07-09 · 公職選挙法 · 制度型・要件判定型・成立要件型

被選挙権の要件|立候補できる年齢・国籍・欠格事由の 3 要件構造

被選挙権とは、選挙に立候補して当選できる権利 をいいます。被選挙権の要件は、選挙権(投票する権利)と異なり、選挙の種類ごとに年齢が異なる という特徴があり、加えて 欠格事由 に該当しないことが必要です。さらに、選挙権を持っていても被選挙権を持っていない場合(20 歳の日本国民は衆議院選挙で投票できるが立候補できない等)があり、直感と逆になりやすい構造 を持ちます。この記事では、選挙の種類ごとの年齢要件・国籍要件・欠格事由の内容と、被選挙権の停止・回復の仕組みを条文とともに解説します。

被選挙権とは、選挙に立候補して当選できる権利 をいいます。被選挙権の要件は、選挙権(投票する権利)と異なり、選挙の種類ごとに年齢が異なる という特徴があり、加えて 欠格事由 に該当しないことが必要です。さらに、選挙権を持っていても被選挙権を持っていない場合(20 歳の日本国民は衆議院選挙で投票できるが立候補できない等)があり、直感と逆になりやすい構造 を持ちます。この記事では、選挙の種類ごとの年齢要件・国籍要件・欠格事由の内容と、被選挙権の停止・回復の仕組みを条文とともに解説します。

カテゴリ:公職選挙法 / 種別:制度型・要件判定型・成立要件型
関連条文:(本法)公職選挙法第9条・第10条・第11条・第11条の2・第252条

本記事の主軸: 被選挙権の成立を 「①年齢要件(選挙の種類ごとに 25 歳または 30 歳)・②国籍要件(日本国籍)・③欠格事由非該当(一般欠格事由 + 選挙犯罪等による停止)」 の 3 要件構造で整理する。05009 v11(民法第709条の不法行為の 4 要件)と同じ §12-1-1 成立要件型構造を、公法(公職選挙法)分野で再応用する。

全体俯瞰(3 階層整理)

ここでは記事全体の要点を 3 階層で整理します。この節だけ読めば被選挙権制度の核心が把握できる構造 にしてあり、詳細は以下の各セクションで段階的に展開します。

【レベル 1:核】被選挙権の本質(資格成立 + 資格継続の二段構造)

被選挙権は 「民主主義への参加権の境界線」 を画す制度です。選挙権(投票する権利)と被選挙権(立候補する権利)は別系統 で、後者は 「資格成立判定」と「資格継続判定」の二段構造 を持ちます。

05009(民法第709条の不法行為)との決定的な違い: 05009 の 4 要件は 行為時点で一度判定すれば終わり の「一回成立型」ですが、被選挙権の 3 要件は 告示日時点で資格が維持されていることが必要 な「資格継続型」です。同じ §12-1-1 成立要件型でも、時間軸の扱いが根本的に異なる 点に注意が必要です。

【レベル 2:構造】3 要件の性質分類

被選挙権の 3 要件は 性質が異なります。漫然と「3 つ全部満たす」と覚えるのではなく、各要件が「何を求めているか」を性質ごとに整理 すると制度理解が深まります:

要件の性質何を求めているか守っている制度価値内容該当条文
主体資格(誰として)公職に就く資格を持つ国籍主体であるか国家意思形成主体性日本国籍第10条
能力資格(何ができるか)一定の政治的成熟性を制度上推定する年齢に達しているか政治判断成熟性25 歳または 30 歳(選挙の種類による)第10条
消極制限(何を欠いていないか)過去の行為による資格停止状態にないか民主的正統性の維持欠格事由非該当(拘禁刑・執行猶予中・選挙犯罪停止期間中ではない)第11条第252条

主体・能力は「積極要件」(持っていることを必要)、欠格は「消極要件」(持っていないことを必要)。性質の異なる 3 要件をすべて満たし、かつ告示日時点で維持されている ことで初めて被選挙権が成立します。3 要件はそれぞれ 「守っている制度価値」が異なる ため、「年齢・国籍・欠格」の単純な並列ではなく、民主主義参加権の異なる側面を多面的に審査する仕組み として理解されます。

※年齢要件が選挙ごとに異なる理由: 被選挙権の年齢要件は、公職の性質・政治的責任の重さ・継続的判断能力等を考慮して段階的に設定 されています。特に 参議院議員・都道府県知事は、広域的・長期的な政治判断が求められることから、30 歳以上 とされています。これは「政治判断成熟性」という制度価値の中で、公職の責任の重さに応じた段階的要求 を反映したものです。

※「能力資格」の制度設計上の特徴(実質評価ではなく形式基準): 被選挙権の年齢要件は、個別の候補者の実質的能力を審査するもの ではなく、「一定の政治的成熟性を制度上推定する形式的一律基準」 として機能しています。「30 歳に達した者は実際に成熟している」という 個別実体判断 ではなく、「制度として 30 歳線を引いている」という 形式的な資格線の設定 です。これは資格制度の 手続的安定性・公平性 を確保するための制度設計上の特徴であり、被選挙権が 「実力判定」ではなく「制度資格判定」 である本質を反映しています。

【レベル 3:例外】誤解されやすい 3 点

直感に反して結論が変わる 3 つの典型的誤解を最初に潰しておきます:

  • 「選挙権がある」≠ 「被選挙権がある」 — 18 歳の日本国民は投票できるが、25 歳/30 歳まで立候補できない(直感と逆の構造・両者の要件は別系統)
  • 「刑が終わった」≠ 「即被選挙権回復」 — 選挙犯罪では刑の終了後も 5〜10 年間の追加停止期間 が課されます(第252条)。一般犯罪と異なる扱い
  • 「被選挙権がある」≠ 「立候補できる」 — 別途、供託金・候補者届出・住所要件 等の手続要件が必要(資格と行使条件は分離)

制度の具体ルール(3 要件の詳細)

全体俯瞰の【レベル 2:構造】で示した「主体資格・能力資格・消極制限」の 3 要件について、ここから具体的内容・誤解防止のための補足を展開します。

最短理解: 被選挙権は「①年齢要件(衆議院・地方議会・市区町村長は 25 歳以上、参議院・都道府県知事は 30 歳以上)」「②国籍要件(日本国籍)」「③欠格事由非該当(拘禁刑の執行中・執行猶予中・選挙犯罪等による停止期間中ではない)」の 3 要件をすべて満たす必要がある。年齢は 告示日(公示日)時点 で判定される。

重要(直感と逆の核心): 選挙権を持っていても被選挙権を持っていない場合があります。 選挙権は 18 歳以上の日本国民全員 に認められますが、被選挙権の年齢要件は 25 歳または 30 歳 と高く設定されており、18〜24 歳(または 18〜29 歳)の日本国民は投票できるが立候補できない という時期があります。「投票できるなら立候補もできる」という単純な理解は誤りで、両者の要件は別系統 です。

重要(欠格事由の核心): 過去に刑事罰を受けた場合、被選挙権が停止される場合があります第11条第252条)。拘禁刑(従前の懲役・禁錮)の執行中・執行猶予期間中 は被選挙権を有しないとされ、さらに 選挙犯罪(買収・利害誘導等)で一定の刑を受けた場合 は刑の終了後も 5 年〜10 年間、被選挙権が停止されます。「刑が終わればすぐに立候補できる」という理解は誤りで、選挙犯罪については追加の停止期間 が課されます。

※補足①: 年齢は告示日(公示日)時点での年齢 が基準とされています(投票日や選挙当日ではなく告示日時点)。「告示日の翌日に 25 歳の誕生日を迎える」場合、告示日時点では 24 歳であるため衆議院議員選挙への立候補はできないとされます。告示日と誕生日の前後関係 を慎重に確認する必要があります。

※補足②: 二重国籍者の被選挙権 については個別の判断が必要とされる場合があります。日本国籍を有していても外国国籍を有する場合、公職就任との関係で 国籍選択公務就任の可否 が論点になる場合があります。一律に「日本国籍があれば足りる」と判断するのは早計で、複雑な事情がある場合は事前に弁護士・選挙管理委員会への確認を推奨します。

※補足③: 罰金刑は原則として被選挙権の欠格事由になりません が、選挙犯罪による罰金刑は別途の規制対象 になり得ます(第252条)。「罰金だから問題ない」という理解は誤りで、選挙犯罪・政治資金規正法違反等の特別な刑事処罰 は、罰金刑であっても被選挙権の停止につながる場合があります。

こんな方へ

  • 自分が特定の選挙に立候補できるか確認したい
  • 被選挙権の年齢要件(選挙の種類ごとに違う)を確認したい
  • 欠格事由(被選挙権を失う条件)を確認したい
  • 選挙権と被選挙権の違いを整理したい
  • 過去に刑事罰を受けた場合に被選挙権があるか確認したい
  • 二重国籍の場合の被選挙権の扱いを確認したい

この記事でわかること

  • 被選挙権の 3 要件(年齢・国籍・欠格事由非該当)
  • 選挙の種類ごとの年齢要件(25 歳 vs 30 歳)
  • 被選挙権の国籍要件
  • 被選挙権を失う欠格事由(拘禁刑・選挙犯罪等)
  • 選挙権と被選挙権の比較
  • 欠格事由が解消されるまでの期間
  • 拘禁刑一本化(令和 7 年(2025 年)6 月 1 日施行)の反映

結論:被選挙権は「年齢・国籍・欠格事由非該当」の 3 要件をすべて満たす必要がある

根拠条文:公職選挙法第10条(被選挙権)・公職選挙法第11条(選挙権及び被選挙権を有しない者)

選挙の種類被選挙権の年齢要件選挙権の年齢(参考)
衆議院議員25 歳以上18 歳以上
参議院議員30 歳以上18 歳以上
都道府県知事30 歳以上18 歳以上
都道府県議会議員25 歳以上18 歳以上
市区町村長25 歳以上18 歳以上
市区町村議会議員25 歳以上18 歳以上

重要: 被選挙権の年齢要件は選挙権(18 歳以上)よりも高く設定されています。特に 参議院議員・都道府県知事は 30 歳以上 が必要です。年齢は 告示日(公示日)時点 で満たしている必要があるとされています。被選挙権を有していても、立候補には別途 供託金の準備(→ 供託金制度とは)・候補者届出等の要件があります。

今すぐやること

  1. 立候補しようとする選挙の年齢要件を確認する(25 歳または 30 歳・告示日時点での年齢)
  2. 日本国籍を有しているか確認する(二重国籍の場合は専門家に確認)
  3. 欠格事由(拘禁刑の執行・執行猶予・選挙犯罪による停止等)に該当しないか確認する
  4. 欠格事由に該当する可能性がある場合は弁護士に相談する
  5. 立候補に向けた他の要件(供託金・住所要件等)も並行して確認する

判断フロー①:被選挙権の成立要件判定(公職選挙法第10条第11条関連)

自分はこの選挙に立候補できるか?

①年齢要件の判定(告示日時点)

  • 衆議院・都道府県議会・市区町村長・市区町村議会で 25 歳以上年齢要件を充足します([第10条](/law/325AC1000000100/#article-10))
  • 参議院・都道府県知事で 30 歳以上年齢要件を充足します
  • 上記未満の年齢立候補できません

②国籍要件の判定

  • 日本国民である国籍要件を充足します
  • 外国国籍のみを有する被選挙権は認められていません
  • 日本国籍と外国国籍を有する(二重国籍)個別の判断が必要とされる場合があります(弁護士・選挙管理委員会への確認推奨)

※ 欠格事由の該当性は個別の刑事判決の内容・時期・執行状況によって異なります。被選挙権の有無は弁護士または選挙管理委員会への確認を推奨します。

判断フロー②:選挙犯罪等による被選挙権停止期間の判定(公職選挙法第252条関連)

過去の刑事処罰により被選挙権がいつ回復するか?

一般的な欠格事由(拘禁刑・執行猶予)

  • 拘禁刑の執行中釈放・仮釈放後(ただし執行猶予中は継続)
  • 拘禁刑の執行猶予期間中執行猶予期間の満了時に被選挙権回復
  • 罰金刑(一般犯罪)原則として被選挙権の欠格事由にならない

選挙犯罪(買収・利害誘導等)

  • 買収・利害誘導罪で禁錮以上の刑(実刑)刑の執行終了から 5 年間停止
  • 買収・利害誘導罪で禁錮以上の刑(執行猶予)執行猶予の判決が確定してから 10 年間停止(執行猶予期間中+執行猶予終了後の追加期間)
  • 選挙の自由妨害罪等刑の終了から 5 年間等
  • 選挙犯罪による連座(当選無効)5 年間停止(同一選挙区での立候補制限)

※ 選挙犯罪による被選挙権の停止期間は、刑事処罰の内容・連座制の適用等によって異なります。具体的な停止期間は個別の判決内容によるため、弁護士への確認を推奨します。

① 要件 1:年齢要件(選挙の種類ごとに 25 歳または 30 歳)

被選挙権の年齢要件は、選挙の種類ごとに 25 歳または 30 歳が必要とされており、選挙権(18 歳以上)よりも高く設定されています。

根拠条文:公職選挙法第10条

年齢の基準日

年齢は 告示日(衆参議員選挙は公示日)時点 での年齢が基準とされています。選挙当日や投票日ではなく、告示日時点 での年齢が判断基準となります。

例: 告示日の翌日に 25 歳の誕生日を迎える場合、告示日時点では 24 歳であるため、衆議院議員選挙への立候補はできないとされています。告示日と誕生日の前後関係 を慎重に確認する必要があります。

選挙の種類ごとの一覧

選挙の種類年齢要件
衆議院議員25 歳以上
参議院議員30 歳以上
都道府県知事30 歳以上
都道府県議会議員25 歳以上
市区町村長25 歳以上
市区町村議会議員25 歳以上

選挙権(投票する権利)との比較: 選挙権はすべての選挙で 18 歳以上 に認められており、選挙の種類による違いはありません(第9条)。これに対し、被選挙権は選挙の種類によって 25 歳または 30 歳 が必要であり、年齢要件の構造が異なります。

② 要件 2:国籍要件(日本国籍)

被選挙権を有するためには日本国籍を有することが必要です。

根拠条文:公職選挙法第10条

二重国籍者の扱い

日本国籍と外国国籍を併有する場合、被選挙権の有無は形式的に「日本国籍を有する」ことで充足 されますが、公職就任との関係で国籍選択 が問題になる場合があります。国会議員等の公職に就任する場合の国籍要件・公務員の国籍要件等、別系統の規制が適用される場面があるため、二重国籍者については個別の事情に応じた判断 が必要です。

住所要件(地方選挙)

地方公共団体の議会議員選挙などでは、年齢・国籍に加えて、その区域内に引き続き 3 か月以上住所を有する こと等が要件となる場合があります(地方自治法・公職選挙法による)。国政選挙や首長選挙とは要件が異なる ため、立候補する選挙ごとに選挙管理委員会への確認が必要です。

③ 要件 3:欠格事由非該当(一般欠格事由 + 選挙犯罪等による停止)

一定の事由に該当する場合、被選挙権を失います。欠格事由は大きく「一般的な欠格事由」と「選挙犯罪等による停止」に分かれます。

根拠条文:公職選挙法第11条(選挙権及び被選挙権を有しない者)・公職選挙法第252条(選挙犯罪による選挙権及び被選挙権の停止)

一般的な欠格事由(第11条

欠格事由内容
拘禁刑の執行中刑事施設に収容されている期間は被選挙権を有しないとされます
執行猶予期間中拘禁刑を受け、執行猶予中の期間は被選挙権を有しないとされます

注意: 罰金刑は原則として被選挙権の欠格事由になりません が、選挙犯罪による罰金刑は別途の規制があります(後述)。

※拘禁刑一本化について: 令和 4 年(2022 年)法律第 67 号(刑法等の一部を改正する法律)により、令和 7 年(2025 年)6 月 1 日から従前の「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に統一されました。本記事の欠格事由記述は施行後の表記によります。

選挙犯罪等による被選挙権の停止(第252条

選挙の 買収・利害誘導等の選挙犯罪 で一定の刑を受けた場合、刑の執行終了後も 一定期間、被選挙権が停止 されます。

違反の種類停止期間(刑の終了等から)
買収・利害誘導罪(禁錮以上の刑・実刑)5 年間
買収・利害誘導罪(禁錮以上の刑・執行猶予)10 年間(執行猶予期間 + 追加期間)
選挙の自由妨害罪等5 年間等
選挙犯罪による連座(当選無効)5 年間(同一選挙区での立候補制限)

重要: 選挙犯罪による被選挙権の停止期間は、刑事処罰の内容・連座制の適用等によって異なります。具体的な停止期間は個別の判決内容によるため、弁護士への確認 を推奨します。連座制の詳細は 選挙違反になるケース を参照してください。

④ 被選挙権の回復タイミング

欠格事由が解消された場合、被選挙権は回復します。ただし選挙犯罪の場合は一定期間の停止が続きます。

根拠条文:公職選挙法第252条

回復のタイミング

欠格事由の種類被選挙権が回復するタイミング
拘禁刑の執行中釈放・仮釈放後(ただし執行猶予中は継続)
執行猶予期間執行猶予期間の満了時
選挙犯罪による停止(実刑)刑の執行終了から 5 年間経過後
選挙犯罪による停止(執行猶予)執行猶予判決確定から 10 年間経過後
連座制による停止当選無効・立候補制限から 5 年間経過後

公民権停止との関係: 政治資金規正法等の違反でも公民権(選挙権・被選挙権)が停止される場合があります。被選挙権の回復時期は 違反の種類・処罰内容 によって異なります。

⑤ 選挙権と被選挙権の対比(直感と逆の構造)

選挙権(投票する権利)は 18 歳以上の日本国民に認められますが、被選挙権(立候補できる権利)は選挙の種類ごとに年齢要件が異なります。

根拠条文:公職選挙法第9条(選挙権)・公職選挙法第10条(被選挙権)

比較表

権利年齢要件国籍要件欠格事由
選挙権(投票する権利)18 歳以上(すべての選挙共通)日本国民拘禁刑の執行中・執行猶予中・選挙犯罪による停止中等
被選挙権(立候補できる権利・衆議院・地方議会・市区町村)25 歳以上日本国民選挙権の欠格事由 + 選挙犯罪等による追加停止
被選挙権(参議院・都道府県知事)30 歳以上日本国民同上

直感と逆になりやすい点: 選挙権を持っていても被選挙権を持っていない場合があります。例えば、20 歳の日本国民は衆議院議員選挙で投票できますが、立候補はできません(25 歳未満のため)。同様に、28 歳の日本国民は参議院議員選挙で投票できますが、立候補はできません(30 歳未満のため)。「投票できるなら立候補もできる」という単純な理解は誤りです。

⑥ 被選挙権と立候補の要件の違い

被選挙権を有していることと、実際に立候補できることは異なります。立候補には別途の届出要件・供託金の準備等が必要です。

被選挙権は立候補の 前提条件の一つ です。被選挙権を有していても、以下の要件も満たす必要があります:

  • 供託金の預け入れ(選挙の種類ごとに定められた金額を法務局に預け入れる → 供託金制度とは
  • 候補者届出(所定の書類を選挙管理委員会に提出)
  • 選挙運動費用の制限内での活動(公職選挙法の選挙運動費用の上限・第189条等)
  • 住所要件(地方選挙の場合・地方自治法・公職選挙法による)
  • 国会議員兼職禁止等の制約(地方公務員法・国家公務員法の関連規定)

このテーマで使う条文一覧

条文法令区分内容
公職選挙法第9条公職選挙法周辺選挙権(18 歳以上の日本国民・欠格事由)
公職選挙法第10条公職選挙法中核被選挙権(年齢要件・選挙の種類ごとの規定)
公職選挙法第11条公職選挙法中核選挙権及び被選挙権を有しない者(一般欠格事由)
公職選挙法第11条の2公職選挙法周辺公務員等の在職中の選挙運動禁止に関する規定
公職選挙法第252条公職選挙法中核選挙犯罪による選挙権及び被選挙権の停止(停止期間)

まとめ

  • 被選挙権は 「年齢・国籍・欠格事由非該当」の 3 要件 をすべて満たす必要があります(5009 v11 と同じ §12-1-1 成立要件型構造)
  • 年齢要件は選挙の種類によって異なります。衆議院・都道府県議会・市区町村は 25 歳以上、参議院・都道府県知事は 30 歳以上第10条
  • 年齢は 告示日(公示日)時点 での年齢が基準とされています
  • 選挙権(18 歳以上)より被選挙権の年齢要件が高い という直感と逆になりやすい点に注意が必要です
  • 拘禁刑(従前の懲役・禁錮)の執行中・執行猶予中 は被選挙権を有しないとされます(第11条
  • 選挙犯罪(買収等)で一定の刑を受けた場合 は、刑の終了等から 5 年〜10 年間、被選挙権が停止されます(第252条
  • 欠格事由に該当するかどうかは 個別の刑事判決の内容・時期・執行状況 によって異なるため、弁護士への確認 を推奨します
  • 被選挙権を有していても、立候補には 供託金・届出等の別途の要件 が必要です(→ 供託金制度とは
  • 拘禁刑一本化(令和 7 年(2025 年)6 月 1 日施行)により従前の「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に統一されています

被選挙権の有無・欠格事由の該当性は個別の事情によって異なるため、選挙管理委員会または弁護士への相談をおすすめします。

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