供託金とは、立候補者が候補者届出の際に法務局に預け入れる一定の金額 です。選挙で 一定の得票数を得られなかった場合、この供託金は 国庫または地方公共団体に没収 されます。供託金制度は、無謀・いたずら目的の立候補を抑制し、選挙の秩序を保つ ことを目的として設けられている一方、経済的に恵まれない候補者の立候補を事実上制限する という批判もある制度です。さらに、選挙の種類ごとに供託金額・没収基準が異なり、比例代表選挙では名簿単位で算定 される等、運用上の細かいルールがあります。この記事では、選挙の種類ごとの供託金額・没収条件・返還ルール・比例代表における特殊な扱いを条文とともに解説します。
カテゴリ:公職選挙法 / 種別:制度型・ルール整理型・制度機能型派生(供託機能 + 没収・返還の条件構造)
関連条文:(本法)公職選挙法第92条・第93条・第94条・第95条
本記事の主軸: 供託金制度を 「①供託の機能(立候補要件としての預け入れ・選挙秩序維持)・②没収の条件(得票基準による分岐)・③返還の手続(払渡請求・消滅時効)・④比例代表の特例(名簿単位の算定)」 の 4 軸構造で整理する。05003 v5(民事執行・債権回収手続の制度機能型)と同じ §12-2-2 制度機能型構造を、選挙制度の経済的フィルター機能で再応用する。
全体俯瞰(3 階層整理)
ここでは記事全体の要点を 3 階層で整理します。この節だけ読めば供託金制度の核心が把握できる構造 にしてあり、詳細は以下の各セクションで段階的に展開します。
【レベル 1:核】供託金制度は「民主参加負担調整制度」
供託金制度は、単なる 「預け金制度」ではなく、また「立候補の資格審査制度」でもありません。本質は 「立候補の自由を保障しつつ、選挙秩序維持に伴う社会的負担を、立候補者という当事者にも一部分担させることで、無制限な立候補を抑制する民主参加負担調整制度」 です(被選挙権という「資格制度」とは別系統で、それを充足した者の中でさらに参加コストを調整する仕組み)。
※「主観的本気度の審査」ではなく「客観的スクリーニング」: 供託金制度は、候補者の 主観的な「本気度」「熱意」を国家が審査する制度ではありません。実際には、「一定の政治的支持を獲得し得る客観的可能性」を経済的負担を通じて事前にスクリーニング する制度です。「真剣性」と表現される場合も、内心評価ではなく「経済的負担を負ってでも立候補する者」という客観的指標 を通じた制度的判断であり、主観的熱意の評価ではなく制度上の立候補スクリーニング が本質です。
※「国家側評価」ではなく「候補者側リスク負担」: さらに精緻に見ると、供託金制度は 国家が候補者の支持可能性を事前に審査・評価する制度ではありません。本質は 「一定の得票に達しなかった場合に経済的不利益が生じる仕組みを設けることで、候補者側に経済的リスクを引き受けさせ、結果として無制限な立候補を制度的に抑制する」 構造です。
| 観点 | 国家審査制度(該当しない) | リスク負担型参加調整制度(実際の制度) |
|---|---|---|
| 主体方向 | 国家 → 候補者を評価 | 候補者 → リスクを引き受ける |
| 動作原理 | 事前審査によるふるい分け | 事後の経済的不利益の可能性が事前抑制効果を生む |
| 制度設計 | 国家による主観・客観評価 | 候補者の自己選択(リスクを取って立候補するか) |
→ つまり供託金制度は 「国家が判定する制度」ではなく、「候補者がリスクを引き受けることで自己抑制する制度」 です。「国家による事前審査」という見方ではなく、「経済的リスクを通じた候補者側の自己選択装置」 として理解することが、制度の本質に最も近い解釈です。
※「国家フィルター」ではなく「コスト内部化型参加調整制度」: 最も精緻に見ると、供託金制度の本質は 「国家が候補者の参加を許可制で制限するフィルター」ではありません。実際には 「立候補に伴う選挙秩序維持コスト(投開票事務・選挙運営・候補乱立対応等)の一部を、候補者側にも経済的負担として分担させることで、無制限な立候補を抑制する制度」 です。
| 観点 | 国家フィルター制度(該当しない) | コスト内部化型参加調整制度(実際の制度) |
|---|---|---|
| 制度の動作 | 国家側が候補者をふるい分ける | 候補者側が選挙秩序維持コストの一部を引き受ける |
| 経済的負担の意味 | 立候補の障壁・参加禁止のコスト | 選挙秩序維持負担の候補者側への分担(候補者乱立による社会的負担を当事者に一部負担させる構造) |
| 制度設計の発想 | 国家が境界線を引く | コストを候補者側に負わせる仕組みが結果として参加調整を生む |
→ つまり供託金制度は 「国家フィルター」ではなく「コスト内部化型参加調整制度」 です。「経済的負担」は候補者を排除するための障壁ではなく、本来であれば社会全体(国民・行政)が負担する選挙秩序維持コストを、立候補者という当事者に一部分担させる制度設計 であり、これが結果として無制限な立候補を抑制します。これは 3 階層の制度純化(①国家審査 → ②候補者リスク負担 → ③選挙秩序維持負担の社会・候補者間での分担)の最終層に位置する解釈です。
制度は 「立候補の自由」と「選挙秩序の維持」の緊張関係 の上に立っています:
| 緊張軸 | 内容 |
|---|---|
| 立候補の自由を尊重する側 | 国民は誰でも立候補できる権利を持つ(被選挙権の充足が前提) |
| 選挙秩序の維持を要求する側 | 無謀・いたずら立候補による選挙運営の混乱・コスト負担を防ぐ必要 |
→ この緊張を 「経済的フィルター」 で調整したのが供託金制度です。「制度目的(無謀立候補の抑制)」と「制度コスト(経済的に恵まれない候補者の事実上の制限)」の二面性 が制度の本質です。さらに制度内部は 「立候補要件としての預託」と「支持不足時の経済的不利益(没収)」 の二段構造で構成されます。
【レベル 2:構造】4 軸構造と相対判定制度
#### 制度の 4 軸
| 軸 | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| ①供託の機能 | 立候補要件としての預け入れ(選挙秩序維持の経済的フィルター) | 第92条 |
| ②没収の条件 | 得票基準による分岐(有効投票総数または定数按分値の一定割合未満で没収) | 第93条 |
| ③返還の手続 | 払渡請求・消滅時効による条件付き返還 | 第95条 |
| ④比例代表の特例 | 名簿単位の算定(個人得票ではなく政党得票で判定) | 第92条第2項・第93条第2項 |
#### 没収判定は「相対判定制度」
供託金の没収判定は 「自分が何票取ったか」(絶対基準)ではなく、「有効投票総数との比較」(相対基準) で決まる 「外部変動型基準」 です:
| 判定方式 | 内容 |
|---|---|
| 絶対基準(該当しない) | 「○○票以上で没収回避」のような固定値判定 |
| 相対基準(実際の制度) | 有効投票総数 ÷ 10(小選挙区等)・有効投票総数 ÷ 議員定数 ÷ 10(複数定数)等 |
→ 他候補者の得票数や投票率の変動が結果に影響 するため、事前の試算は参考程度に留め、当選しなかった場合は没収のリスクがある と認識する必要があります。
【レベル 3:例外】誤解されやすい 3 点
直感に反して結論が変わる 3 つの典型的誤解を最初に潰しておきます:
- 「供託金 = 罰金」≠ 真 — 供託金は 立候補要件としての預託(第92条)であって、罰則ではありません。没収は「制裁」ではなく「支持獲得不足時の経済的フィルター作用」 であり、当選した者・没収基準を上回った者は必ず返還 されます。
- 「預ければ自動的に戻る」≠ 真 — 返還には 法務局への払渡請求が必要(第95条)。さらに 消滅時効 があり、放置すると返還請求権を失う場合があります。「預けたら自動で戻る」という理解は誤りで、条件充足 + 能動的請求 が必要です。
- 「個人得票で計算」≠ 比例代表 — 比例代表選挙の供託金は、個人ではなく名簿全体の得票結果 で没収・返還が決まります(第93条第2項)。政党の獲得議席数を上回る登載者数に応じて没収額が算定 されるため、個人での試算は困難です。
制度の具体ルール(4 軸の詳細)
→ 全体俯瞰の【レベル 2:構造】で示した「供託機能・没収条件・返還手続・比例代表特例」の 4 軸について、ここから具体的内容・誤解防止のための補足を展開します。
最短理解: 供託金は「①立候補届出の前に法務局(供託所)に預け入れる(第92条)」「②得票数が「有効投票総数の 10 分の 1(または定数按分値)」未満なら没収(第93条)」「③没収されない場合は選挙後に法務局への払渡請求で返還(第95条)」「④比例代表は名簿単位の供託(登載者 1 人あたり 600 万円)で名簿全体の得票結果で判定」の 4 ルールで運用される。
重要(金額確認の核心): 本記事に記載する供託金額・没収基準は法律に基づくものですが、法改正により変更される場合があります。 立候補予定の選挙の 正確な供託金額・没収基準は、必ず立候補時に選挙管理委員会の最新資料で確認 してください。本記事の数値は参考であり、確定情報としてそのまま使用しないでください。供託金は高額(衆議院小選挙区 300 万円・比例代表名簿登載者 1 人 600 万円等)であり、確認漏れによる立候補不能・想定外の没収のリスク が大きい制度です。
重要(没収判定の核心): 没収基準は「自分の得票」だけでは決まりません。 有効投票総数(または定数按分値)との比較 で決まるため、他の候補者の得票や投票率が結果に影響 します。「過去の選挙でこのくらい取れたから今回も大丈夫」という単純予測は危険で、当該選挙の投票総数の動向 によって没収/返還の境界が変動します。投票終了まで没収/返還は確定しません。
※補足①: 当選した候補者は必ず没収基準を上回っている ため、当選した場合は供託金は 必ず返還 されます。供託金没収のリスクは 落選(没収基準未満) の場合に発生します。「当選すれば返ってくる」という理解は正しいですが、当選確実な情勢でも投票結果次第のため、返還を前提とした資金計画は危険 です。
※補足②: 供託金の返還請求権には消滅時効があります。返還を受ける権利があっても 時効になると請求できなくなる 場合があるため、選挙後早めに払渡請求の手続き を行う必要があります。「忘れていた」「他の業務に追われて遅くなった」という事情で時効消滅しても、原則として救済されません。当選者は返還請求の手続きが供託の管轄法務局でも別途必要 です。
※補足③: 政党の公認・推薦を受けても、供託金は候補者本人または政党が負担します。政党による供託金の 補填は政党の内部的な取り決め によるものであり、法律上の義務ではありません。「公認候補だから政党が出してくれるはず」という前提で立候補を決めると、直前で資金準備が必要 になる場合があります。所属政党の内規・慣行を事前に確認することが重要です。
こんな方へ
- 選挙に立候補する際の供託金の金額を確認したい
- 供託金が没収される条件(得票数の基準)を知りたい
- 供託金が返還される条件・手続きを確認したい
- 供託金を準備する方法・手続きを確認したい
- 政党が公認する候補者の供託金の扱いを確認したい
- 比例代表選挙での供託金の特殊な扱いを確認したい
この記事でわかること
- 選挙の種類ごとの供託金額(衆議院・参議院・地方選挙)
- 供託金が没収される得票数の基準(有効投票総数の 10 分の 1 等)
- 供託金の預け入れ先・手続き
- 供託金が返還される条件・払渡請求の時効
- 政党の公認・推薦と供託金の関係
- 比例代表選挙の名簿単位の算定方式
結論:供託金は立候補時に法務局に預け、得票が有効投票総数の一定割合に満たない場合は没収される
根拠条文:公職選挙法第92条(供託)・公職選挙法第93条(供託物の没収)
| 選挙の種類 | 供託金額 | 没収される得票基準 |
|---|---|---|
| 衆議院議員(小選挙区) | 300 万円 | 有効投票総数の 10 分の 1 未満 |
| 衆議院議員(比例代表) | 600 万円(名簿登載者 1 人あたり) | 名簿単位で算定 |
| 参議院議員(選挙区) | 300 万円 | 有効投票総数を議員定数で除した数の 8 分の 1 未満 |
| 参議院議員(比例代表) | 600 万円(名簿登載者 1 人あたり) | 名簿単位で算定 |
| 都道府県知事 | 300 万円 | 有効投票総数の 10 分の 1 未満 |
| 都道府県議会議員 | 60 万円 | 有効投票総数を議員定数で除した数の 10 分の 1 未満 |
| 市区町村長 | 100 万円 | 有効投票総数の 10 分の 1 未満 |
| 市区町村議会議員 | 30 万円 | 有効投票総数を議員定数で除した数の 10 分の 1 未満 |
重要: 上記の金額・没収点は 法律に定められたものですが、法改正により変更される可能性があります。供託金額・没収基準は 立候補予定の選挙について必ず選挙管理委員会の最新資料で確認 してください。本記事の数値はあくまで参考であり、確定情報としてそのまま使用しないでください。
今すぐやること
- 立候補する選挙の供託金額を確認する(最新の選挙管理委員会資料で)
- 供託金の預け入れ先(管轄法務局)を確認する
- 供託書を取得する・手続きを確認する(選挙管理委員会または法務局に問い合わせ)
- 没収ラインの得票数を試算する(過去の選挙結果を参考に)
- 政党公認の場合は供託金負担の取り決めを確認する(党の内規・慣行)
- 選挙後の返還請求の段取り(払渡請求)を事前に把握する(消滅時効に注意)
判断フロー①:供託金の没収・返還判定(公職選挙法第93条・第95条関連)
選挙後、供託金は返還されるか?
返還される場合(没収されない)
- 当選した当選した候補者は必ず没収基準を上回っているため返還されます
- 落選したが得票数が没収基準を上回った供託金は返還されます([第95条](/law/325AC1000000100/#article-95))
- 立候補を辞退・候補者死亡(選挙期日の前に届出があった)時期や理由によって供託金の扱いが異なるため、選挙管理委員会・法務局への確認が必要です
没収される場合
- 得票数が有効投票総数(または定数按分値)の一定割合未満供託金は没収されます([第93条](/law/325AC1000000100/#article-93)・国庫または地方公共団体へ)
- 供託金を預け入れずに立候補立候補そのものができないとされています(供託は立候補の要件)
- 候補者の届出取消し(選挙期日後・選挙犯罪等)個別の判断が必要となる場合があります
※ 「有効投票総数の 10 分の 1」は選挙ごとに異なります。実際の選挙結果(投票総数の動向)によって変わるため、事前に試算することはできますが、確定するのは投票終了後です。
判断フロー②:供託の手続きフローと比例代表の特例判定(公職選挙法第92条関連)
供託金の預け入れ手続きの流れはどうなるか?比例代表は何が違うか?
一般的な供託手続き(小選挙区・知事・市区町村長等)
- Step1:管轄の法務局(供託所)に供託書を提出供託書の書式は法務局または選挙管理委員会で入手可能
- Step2:供託金を納付法務局の指定する方法で(現金または振込)
- Step3:供託書の正本(供託受理証明書等)を受領
- Step4:候補者届出の際に供託書の写し等を提出
比例代表選挙の特例
- 供託の主体候補者個人ではなく政党等が名簿届出時に供託([第92条第2項](/law/325AC1000000100/#article-92))
- 供託金額名簿登載者 1 人あたり 600 万円(衆・参共通)
- 没収判定名簿全体の得票結果で算定(個々の候補者の得票ではない・[第93条第2項](/law/325AC1000000100/#article-93))
- 没収範囲政党の獲得議席数を上回る登載者数に応じて没収額が決まる仕組み
※ 比例代表選挙の供託金は 個々の候補者ではなく政党全体の得票 で没収・返還が決まるため、個人での試算は困難です。具体的な計算方法・返還条件については、届出の際に選挙管理委員会・総務省に確認することを推奨します。
① 機能:供託金制度の目的と仕組み
→ 供託金制度は、無謀・いたずら目的の立候補を抑制し、選挙の公正・秩序を保つために設けられています。
根拠条文:公職選挙法第92条
供託金制度がない場合、立候補にかかるコストが低くなり、選挙運動の妨害や混乱を目的とした候補者が多数立候補する事態 が生じる可能性があります。供託金制度は、立候補に 経済的なコストを課す ことで、真剣に当選を目指す候補者のみが立候補するよう促す 機能を果たしているとされています。
制度に対する批判的視点: 一方で、供託金額が高額であることにより、経済的に恵まれていない候補者の立候補を事実上制限する という批判もあります。各国と比較しても日本の供託金は高水準とされています。多様な候補者の立候補を促進する民主主義の観点 と 選挙秩序を保つ観点 のバランスが論点となっています。
② 機能:供託の方法・手続き
→ 供託金は、立候補届出の前に法務局(供託所)に預け入れる必要があります。
根拠条文:公職選挙法第92条第1項
手続きの流れ
Step 1:管轄の法務局(供託所)に供託書を提出する
└ 供託書の書式は法務局または選挙管理委員会で入手可能
Step 2:供託金を納付する(現金または振込)
└ 法務局の指定する方法で納付
Step 3:供託書の正本(供託受理証明書等)を受領する
Step 4:候補者届出の際に供託書の写し等を提出する
└ 供託が完了していることを証明する書類が届出に必要とされます提出先の確認: 供託金を預け入れる 法務局(供託所)の管轄は立候補する選挙の区域 によって異なります。事前に選挙管理委員会または法務局に確認することを推奨します。
③ 機能:没収の条件(得票数の計算)
→ 供託金が没収されるかどうかは、選挙後の得票数と有効投票総数(または定数按分値)の比較で決まります。
根拠条文:公職選挙法第93条(供託物の没収)
没収基準の計算方法
小選挙区・知事選・市区町村長選の場合:
没収ライン = 有効投票総数 ÷ 10
→ 自分の得票数 < 没収ライン → 没収
→ 自分の得票数 ≥ 没収ライン → 返還議員選挙(複数定数)の場合:
没収ライン =(有効投票総数 ÷ 議員定数)÷ 10
→ 自分の得票数 < 没収ライン → 没収
→ 自分の得票数 ≥ 没収ライン → 返還計算例(都道府県議会議員選挙で定数 5・有効投票総数 10 万票の場合):
没収ライン =(100,000 ÷ 5)÷ 10 = 2,000 票
→ 2,000 票以上獲得すれば返還、未満なら没収重要: 没収基準は 「自分の得票」だけでは決まらず、有効投票総数(投票率)・他の候補者の得票数・議員定数 によって変動します。事前の試算は参考程度に留め、当選しなかった場合は没収のリスクがある と認識しておく必要があります。
④ 機能:比例代表選挙の供託金(名簿単位の算定)
→ 比例代表選挙では、名簿登載者 1 人あたりの金額で供託し、名簿全体の得票結果で没収・返還が決まります。
根拠条文:公職選挙法第92条第2項・公職選挙法第93条第2項
衆議院・参議院比例代表の扱い
比例代表選挙では、政党等が 名簿を届け出る際に、名簿登載者 1 人あたり一定額(衆・参ともに 600 万円)を供託 します。
没収の基準は名簿単位で算定 されるため、個々の候補者の得票ではなく 政党全体の得票 で判定されます。政党の獲得議席数を上回る登載者数に応じて没収額が決まる仕組み で、登載者数が多すぎる名簿(議席獲得見込みを大きく超える人数を登載した場合)は、超過分について没収 されることになります。
具体的な計算方法・返還条件については、届出の際に選挙管理委員会・総務省に確認することを推奨します。
⑤ 機能:供託金の返還(払渡請求と消滅時効)
→ 没収基準を上回る得票を得た場合、選挙後に供託金は返還されます。返還には法務局への払渡請求が必要で、消滅時効があります。
根拠条文:公職選挙法第95条(供託物の返還)
返還の手続き
没収されなかった供託金は、選挙後に法務局(供託所)から返還 されます。返還を受けるためには、法務局に対して払渡しの請求 を行う必要があります。
返還請求の時期: 選挙の効力が確定した後(選挙争訟がない場合は投票日から一定期間後)に払渡しの請求が可能となります。具体的な手続きは法務局または選挙管理委員会に確認してください。
消滅時効: 供託金の払渡請求権には消滅時効があります。返還を受ける権利があっても 時効になると請求できなくなる 場合があるため、選挙後早めに手続きすることを推奨 します。
⑥ 政党公認・推薦と供託金
→ 政党の公認・推薦を受けても、供託金は候補者本人が負担する必要があります。ただし政党が補填する場合があります。
供託金は、立候補する候補者(または比例代表の場合は政党等)が 負担するもの です。政党の公認・推薦を受けた場合、政党が供託金を用意・補填することがあります が、これは政党の内部的な取り決めによるものであり、法律上の義務ではありません。
政党の公認・推薦と供託金の関係については、所属する政党の内規・慣行を確認 することを推奨します。
このテーマで使う条文一覧
| 条文 | 法令 | 区分 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 公職選挙法第92条 | 公職選挙法 | 中核 | 供託(立候補要件としての供託・金額・預け入れ先) |
| 公職選挙法第93条 | 公職選挙法 | 中核 | 供託物の没収(得票基準・没収先) |
| 公職選挙法第94条 | 公職選挙法 | 周辺 | 供託物の没収の特例 |
| 公職選挙法第95条 | 公職選挙法 | 中核 | 供託物の返還(返還の条件・手続き) |
まとめ
- 供託金は 立候補届出の前に法務局(供託所)に預け入れる 必要があります(第92条)
- 得票数が 有効投票総数(または定数按分値)の一定割合未満 の場合は没収されます(第93条)
- 没収基準は選挙の種類によって異なります(小選挙区・知事・市長は有効投票総数の 10 分の 1 等)
- 没収基準を上回る得票を得た場合は、選挙後に法務局への払渡請求 により返還を受けられます(第95条)
- 比例代表は名簿全体の得票 で没収・返還が決まります(名簿登載者 1 人 600 万円・政党単位で算定)
- 供託金の 金額・没収基準は改正されることがあります。立候補前に 選挙管理委員会で最新情報を確認 してください
- 返還請求権には 消滅時効 があるため、選挙後早めに手続きすることを推奨します
- 政党公認候補でも 供託金の負担は内部的な取り決め に依存し、法律上の政党義務ではありません
- 供託金制度の趣旨は 「選挙秩序の維持」と「経済的フィルター機能」 にあり、多様な候補者の立候補との関係で論点があります
供託の具体的な手続き・返還の時期・比例代表における計算方法の詳細は個別の事情によって異なるため、法務局または選挙管理委員会への確認をおすすめします。
関連ガイド
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