定めるところにより、その定めがないときは相当の額とする。
裁判所は、第百二十三条第四項の規定により信託管理人を選任した場合には、信託管理人の報酬を定めることができる。
前項の規定による信託管理人の報酬の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第三項の定め及び第五項の報酬の額に関する定めがあったものとみなす。
第六項の規定による信託管理人の報酬の裁判をする場合には、受託者及び信託管理人の陳述を聴かなければならない。
第六項の規定による信託管理人の報酬の裁判に対しては、受託者及び信託管理人に限り、即時抗告をすることができる。
第百二十八条
第五十六条の規定は、信託管理人の任務の終了について準用する。
この場合において、同条第一項第五号中「次条」とあるのは「第百二十八条第二項において準用する次条」と、同項第六号中「第五十八条」とあるのは「第百二十八条第二項において準用する第五十八条」と読み替えるものとする。
第五十七条の規定は信託管理人の辞任について、第五十八条の規定は信託管理人の解任について、それぞれ準用する。
第百二十九条
第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により信託管理人の任務が終了した場合における新たな信託管理人(次項において「新信託管理人」という。)の選任について準用する。
新信託管理人が就任した場合には、信託管理人であった者は、遅滞なく、新信託管理人がその事務の処理を行うのに必要な事務の引継ぎをしなければならない。
前項の信託管理人であった者は、受益者が存するに至った後においてその受益者となった者を知ったときは、遅滞なく、当該受益者となった者に対しその事務の経過及び結果を報告しなければならない。
第百三十条
信託管理人による事務の処理は、次に掲げる事由により終了する。
ただし、第二号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
前項の規定により信託管理人による事務の処理が終了した場合には、信託管理人であった者は、遅滞なく、受益者に対しその事務の経過及び結果を報告しなければならない。
ただし、受益者が存するに至った後においてその受益者となった者を知った場合に限る。
第百三十一条
信託行為においては、受益者が現に存する場合に信託監督人となるべき者を指定する定めを設けることができる。
信託行為に信託監督人となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、信託監督人となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。
ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。
前項の規定による催告があった場合において、信託監督人となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者(委託者が現に存しない場合にあっては、受託者)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。
受益者が受託者の監督を適切に行うことができない特別の事情がある場合において、信託行為に信託監督人に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより信託監督人となるべき者として指定された者が就任の承諾をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託監督人を選任することができる。
前項の規定による信託監督人の選任の裁判があったときは、当該信託監督人について信託行為に第一項の定めが設けられたものとみなす。
第四項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
第四項の規定による信託監督人の選任の裁判に対しては、委託者、受託者若しくは受益者又は既に存する信託監督人に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第百三十二条
信託監督人は、受益者のために自己の名をもって第九十二条各号(第十七号、第十八号、第二十一号及び第二十三号を除く。)に掲げる権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
二人以上の信託監督人があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第百三十三条
信託監督人は、善良な管理者の注意をもって、前条第一項の権限を行使しなければならない。
信託監督人は、受益者のために、誠実かつ公平に前条第一項の権限を行使しなければならない。
第百三十四条
第五十六条の規定は、信託監督人の任務の終了について準用する。
この場合において、同条第一項第五号中「次条」とあるのは「第百三十四条第二項において準用する次条」と、同項第六号中「第五十八条」とあるのは「第百三十四条第二項において準用する第五十八条」と読み替えるものとする。
第五十七条の規定は信託監督人の辞任について、第五十八条の規定は信託監督人の解任について、それぞれ準用する。
第百三十五条
第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により信託監督人の任務が終了した場合における新たな信託監督人(次項において「新信託監督人」という。)の選任について準用する。
新信託監督人が就任した場合には、信託監督人であった者は、遅滞なく、受益者に対しその事務の経過及び結果を報告し、新信託監督人がその事務の処理を行うのに必要な事務の引継ぎをしなければならない。
第百三十六条
信託監督人による事務の処理は、信託の清算の結了のほか、次に掲げる事由により終了する。
ただし、第一号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
前項の規定により信託監督人による事務の処理が終了した場合には、信託監督人であった者は、遅滞なく、受益者に対しその事務の経過及び結果を報告しなければならない。
委託者が現に存しない場合には、第一項第一号の規定は、適用しない。
第百三十七条
第百二十四条及び第百二十七条の規定は、信託監督人について準用する。
この場合において、同条第六項中「第百二十三条第四項」とあるのは、「第百三十一条第四項」と読み替えるものとする。
第百三十八条
信託行為においては、その代理する受益者を定めて、受益者代理人となるべき者を指定する定めを設けることができる。
信託行為に受益者代理人となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、受益者代理人となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。
ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。
前項の規定による催告があった場合において、受益者代理人となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者(委託者が現に存しない場合にあっては、受託者)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。
第百三十九条
受益者代理人は、その代理する受益者のために当該受益者の権利(第四十二条の規定による責任の免除に係るものを除く。)に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受益者代理人がその代理する受益者のために裁判上又は裁判外の行為をするときは、その代理する受益者の範囲を示せば足りる。
一人の受益者につき二人以上の受益者代理人があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受益者代理人があるときは、当該受益者代理人に代理される受益者は、第九十二条各号に掲げる権利及び信託行為において定めた権利を除き、その権利を行使することができない。
第百四十条
受益者代理人は、善良な管理者の注意をもって、前条第一項の権限を行使しなければならない。
受益者代理人は、その代理する受益者のために、誠実かつ公平に前条第一項の権限を行使しなければならない。
第百四十一条
第五十六条の規定は、受益者代理人の任務の終了について準用する。
この場合において、同条第一項第五号中「次条」とあるのは「第百四十一条第二項において準用する次条」と、同項第六号中「第五十八条」とあるのは「第百四十一条第二項において準用する第五十八条」と読み替えるものとする。
第五十七条の規定は受益者代理人の辞任について、第五十八条の規定は受益者代理人の解任について、それぞれ準用する。
第百四十二条
第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により受益者代理人の任務が終了した場合における新たな受益者代理人(次項において「新受益者代理人」という。)の選任について準用する。
この場合において、第六十二条第二項及び第四項中「利害関係人」とあるのは、「委託者又は受益者代理人に代理される受益者」と読み替えるものとする。
新受益者代理人が就任した場合には、受益者代理人であった者は、遅滞なく、その代理する受益者に対しその事務の経過及び結果を報告し、新受益者代理人がその事務の処理を行うのに必要な事務の引継ぎをしなければならない。
第百四十三条
受益者代理人による事務の処理は、信託の清算の結了のほか、次に掲げる事由により終了する。
ただし、第一号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
前項の規定により受益者代理人による事務の処理が終了した場合には、受益者代理人であった者は、遅滞なく、その代理した受益者に対しその事務の経過及び結果を報告しなければならない。
委託者が現に存しない場合には、第一項第一号の規定は、適用しない。
第百四十四条
第百二十四条及び第百二十七条第一項から第五項までの規定は、受益者代理人について準用する。
第百四十五条
信託行為においては、委託者がこの法律の規定によるその権利の全部又は一部を有しない旨を定めることができる。
信託行為においては、委託者も次に掲げる権利の全部又は一部を有する旨を定めることができる。
前項第一号、第七号から第九号まで又は第十一号から第十五号までに掲げる権利について同項の信託行為の定めがされた場合における第二十四条、第四十五条(第二百二十六条第六項、第二百二十八条第六項及び第二百五十四条第三項において準用する場合を含む。)又は第六十一条の規定の適用については、これらの規定中「受益者」とあるのは、「委託者又は受益者」とする。
信託行為においては、受託者が次に掲げる義務を負う旨を定めることができる。
委託者が二人以上ある信託における第一項、第二項及び前項の規定の適用については、これらの規定中「委託者」とあるのは、「委託者の全部又は一部」とする。
第百四十六条
委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。
委託者が二人以上ある信託における前項の規定の適用については、同項中「受託者及び受益者」とあるのは、「他の委託者、受託者及び受益者」とする。
第百四十七条
第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合には、委託者の相続人は、委託者の地位を相続により承継しない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第百四十八条
第九十条第一項各号に掲げる信託において、その信託の受益者が現に存せず、又は同条第二項の規定により受益者としての権利を有しないときは、委託者が第百四十五条第二項各号に掲げる権利を有し、受託者が同条第四項各号に掲げる義務を負う。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第百四十九条
信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。
この場合においては、変更後の信託行為の内容を明らかにしてしなければならない。
前項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによりすることができる。
この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。
前二項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める者による受託者に対する意思表示によってすることができる。
この場合において、第二号に掲げるときは、受託者は、委託者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。
前三項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
委託者が現に存しない場合においては、第一項及び第三項第一号の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。
第百五十条
信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により、信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして受益者の利益に適合しなくなるに至ったときは、裁判所は、委託者、受託者又は受益者の申立てにより、信託の変更を命ずることができる。
前項の申立ては、当該申立てに係る変更後の信託行為の定めを明らかにしてしなければならない。
裁判所は、第一項の申立てについての裁判をする場合には、受託者の陳述を聴かなければならない。
ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして申立てを却下する裁判をするときは、この限りでない。
第一項の申立てについての裁判には、理由の要旨を付さなければならない。
第一項の申立てについての裁判に対しては、委託者、受託者又は受益者に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第百五十一条
信託の併合は、従前の各信託の委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。
この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
前項の規定にかかわらず、信託の併合は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。
この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
委託者が現に存しない場合においては、第一項の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。
第百五十二条
信託の併合をする場合には、従前の信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、信託の併合について異議を述べることができる。
ただし、信託の併合をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。
前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別にこれを催告しなければならない。
ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。
第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該信託の併合について承認をしたものとみなす。
第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。次節において同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。
ただし、当該信託の併合をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
第百五十三条
信託の併合がされた場合において、従前の信託の信託財産責任負担債務であった債務は、信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務となる。
第百五十四条
信託の併合がされた場合において、前条に規定する従前の信託の信託財産責任負担債務のうち信託財産限定責任負担債務(受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う信託財産責任負担債務をいう。以下この章において同じ。)であるものは、信託の併合後の信託の信託財産限定責任負担債務となる。
第百五十五条
吸収信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。
この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
前項の規定にかかわらず、吸収信託分割は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。
この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
委託者が現に存しない場合においては、第一項の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。
第百五十六条
吸収信託分割をする場合には、分割信託又は承継信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、吸収信託分割について異議を述べることができる。
ただし、吸収信託分割をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。
前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別にこれを催告しなければならない。
ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。
第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収信託分割について承認をしたものとみなす。
第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。
ただし、当該吸収信託分割をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
第百五十七条
吸収信託分割がされた場合において、第百五十五条第一項第六号の債務は、吸収信託分割後の分割信託の信託財産責任負担債務でなくなり、吸収信託分割後の承継信託の信託財産責任負担債務となる。
この場合において、分割信託の信託財産限定責任負担債務であった債務は、承継信託の信託財産限定責任負担債務となる。
第百五十八条
第百五十六条第一項の規定により異議を述べることができる債権者(同条第二項の規定により各別の催告をしなければならないものに限る。)は、同条第二項の催告を受けなかった場合には、吸収信託分割前から有する次の各号に掲げる債権に基づき、受託者に対し、当該各号に定める財産をもって当該債権に係る債務を履行することを請求することもできる。
ただし、第一号に定める財産に対しては吸収信託分割がその効力を生ずる日における承継信託の移転を受ける財産の価額を、第二号に定める財産に対しては当該日における分割信託の信託財産の価額を限度とする。
第百五十九条
新規信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。
この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
前項の規定にかかわらず、新規信託分割は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。
この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
委託者が現に存しない場合においては、第一項の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。
第百六十条
新規信託分割をする場合には、従前の信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、新規信託分割について異議を述べることができる。
ただし、新規信託分割をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。
前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別に催告しなければならない。
ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。
第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該新規信託分割について承認をしたものとみなす。
第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。
ただし、当該新規信託分割をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
第百六十一条
新規信託分割がされた場合において、第百五十九条第一項第六号の債務は、新規信託分割後の従前の信託の信託財産責任負担債務でなくなり、新規信託分割後の新たな信託の信託財産責任負担債務となる。
この場合において、従前の信託の信託財産限定責任負担債務であった債務は、新たな信託の信託財産限定責任負担債務となる。
第百六十二条
第百六十条第一項の規定により異議を述べることができる債権者(同条第二項の規定により各別の催告をしなければならないものに限る。)は、同条第二項の催告を受けなかった場合には、新規信託分割前から有する次の各号に掲げる債権に基づき、受託者に対し、当該各号に定める財産をもって当該債権に係る債務を履行することを請求することもできる。
ただし、第一号に定める財産に対しては新規信託分割がその効力を生ずる日における新たな信託の信託財産の価額を、第二号に定める財産に対しては当該日における従前の信託の信託財産の価額を限度とする。
第百六十三条
信託は、次条の規定によるほか、次に掲げる場合に終了する。
第百六十四条
委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、信託を終了することができる。
委託者及び受益者が受託者に不利な時期に信託を終了したときは、委託者及び受益者は、受託者の損害を賠償しなければならない。
ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
前二項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
委託者が現に存しない場合には、第一項及び第二項の規定は、適用しない。
第百六十五条
信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により、信託を終了することが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして受益者の利益に適合するに至ったことが明らかであるときは、裁判所は、委託者、受託者又は受益者の申立てにより、信託の終了を命ずることができる。
裁判所は、前項の申立てについての裁判をする場合には、受託者の陳述を聴かなければならない。
ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして申立てを却下する裁判をするときは、この限りでない。
第一項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
第一項の申立てについての裁判に対しては、委託者、受託者又は受益者に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第百六十六条
裁判所は、次に掲げる場合において、公益を確保するため信託の存立を許すことができないと認めるときは、法務大臣又は委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人の申立てにより、信託の終了を命ずることができる。
裁判所は、前項の申立てについての裁判をする場合には、受託者の陳述を聴かなければならない。
ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして申立てを却下する裁判をするときは、この限りでない。
第一項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
第一項の申立てについての裁判に対しては、同項の申立てをした者又は委託者、受託者若しくは受益者に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人が第一項の申立てをしたときは、裁判所は、受託者の申立てにより、同項の申立てをした者に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。
受託者は、前項の規定による申立てをするには、第一項の申立てが悪意によるものであることを疎明しなければならない。
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第七十五条第五項及び第七項並びに第七十六条から第八十条までの規定は、第六項の規定により第一項の申立てについて立てるべき担保について準用する。
第百六十七条
裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上前条第一項の申立て又は同項第二号の警告をすべき事由があることを知ったときは、法務大臣にその旨を通知しなければならない。
第百六十八条
裁判所は、第百六十六条第一項の申立てについての裁判をする場合には、法務大臣に対し、意見を求めなければならない。
法務大臣は、裁判所が前項の申立てに係る事件について審問をするときは、当該審問に立ち会うことができる。
裁判所は、法務大臣に対し、第一項の申立てに係る事件が係属したこと及び前項の審問の期日を通知しなければならない。
第一項の申立てを却下する裁判に対しては、第百六十六条第四項に規定する者のほか、法務大臣も、即時抗告をすることができる。
第百六十九条
裁判所は、第百六十六条第一項の申立てがあった場合には、法務大臣若しくは委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人の申立てにより又は職権で、同項の申立てにつき決定があるまでの間、信託財産に関し、管理人による管理を命ずる処分(次条において「管理命令」という。)その他の必要な保全処分を命ずることができる。
裁判所は、前項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
第一項の規定による保全処分及び前項の規定による決定に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。
第百七十条
裁判所は、管理命令をする場合には、当該管理命令において、管理人を選任しなければならない。
前項の管理人は、裁判所が監督する。
裁判所は、第一項の管理人に対し、信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況の報告をし、かつ、その管理の計算をすることを命ずることができる。
第六十四条から第七十二条までの規定は、第一項の管理人について準用する。
この場合において、第六十五条中「前受託者」とあるのは、「受託者」と読み替えるものとする。
信託財産に属する権利で登記又は登録がされたものに関し前条第一項の規定による保全処分(管理命令を除く。)があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該保全処分の登記又は登録を嘱託しなければならない。
前項の規定は、同項に規定する保全処分の変更若しくは取消しがあった場合又は当該保全処分が効力を失った場合について準用する。
第百七十一条
裁判所が第百六十九条第一項の規定による保全処分をした場合には、非訟事件の手続の費用は、受託者の負担とする。
当該保全処分について必要な費用も、同様とする。
前項の保全処分又は第百六十九条第一項の申立てを却下する裁判に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消したときは、その抗告審における手続に要する裁判費用及び抗告人が負担した前審における手続に要する裁判費用は、受託者の負担とする。
第百七十二条
利害関係人は、裁判所書記官に対し、第百七十条第三項の報告又は計算に関する資料の閲覧を請求することができる。
利害関係人は、裁判所書記官に対し、前項の資料の謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。
前項の規定は、第一項の資料のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。
この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
法務大臣は、裁判所書記官に対し、第一項の資料の閲覧を請求することができる。
民事訴訟法第九十一条第五項の規定は、第一項の資料について準用する。
第百七十三条
裁判所は、第百六十六条第一項の規定により信託の終了を命じた場合には、法務大臣若しくは委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人の申立てにより又は職権で、当該信託の清算のために新受託者を選任しなければならない。
前項の規定による新受託者の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第一項の規定により新受託者が選任されたときは、前受託者の任務は、終了する。
第一項の新受託者は、信託財産から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
前項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判をする場合には、第一項の新受託者の陳述を聴かなければならない。
第四項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判に対しては、第一項の新受託者に限り、即時抗告をすることができる。
第百七十四条
信託が終了した場合には、当該信託を承継信託とする吸収信託分割は、することができない。
第百七十五条
信託は、当該信託が終了した場合(第百六十三条第五号に掲げる事由によって終了した場合及び信託財産についての破産手続開始の決定により終了した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)には、この節の定めるところにより、清算をしなければならない。
第百七十六条
信託は、当該信託が終了した場合においても、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
第百七十七条
信託が終了した時以後の受託者(以下「清算受託者」という。)は、次に掲げる職務を行う。
第百七十八条
清算受託者は、信託の清算のために必要な一切の行為をする権限を有する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
清算受託者は、次に掲げる場合には、信託財産に属する財産を競売に付することができる。
前項第一号の規定により信託財産に属する財産を競売に付したときは、遅滞なく、受益者等に対しその旨の通知を発しなければならない。
損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、第二項第一号の催告をしないで競売に付することができる。
第百七十九条
清算中の信託において、信託財産に属する財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算受託者は、直ちに信託財産についての破産手続開始の申立てをしなければならない。
信託財産についての破産手続開始の決定がされた場合において、清算受託者が既に信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者に支払ったものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
第百八十条
清算受託者は、条件付債権、存続期間が不確定な債権その他その額が不確定な債権に係る債務を弁済することができる。
この場合においては、これらの債権を評価させるため、裁判所に対し、鑑定人の選任の申立てをしなければならない。
前項の場合には、清算受託者は、同項の鑑定人の評価に従い同項の債権に係る債務を弁済しなければならない。
第一項の鑑定人の選任の手続に関する費用は、清算受託者の負担とする。
当該鑑定人による鑑定のための呼出し及び質問に関する費用についても、同様とする。
第一項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
第一項の規定による鑑定人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
前各項の規定は、清算受託者、受益者、信託債権者及び第百八十二条第一項第二号に規定する帰属権利者の間に別段の合意がある場合には、適用しない。
第百八十一条
清算受託者は、第百七十七条第二号及び第三号の債務を弁済した後でなければ、信託財産に属する財産を次条第二項に規定する残余財産受益者等に給付することができない。
ただし、当該債務についてその弁済をするために必要と認められる財産を留保した場合は、この限りでない。
第百八十二条
残余財産は、次に掲げる者に帰属する。
信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者(以下この項において「残余財産受益者等」と総称する。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合には、信託行為に委託者又はその相続人その他の一般承継人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなす。
前二項の規定により残余財産の帰属が定まらないときは、残余財産は、清算受託者に帰属する。
第百八十三条
信託行為の定めにより帰属権利者となるべき者として指定された者は、当然に残余財産の給付をすべき債務に係る債権を取得する。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第八十八条第二項の規定は、前項に規定する帰属権利者となるべき者として指定された者について準用する。
信託行為の定めにより帰属権利者となった者は、受託者に対し、その権利を放棄する旨の意思表示をすることができる。
ただし、信託行為の定めにより帰属権利者となった者が信託行為の当事者である場合は、この限りでない。
前項本文に規定する帰属権利者となった者は、同項の規定による意思表示をしたときは、当初から帰属権利者としての権利を取得していなかったものとみなす。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
第百条及び第百二条の規定は、帰属権利者が有する債権で残余財産の給付をすべき債務に係るものについて準用する。
帰属権利者は、信託の清算中は、受益者とみなす。
第百八十四条
清算受託者は、その職務を終了したときは、遅滞なく、信託事務に関する最終の計算を行い、信託が終了した時における受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)及び帰属権利者(以下この条において「受益者等」と総称する。)のすべてに対し、その承認を求めなければならない。
受益者等が前項の計算を承認した場合には、当該受益者等に対する清算受託者の責任は、免除されたものとみなす。
ただし、清算受託者の職務の執行に不正の行為があったときは、この限りでない。
受益者等が清算受託者から第一項の計算の承認を求められた時から一箇月以内に異議を述べなかった場合には、当該受益者等は、同項の計算を承認したものとみなす。
第百八十五条
信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨を定めることができる。
前項の規定は、当該信託行為において特定の内容の受益権については受益証券を発行しない旨を定めることを妨げない。
第一項の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)においては、信託の変更によって前二項の定めを変更することはできない。
第一項の定めのない信託においては、信託の変更によって同項又は第二項の定めを設けることはできない。
第百八十六条
受益証券発行信託の受託者は、遅滞なく、受益権原簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下この章において「受益権原簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
第百八十七条
第百八十五条第二項の定めのある受益権の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者についての受益権原簿に記載され、若しくは記録された受益権原簿記載事項を記載した書面の交付又は当該受益権原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、受益証券発行信託の受託者(法人である受託者にあっては、その代表者。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、受益証券発行信託の受託者が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
受益証券発行信託の受託者が二人以上ある場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「受益証券発行信託の受託者」とあるのは、「受益証券発行信託のすべての受託者」とする。
第百八十八条
受益証券発行信託の受託者は、受益権原簿管理人(受益証券発行信託の受託者に代わって受益権原簿の作成及び備置きその他の受益権原簿に関する事務を行う者をいう。以下同じ。)を定め、当該事務を行うことを委託することができる。
第百八十九条
受益証券発行信託の受託者は、一定の日(以下この条において「基準日」という。)を定めて、基準日において受益権原簿に記載され、又は記録されている受益者(以下この条において「基準日受益者」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
前項の規定は、無記名受益権の受益者については、適用しない。
基準日を定める場合には、受益証券発行信託の受託者は、基準日受益者が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
受益証券発行信託の受託者は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を官報に公告しなければならない。
ただし、信託行為に当該基準日及び基準日受益者が行使することができる権利の内容について定めがあるときは、この限りでない。
第一項、第三項及び前項本文の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第百九十条
受益証券発行信託の受託者は、受益権原簿をその住所(当該受託者が法人である場合(受益権原簿管理人が現に存する場合を除く。)にあってはその主たる事務所、受益権原簿管理人が現に存する場合にあってはその営業所)に備え置かなければならない。
委託者、受益者その他の利害関係人は、受益証券発行信託の受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
前項の請求があったときは、受益証券発行信託の受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
第百八十六条第三号又は第四号に掲げる事項(第百八十五条第二項の定めのない受益権に係るものに限る。)について第二項の請求があった場合において、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第百九十一条
受益証券発行信託の受託者が受益者に対してする通知又は催告は、受益権原簿に記載し、又は記録した当該受益者の住所(当該受益者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該受託者に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
受益証券発行信託の受益権が二人以上の者の共有に属するときは、共有者は、受益証券発行信託の受託者が受益者に対してする通知又は催告を受領する者一人を定め、当該受託者に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。
この場合においては、その者を受益者とみなして、前二項の規定を適用する。
前項の規定による共有者の通知がない場合には、受益証券発行信託の受託者が受益権の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
この法律の規定により受益証券発行信託の受託者が無記名受益権の受益者に対してすべき通知は、当該受益者のうち当該受託者に氏名又は名称及び住所の知れている者に対してすれば足りる。
この場合においては、当該受託者は、その通知すべき事項を官報に公告しなければならない。
第百九十二条
無記名受益権の受益者は、受益証券発行信託の受託者その他の者に対しその権利を行使しようとするときは、その受益証券を当該受託者その他の者に提示しなければならない。
無記名受益権の受益者は、受益者集会において議決権を行使しようとするときは、受益者集会の日の一週間前までに、その受益証券を第百八条に規定する招集者に提示しなければならない。
第百九十三条
受益証券発行信託の受益権が二人以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該受益権についての権利を行使する者一人を定め、受益証券発行信託の受託者に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該受益権についての権利を行使することができない。
ただし、当該受託者が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
第百九十四条
受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。)の譲渡は、当該受益権に係る受益証券を交付しなければ、その効力を生じない。
第百九十五条
受益証券発行信託の受益権の譲渡は、その受益権を取得した者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、受益証券発行信託の受託者に対抗することができない。
第百八十五条第二項の定めのある受益権に関する前項の規定の適用については、同項中「受託者」とあるのは、「受託者その他の第三者」とする。
第一項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
第百九十六条
受益証券の占有者は、当該受益証券に係る受益権を適法に有するものと推定する。
受益証券の交付を受けた者は、当該受益証券に係る受益権についての権利を取得する。
ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
第百九十七条
受益証券発行信託の受託者は、次の各号に掲げる場合には、法務省令で定めるところにより、当該各号の受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の併合がされた場合には、併合された受益権について、その受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の分割がされた場合には、分割された受益権について、その受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
前三項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
第百九十八条
受益証券発行信託の受益権を受益証券発行信託の受託者以外の者から取得した者(当該受託者を除く。)は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益権に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した受益権の受益者として受益権原簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
前二項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
第百九十九条
受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。)の質入れは、当該受益権に係る受益証券を交付しなければ、その効力を生じない。
第二百条
受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。)の質権者は、継続して当該受益権に係る受益証券を占有しなければ、その質権をもって受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗することができない。
第百八十五条第二項の定めのある受益権の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗することができない。
第二百一条
受益証券発行信託の受益権に質権を設定した者は、受益証券発行信託の受託者に対し、次に掲げる事項を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
第二百二条
前条第一項各号に掲げる事項が受益権原簿に記載され、又は記録された質権者(以下この節において「登録受益権質権者」という。)は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該登録受益権質権者についての受益権原簿に記載され、若しくは記録された同項各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、受益証券発行信託の受託者(法人である受託者にあっては、その代表者。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、受益証券発行信託の受託者が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
受益証券発行信託の受託者が二人以上ある場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「受益証券発行信託の受託者」とあるのは、「受益証券発行信託のすべての受託者」とする。
第二百三条
受益証券発行信託の受託者が登録受益権質権者に対してする通知又は催告は、受益権原簿に記載し、又は記録した当該登録受益権質権者の住所(当該登録受益権質権者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該受託者に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
第二百四条
受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の併合がされた場合において、当該受益権を目的とする質権の質権者が登録受益権質権者であるときは、併合された受益権について、その質権者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の分割がされた場合において、当該受益権を目的とする質権の質権者が登録受益権質権者であるときは、分割された受益権について、その質権者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
第二百五条
受益証券発行信託の受託者は、前条第一項に規定する場合には、併合された受益権に係る受益証券を登録受益権質権者に引き渡さなければならない。
受益証券発行信託の受託者は、前条第二項に規定する場合には、分割された受益権に係る受益証券を登録受益権質権者に引き渡さなければならない。
第二百六条
第百八十五条第二項の定めのある受益権で他の信託の信託財産に属するものについては、当該受益権が信託財産に属する旨を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、当該受益権が信託財産に属することを受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗することができない。
前項の受益権が属する他の信託の受託者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益権が信託財産に属する旨を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
受益権原簿に前項の規定による記載又は記録がされた場合における第百八十七条の規定の適用については、同条第一項中「第百八十五条第二項の定めのある受益権の受益者」とあるのは「第二百六条第一項の受益権が属する他の信託の受託者」と、「当該受益者」とあるのは「当該受益権」と、「記録された受益権原簿記載事項」とあるのは「記録された受益権原簿記載事項(当該受益権が信託財産に属する旨を含む。)」とする。
第二百七条
受益証券発行信託の受託者は、信託行為の定めに従い、遅滞なく、当該受益権に係る受益証券を発行しなければならない。
第二百八条
受益証券発行信託の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者の有する受益権に係る受益証券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
前項の規定による申出は、その申出に係る受益権の内容を明らかにしてしなければならない。
この場合において、当該受益権に係る受益証券が発行されているときは、当該受益者は、当該受益証券を受益証券発行信託の受託者に提出しなければならない。
第一項の規定による申出を受けた受益証券発行信託の受託者は、遅滞なく、前項前段の受益権に係る受益証券を発行しない旨を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
受益証券発行信託の受託者は、前項の規定による記載又は記録をしたときは、第二項前段の受益権に係る受益証券を発行することができない。
第二項後段の規定により提出された受益証券は、第三項の規定による記載又は記録をした時において、無効となる。
第一項の規定による申出をした受益者は、いつでも、受益証券発行信託の受託者に対し、第二項前段の受益権に係る受益証券を発行することを請求することができる。
この場合において、同項後段の規定により提出された受益証券があるときは、受益証券の発行に要する費用は、当該受益者の負担とする。
前各項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
第二百九条
受益証券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、受益証券発行信託の受託者(法人である受託者にあっては、その代表者)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
受益証券発行信託の受託者が二人以上ある場合における前項の規定の適用については、同項中「受益証券発行信託の受託者」とあるのは、「受益証券発行信託のすべての受託者」とする。
第二百十条
受益証券が発行されている受益権の受益者は、いつでも、その記名式の受益証券を無記名式とし、又はその無記名式の受益証券を記名式とすることを請求することができる。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第二百十一条
受益証券は、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第百条に規定する公示催告手続によって無効とすることができる。
受益証券を喪失した者は、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定を得た後でなければ、その再発行を請求することができない。
受益証券を喪失した者が非訟事件手続法第百十四条に規定する公示催告の申立てをしたときは、当該受益証券を喪失した者は、相当の担保を供して、受益証券発行信託の受託者に当該受益証券に係る債務を履行させることができる。
第二百十二条
受益証券発行信託においては、第二十九条第二項ただし書の規定にかかわらず、信託行為の定めにより同項本文の義務を軽減することはできない。
受益証券発行信託においては、第三十五条第四項の規定は、適用しない。
第二百十三条
受益証券発行信託においては、第九十二条第一号、第五号、第六号及び第八号の規定にかかわらず、次に掲げる権利の全部又は一部について、総受益者の議決権の百分の三(これを下回る割合を信託行為において定めた場合にあっては、その割合。以下この項において同じ。)以上の割合の受益権を有する受益者又は現に存する受益権の総数の百分の三以上の数の受益権を有する受益者に限り当該権利を行使することができる旨の信託行為の定めを設けることができる。
受益証券発行信託においては、第九十二条第一号の規定にかかわらず、次に掲げる権利の全部又は一部について、総受益者の議決権の十分の一(これを下回る割合を信託行為において定めた場合にあっては、その割合。以下この項において同じ。)以上の割合の受益権を有する受益者又は現に存する受益権の総数の十分の一以上の数の受益権を有する受益者に限り当該権利を行使することができる旨の信託行為の定めを設けることができる。
受益証券発行信託において、第三十九条第一項の規定による開示が同条第三項の信託行為の定めにより制限されているときは、前二項の規定は、適用しない。
受益証券発行信託においては、第九十二条第十一号の規定にかかわらず、六箇月(これを下回る期間を信託行為において定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き受益権を有する受益者に限り第四十四条第一項の規定による差止めの請求権を行使することができる旨の信託行為の定めを設けることができる。
第二百十四条
受益者が二人以上ある受益証券発行信託においては、信託行為に別段の定めがない限り、信託行為に受益者の意思決定(第九十二条各号に掲げる権利の行使に係るものを除く。)は第四章第三節第二款の定めるところによる受益者集会における多数決による旨の定めがあるものとみなす。
第二百十五条
受益証券発行信託においては、この法律の規定による委託者の権利のうち次に掲げる権利は、受益者がこれを行使する。
第二百十六条
限定責任信託は、信託行為においてそのすべての信託財産責任負担債務について受託者が信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う旨の定めをし、第二百三十二条の定めるところにより登記をすることによって、限定責任信託としての効力を生ずる。
前項の信託行為においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
第二百十七条
限定責任信託においては、信託財産責任負担債務(第二十一条第一項第八号に掲げる権利に係る債務を除く。)に係る債権に基づいて固有財産に属する財産に対し強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行若しくは競売又は国税滞納処分をすることはできない。
前項の規定に違反してされた強制執行、仮差押え、仮処分又は担保権の実行若しくは競売に対しては、受託者は、異議を主張することができる。
この場合においては、民事執行法第三十八条及び民事保全法第四十五条の規定を準用する。
第一項の規定に違反してされた国税滞納処分に対しては、受託者は、異議を主張することができる。
この場合においては、当該異議の主張は、当該国税滞納処分について不服の申立てをする方法でする。
第二百十八条
限定責任信託には、その名称中に限定責任信託という文字を用いなければならない。
何人も、限定責任信託でないものについて、その名称又は商号中に、限定責任信託であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
何人も、不正の目的をもって、他の限定責任信託であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって事業に係る利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある限定責任信託の受託者は、その利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
第二百十九条
受託者は、限定責任信託の受託者として取引をするに当たっては、その旨を取引の相手方に示さなければ、これを当該取引の相手方に対し主張することができない。
第二百二十条
この章の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
この章の規定により登記すべき事項につき故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。
第二百二十一条
第二百十六条第一項の定めを廃止する旨の信託の変更がされ、第二百三十五条の終了の登記がされたときは、その変更後の信託については、この章の規定は、適用しない。
第二百二十二条
限定責任信託における帳簿その他の書類又は電磁的記録の作成、内容の報告及び保存並びに閲覧及び謄写については、第三十七条及び第三十八条の規定にかかわらず、次項から第九項までに定めるところによる。
受託者は、法務省令で定めるところにより、限定責任信託の会計帳簿を作成しなければならない。
受託者は、限定責任信託の効力が生じた後速やかに、法務省令で定めるところにより、その効力が生じた日における限定責任信託の貸借対照表を作成しなければならない。
受託者は、毎年、法務省令で定める一定の時期において、法務省令で定めるところにより、限定責任信託の貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書その他の法務省令で定める書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
受託者は、前項の書類又は電磁的記録を作成したときは、その内容について受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)に報告しなければならない。
ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受託者は、第二項の会計帳簿を作成した場合には、その作成の日から十年間(当該期間内に信託の清算の結了があったときは、その日までの間。次項において同じ。)、当該会計帳簿(書面に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては当該電磁的記録、電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては当該書面)を保存しなければならない。
ただし、受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人。第八項において同じ。)に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
受託者は、信託財産に属する財産の処分に係る契約書その他の信託事務の処理に関する書類又は電磁的記録を作成し、又は取得した場合には、その作成又は取得の日から十年間、当該書類又は電磁的記録(書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては当該電磁的記録、電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては当該書面)を保存しなければならない。
この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
受託者は、第三項の貸借対照表及び第四項の書類又は電磁的記録(以下この項及び第二百二十四条第二項第一号において「貸借対照表等」という。)を作成した場合には、信託の清算の結了の日までの間、当該貸借対照表等(書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては当該電磁的記録、電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては当該書面)を保存しなければならない。
ただし、その作成の日から十年間を経過した後において、受益者に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
限定責任信託における第三十八条の規定の適用については、同条第一項各号中「前条第一項又は第五項」とあるのは「第二百二十二条第二項又は第七項」と、同条第四項第一号及び第六項各号中「前条第二項」とあるのは「第二百二十二条第三項又は第四項」とする。
第二百二十三条
裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、前条第二項から第四項までの書類の全部又は一部の提出を命ずることができる。
第二百二十四条
限定責任信託において、受託者が信託事務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該受託者は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
限定責任信託の受託者が、次に掲げる行為をしたときも、前項と同様とする。
ただし、受託者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
前二項の場合において、当該損害を賠償する責任を負う他の受託者があるときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第二百二十五条
限定責任信託においては、受益者に対する信託財産に係る給付は、その給付可能額(受益者に対し給付をすることができる額として純資産額の範囲内において法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下この節において同じ。)を超えてすることはできない。
第二百二十六条
受託者が前条の規定に違反して受益者に対する信託財産に係る給付をした場合には、次の各号に掲げる者は、連帯して(第二号に掲げる受益者にあっては、現に受けた個別の給付額の限度で連帯して)、当該各号に定める義務を負う。
ただし、受託者がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
受託者が前項第一号に定める義務の全部又は一部を履行した場合には、同項第二号に掲げる受益者は、当該履行された金額に同号の給付額の同項第一号の給付額に対する割合を乗じて得た金額の限度で同項第二号に定める義務を免れ、受益者が同号に定める義務の全部又は一部を履行した場合には、受託者は、当該履行された金額の限度で同項第一号に定める義務を免れる。
第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により受益者から受託者に対し支払われた金銭は、信託財産に帰属する。
第一項に規定する義務は、免除することができない。
ただし、当該給付をした日における給付可能額を限度として当該義務を免除することについて総受益者の同意がある場合は、この限りでない。
第一項本文に規定する場合において、同項第一号の義務を負う他の受託者があるときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第四十五条の規定は、第一項の規定による請求に係る訴えについて準用する。
第二百二十七条
前条第一項本文に規定する場合において、当該給付を受けた受益者は、給付額が当該給付をした日における給付可能額を超えることにつき善意であるときは、当該給付額について、受託者からの求償の請求に応ずる義務を負わない。
前条第一項本文に規定する場合には、信託債権者は、当該給付を受けた受益者に対し、給付額(当該給付額が当該信託債権者の債権額を超える場合にあっては、当該債権額)に相当する金銭を支払わせることができる。
第二百二十八条
受託者が受益者に対する信託財産に係る給付をした場合において、当該給付をした日後最初に到来する第二百二十二条第四項の時期に欠損額(貸借対照表上の負債の額が資産の額を上回る場合において、当該負債の額から当該資産の額を控除して得た額をいう。以下この項において同じ。)が生じたときは、次の各号に掲げる者は、連帯して(第二号に掲げる受益者にあっては、現に受けた個別の給付額の限度で連帯して)、当該各号に定める義務を負う。
ただし、受託者がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
受託者が前項第一号に定める義務の全部又は一部を履行した場合には、同項第二号に掲げる受益者は、当該履行された金額に同号の給付額の同項第一号の給付額に対する割合を乗じて得た金額の限度で同項第二号に定める義務を免れ、受益者が同号に定める義務の全部又は一部を履行した場合には、受託者は、当該履行された金額の限度で同項第一号に定める義務を免れる。
第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により受益者から受託者に対し支払われた金銭は、信託財産に帰属する。
第一項に規定する義務は、総受益者の同意がなければ、免除することができない。
第一項本文に規定する場合において、同項第一号の義務を負う他の受託者があるときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第四十五条の規定は、第一項の規定による請求に係る訴えについて準用する。
第二百二十九条
限定責任信託の清算受託者は、その就任後遅滞なく、信託債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている信託債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない。
前項の規定による公告には、当該信託債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。
第二百三十条
限定責任信託の清算受託者は、前条第一項の期間内は、清算中の限定責任信託の債務の弁済をすることができない。
この場合において、清算受託者は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができない。
前項の規定にかかわらず、清算受託者は、前条第一項の期間内であっても、裁判所の許可を得て、少額の債権、清算中の限定責任信託の信託財産に属する財産につき存する担保権によって担保される債権その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができる。
この場合において、当該許可の申立ては、清算受託者が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
清算受託者は、前項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。
第二項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
第二項の規定による弁済の許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第二百三十一条
清算中の限定責任信託の信託債権者(知れているものを除く。)であって第二百二十九条第一項の期間内にその債権の申出をしなかったものは、清算から除斥される。
前項の規定により清算から除斥された信託債権者は、給付がされていない残余財産に対してのみ、弁済を請求することができる。
二人以上の受益者がある場合において、清算中の限定責任信託の残余財産の給付を受益者の一部に対してしたときは、当該受益者の受けた給付と同一の割合の給付を当該受益者以外の受益者に対してするために必要な財産は、前項の残余財産から控除する。
第二百三十二条
信託行為において第二百十六条第一項の定めがされたときは、限定責任信託の定めの登記は、二週間以内に、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
第二百三十三条
限定責任信託の事務処理地に変更があったときは、二週間以内に、旧事務処理地においてはその変更の登記をし、新事務処理地においては前条各号に掲げる事項を登記しなければならない。
同一の登記所の管轄区域内において限定責任信託の事務処理地に変更があったときは、その変更の登記をすれば足りる。
前条各号(第四号を除く。)に掲げる事項に変更があったときは、二週間以内に、その変更の登記をしなければならない。
第二百三十四条
限定責任信託の受託者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、その事務処理地において、その登記をしなければならない。
第二百三十五条
第百六十三条(第六号及び第七号に係る部分を除く。)若しくは第百六十四条第一項若しくは第三項の規定により限定責任信託が終了したとき、又は第二百十六条第一項の定めを廃止する旨の信託の変更がされたときは、二週間以内に、終了の登記をしなければならない。
第二百三十六条
限定責任信託が終了した場合において、限定責任信託が終了した時における受託者が清算受託者となるときは、終了の日から、二週間以内に、清算受託者の氏名又は名称及び住所を登記しなければならない。
信託行為の定め又は第六十二条第一項若しくは第四項若しくは第百七十三条第一項の規定により清算受託者が選任されたときも、前項と同様とする。
第二百三十三条第三項の規定は、前二項の規定による登記について準用する。
第二百三十七条
限定責任信託の清算が結了したときは、第百八十四条第一項の計算の承認の日から、二週間以内に、清算結了の登記をしなければならない。
第二百三十八条
限定責任信託の登記に関する事務は、限定責任信託の事務処理地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所が管轄登記所としてつかさどる。
登記所に、限定責任信託登記簿を備える。
第二百三十九条
第二百三十二条及び第二百三十三条の規定による登記は受託者の申請によって、第二百三十五条から第二百三十七条までの規定による登記は清算受託者の申請によってする。
前項の規定にかかわらず、信託財産管理者又は信託財産法人管理人が選任されている場合には、第二百三十二条及び第二百三十三条の規定による登記(第二百四十六条の規定によるものを除く。)は、信託財産管理者又は信託財産法人管理人の申請によってする。
第二百四十条
限定責任信託の定めの登記の申請書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。
第二百四十一条
事務処理地の変更又は第二百三十二条各号(第四号を除く。)に掲げる事項の変更の登記の申請書には、事務処理地の変更又は登記事項の変更を証する書面を添付しなければならない。
法人である新受託者の就任による変更の登記の申請書には、前条第二号に掲げる書面を添付しなければならない。
会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、前条第三号ロ又はハに掲げる書面を添付しなければならない。
第二百四十二条
限定責任信託の終了の登記の申請書には、その事由の発生を証する書面を添付しなければならない。
第二百四十三条
次の各号に掲げる者が清算受託者となった場合の清算受託者の登記の申請書には、当該各号に定める書面を添付しなければならない。
第二百四十条(第二号に係る部分に限る。)の規定は、清算受託者が法人である場合の清算受託者の登記について準用する。
第二百四十四条
清算受託者の退任による変更の登記の申請書には、退任を証する書面を添付しなければならない。
第二百三十六条第一項に規定する事項の変更の登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添付しなければならない。
第二百四十一条第二項の規定は、法人である清算受託者の就任による変更の登記について準用する。
第二百四十五条
清算結了の登記の申請書には、第百八十四条第一項の計算の承認があったことを証する書面を添付しなければならない。
第二百四十六条
次に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、限定責任信託の事務処理地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。
第二百四十七条
限定責任信託の登記については、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第二条から第五条まで、第七条から第十五条まで、第十七条から第十九条の三まで、第二十一条から第二十四条まで、第二十六条、第二十七条、第五十一条から第五十三条まで、第七十一条第一項、第百三十二条から第百三十七条まで並びに第百三十九条から第百四十八条まで並びに民事保全法第五十六条の規定を準用する。
この場合において、商業登記法第五十一条第一項中「本店」とあるのは「事務処理地(信託法(平成十八年法律第百八号)第二百十六条第二項第四号に規定する事務処理地をいう。以下同じ。)」と、「移転した」とあるのは「変更した」と、同項並びに同法第五十二条第二項、第三項及び第五項中「新所在地」とあるのは「新事務処理地」と、同法第五十一条第一項及び第二項並びに第五十二条中「旧所在地」とあるのは「旧事務処理地」と、同法第七十一条第一項中「解散」とあるのは「限定責任信託の終了」と、民事保全法第五十六条中「法人を代表する者その他法人の役員」とあるのは「限定責任信託の受託者又は清算受託者」と、「法人の本店又は主たる事務所の所在地(外国法人にあっては、各事務所の所在地)」とあるのは「限定責任信託の事務処理地(信託法(平成十八年法律第百八号)第二百十六条第二項第四号に規定する事務処理地をいう。)」と読み替えるものとする。
第二百四十八条
受益証券発行信託である限定責任信託(以下「受益証券発行限定責任信託」という。)においては、信託行為の定めにより、会計監査人を置くことができる。
受益証券発行限定責任信託であって最終の貸借対照表(直近の第二百二十二条第四項の時期において作成された貸借対照表をいう。)の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であるものにおいては、会計監査人を置かなければならない。
第一項の信託行為の定めのある信託及び前項に規定する信託(以下「会計監査人設置信託」と総称する。)においては、信託行為に会計監査人を指定する定めを設けなければならない。
第二百四十九条
会計監査人は、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。第三項第二号において同じ。)又は監査法人でなければならない。
会計監査人に選任された監査法人は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し、これを受託者に通知しなければならない。
この場合においては、次項第二号に掲げる者を選定することはできない。
次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
第二百五十条
会計監査人設置信託において、会計監査人が欠けたときは、委託者及び受益者は、会計監査人が欠けた時から二箇月以内に、その合意により、新たな会計監査人(以下この条において「新会計監査人」という。)を選任しなければならない。
前項に規定する場合において、委託者が現に存しないとき、又は会計監査人が欠けた時から二箇月を経過しても同項の合意が調わないときは、新会計監査人の選任は、受益者のみでこれをすることができる。
前二項に規定する場合において、受益者が二人以上あるときは、受託者(信託監督人が現に存する場合にあっては、受託者又は信託監督人)は、前二項の規定により新会計監査人を選任するため、遅滞なく、受益者集会を招集しなければならない。
第一項又は第二項の規定により新会計監査人が選任されたときは、当該新会計監査人について信託行為に第二百四十八条第三項の定めが設けられたものとみなす。
会計監査人が欠けた場合には、辞任により退任した会計監査人は、新会計監査人が選任されるまで、なお会計監査人としての権利義務を有する。
第二百五十一条
第五十七条第一項本文の規定は会計監査人の辞任について、第五十八条第一項及び第二項の規定は会計監査人の解任について、それぞれ準用する。
第二百五十二条
会計監査人は、第二百二十二条第四項の書類又は電磁的記録を監査する。
この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。
会計監査人は、いつでも、次に掲げるものの閲覧及び謄写をし、又は受託者に対し、会計に関する報告を求めることができる。
会計監査人は、その職務を行うに当たっては、次のいずれかに該当する者を使用してはならない。
会計監査人設置信託における第二百二十二条第四項、第五項及び第八項の規定の適用については、同条第四項中「作成しなければ」とあるのは「作成し、第二百五十二条第一項の会計監査を受けなければ」と、同条第五項中「その内容」とあるのは「その内容及び会計監査報告」と、同条第八項中「作成した場合には」とあるのは「作成し、第二百五十二条第一項の会計監査を受けた場合には」と、「当該書面)」とあるのは「当該書面)及び当該会計監査報告」とする。
第二百五十三条
会計監査人は、その職務を行うに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない。
第二百五十四条
会計監査人がその任務を怠ったことによって信託財産に損失が生じた場合には、受益者は、当該会計監査人に対し、当該損失のてん補をすることを請求することができる。
前項の規定による損失のてん補として会計監査人が受託者に対し交付した金銭その他の財産は、信託財産に帰属する。
第四十二条(第一号に係る部分に限る。)並びに第百五条第三項及び第四項(第三号を除く。)の規定は第一項の規定による責任の免除について、第四十三条の規定は第一項の規定による責任に係る債権について、第四十五条の規定は第一項の規定による請求に係る訴えについて、それぞれ準用する。
この場合において、第百五条第四項第二号中「受託者がその任務」とあるのは、「会計監査人がその職務」と読み替えるものとする。
第二百五十五条
会計監査人設置信託において、会計監査人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該会計監査人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
会計監査人設置信託の会計監査人が、第二百五十二条第一項の会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項について虚偽の記載又は記録をしたときも、前項と同様とする。
ただし、会計監査人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
前二項の場合において、当該損害を賠償する責任を負う他の会計監査人があるときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第二百五十六条
第百二十七条第一項から第五項までの規定は、会計監査人の費用及び支出の日以後におけるその利息、損害の賠償並びに報酬について準用する。
第二百五十七条
会計監査人設置信託に係る信託行為に第二百十四条の別段の定めがない場合における第百十八条の規定の適用については、同条第一項中「同じ。)」とあるのは「同じ。)及び会計監査人」と、同条第二項中「受託者」とあるのは「受託者又は会計監査人」とする。
第二百五十八条
受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。以下同じ。)のない信託(公益信託に関する法律(令和六年法律第三十号)第二条第一項第一号に規定する公益信託を除く。以下この章において同じ。)は、第三条第一号又は第二号に掲げる方法によってすることができる。
受益者の定めのない信託においては、信託の変更によって受益者の定めを設けることはできない。
受益者の定めのある信託においては、信託の変更によって受益者の定めを廃止することはできない。
第三条第二号に掲げる方法によって受益者の定めのない信託をするときは、信託管理人を指定する定めを設けなければならない。
この場合においては、信託管理人の権限のうち第百四十五条第二項各号(第六号を除く。)に掲げるものを行使する権限を制限する定めを設けることはできない。
第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において信託管理人を指定する定めがない場合において、遺言執行者の定めがあるときは、当該遺言執行者は、信託管理人を選任しなければならない。
この場合において、当該遺言執行者が信託管理人を選任したときは、当該信託管理人について信託行為に前項前段の定めが設けられたものとみなす。
第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において信託管理人を指定する定めがない場合において、遺言執行者の定めがないとき、又は遺言執行者となるべき者として指定された者が信託管理人の選任をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託管理人を選任することができる。
この場合において、信託管理人の選任の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第四項前段の定めが設けられたものとみなす。
第百二十三条第六項から第八項までの規定は、前項の申立てについての裁判について準用する。
第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において、信託管理人が欠けた場合であって、信託管理人が就任しない状態が一年間継続したときは、当該信託は、終了する。
第二百五十九条
受益者の定めのない信託の存続期間は、二十年を超えることができない。
第二百六十条
第三条第一号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託においては、委託者(委託者が二人以上ある場合にあっては、そのすべての委託者)が第百四十五条第二項各号(第六号を除く。)に掲げる権利を有する旨及び受託者が同条第四項各号に掲げる義務を負う旨の定めが設けられたものとみなす。
この場合においては、信託の変更によってこれを変更することはできない。
第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託であって、第二百五十八条第五項後段又は第六項後段の規定により同条第四項前段の定めが設けられたものとみなされるものにおいては、信託の変更によって信託管理人の権限のうち第百四十五条第二項各号(第六号を除く。)に掲げるものを行使する権限を制限することはできない。
第二百六十一条
受益者の定めのない信託に関する次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。
受益者の定めのない信託に係る受託者の費用等、損害の賠償及び信託報酬については、第四十八条第五項(第五十三条第二項及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
受益者の定めのない信託に係る信託の変更については、第百四十九条第二項第一号及び第三項第二号の規定は、適用しない。
受益者の定めのない信託に係る信託の併合については、第百五十一条第二項第一号の規定は、適用しない。
受益者の定めのない信託に係る信託の分割については、第百五十五条第二項第一号及び第百五十九条第二項第一号の規定は、適用しない。
第二百六十二条
この法律の規定による非訟事件は、この条に特別の定めがある場合を除き、受託者の住所地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
受託者が二人以上ある場合における前項の規定の適用については、同項中「住所地」とあるのは、「いずれかの住所地」とする。
受託者の任務の終了後新受託者の就任前におけるこの法律の規定による裁判所に対する申立てに係る事件は、前受託者の住所地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
受託者が二人以上ある場合における前項の規定の適用については、同項中「受託者の任務」とあるのは、「すべての受託者の任務」とし、前受託者が二人以上ある場合における同項の規定の適用については、同項中「住所地」とあるのは、「いずれかの住所地」とする。
第六条第一項又は第二百五十八条第六項の申立てに係る事件は、遺言者の最後の住所地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
第二百六十三条
この法律の規定による非訟事件については、非訟事件手続法第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、適用しない。
第二百六十四条
この法律に定めるもののほか、この法律の規定による非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第二百六十五条
この法律の規定(第百五十二条第二項、第百五十六条第二項、第百六十条第二項及び第二百二十九条第一項を除く。)による公告は、受託者(受託者の任務の終了後新受託者の就任前にあっては、前受託者)が法人である場合には、当該法人における公告の方法(公告の期間を含む。)によりしなければならない。
第二百六十六条
会社法その他の法律の規定によりある法人が組織変更、合併その他の行為をするときは当該法人の債権者が当該行為について公告、催告その他の手続を経て異議を述べることができることとされている場合において、法人である受託者が当該行為をしようとするときは、受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、当該行為についてこれらの手続を経て異議を述べることができる債権者に含まれないものとする。
会社法その他の法律の規定による法人の事業の譲渡に関する規定の適用については、第三条第三号に掲げる方法によってする信託は、その適用の対象となる行為に含まれるものとする。
ただし、当該法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。
第二百六十七条
次に掲げる者が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。
前項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
第一項の場合において、犯人の収受した賄賂は、没収する。
その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第二百六十八条
前条第一項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。
前条第二項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。
第二百六十九条
第二百六十七条第一項に規定する者が法人であるときは、同項の規定は、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員又は支配人に対してそれぞれ適用する。
第二百七十条
受託者、第六十条第一項に規定する前受託者の相続人等、信託財産管理者、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された受託者の職務を代行する者、信託財産法人管理人、信託管理人、信託監督人、受益者代理人又は検査役は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。
ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
受益証券発行信託の受託者、信託財産管理者、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された受託者の職務を代行する者、信託財産法人管理人、信託監督人又は受益権原簿管理人は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。
ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
限定責任信託の受託者、信託財産管理者、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された受託者の職務を代行する者又は信託財産法人管理人は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。
ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
会計監査人設置信託の受託者、信託財産管理者、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された受託者の職務を代行する者、信託財産法人管理人又は信託監督人は、第二百五十条第三項の規定に違反して、会計監査人の選任の手続をすることを怠ったときは、百万円以下の過料に処する。
ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
第二百七十一条
次のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。
第一条
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
第一条
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第二十八条
前条の規定による改正後の信託法第九十五条の二の規定は、施行日前に開始した相続に関し遺産の分割による受益権の承継がされた場合において、施行日以後にその承継の通知がされるときにも、適用する。
第三十一条
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第一条
この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第二条
この法律(前条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条及び次条において同じ。)の施行の日前に、この法律による改正前の法律又はこれに基づく命令の規定(欠格条項その他の権利の制限に係る措置を定めるものに限る。)に基づき行われた行政庁の処分その他の行為及び当該規定により生じた失職の効力については、なお従前の例による。
第三条
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第六条
附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日(以下「第一号施行日」という。)前にされた信託については、第一号施行日以後にその効力を生ずるものであっても、第五十九条の規定による改正後の信託法第七条、第五十六条第一項(同法第百二十八条第一項、第百三十四条第一項及び第百四十一条第一項において準用する場合を含む。)及び第百二十四条(同法第百三十七条及び第百四十四条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第七条
政府は、会社法(平成十七年法律第八十六号)及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)における法人の役員の資格を成年被後見人又は被保佐人であることを理由に制限する旨の規定について、この法律の公布後一年以内を目途として検討を加え、その結果に基づき、当該規定の削除その他の必要な法制上の措置を講ずるものとする。
第一条
この法律は、公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第一条
この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第一条
この法律は、民法等の一部を改正する法律(令和八年法律第 号。以下「民法等改正法」という。)の施行の日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第五条
前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。