07-04 · 公職選挙法 · 制度型・ルール整理型・制度機能型(部分解禁+継続禁止型)

選挙運動における有料広告の規制|媒体・主体・時期で変わる適法性

選挙運動における有料広告は、媒体(インターネット/新聞/テレビ・ラジオ)・主体(候補者・政党 vs 一般有権者)・時期(選挙運動期間内/外) の 3 軸で適法性が変わります。2013 年(平成 25 年)の公職選挙法改正でインターネット選挙運動が解禁されましたが、有料インターネット広告は一般有権者には依然として禁止 されており、候補者・政党も条件付きでしか出稿できません。新聞広告・テレビ広告にはさらに別の制限があります。「インターネットだから自由」「無料投稿が OK だから有料広告も OK」という理解はいずれも誤りです。この記事では、媒体ごとの規制内容・主体ごとの違い・違反した場合のリスクを条文とともに解説します。

選挙運動における有料広告は、媒体(インターネット/新聞/テレビ・ラジオ)・主体(候補者・政党 vs 一般有権者)・時期(選挙運動期間内/外) の 3 軸で適法性が変わります。2013 年(平成 25 年)の公職選挙法改正でインターネット選挙運動が解禁されましたが、有料インターネット広告は一般有権者には依然として禁止 されており、候補者・政党も条件付きでしか出稿できません。新聞広告・テレビ広告にはさらに別の制限があります。「インターネットだから自由」「無料投稿が OK だから有料広告も OK」という理解はいずれも誤りです。この記事では、媒体ごとの規制内容・主体ごとの違い・違反した場合のリスクを条文とともに解説します。

カテゴリ:公職選挙法 / 種別:制度型・ルール整理型・制度機能型(部分解禁+継続禁止型)
関連条文:(本法)公職選挙法第142条の3・第142条の6・第148条・第149条・第150条・第151条・第201条の8

本記事の主軸: 選挙運動における有料広告の適法性を 「媒体(インターネット/新聞/テレビ・ラジオ)・主体(候補者・政党 vs 一般有権者)・時期(選挙運動期間内/外・告示前/告示後)」 の 3 軸で判定する制度機能を整理する。07002 v8(インターネット選挙運動の部分解禁+継続禁止型)と同じ §12-2-2 制度機能型構造を、有料広告という別軸で再応用する。

全体俯瞰(3 階層整理)

ここでは記事全体の要点を 3 階層で整理します。この節だけ読めば制度の核心が把握できる構造 にしてあり、詳細は以下の各セクションで段階的に展開します。

【レベル 1:核】有料広告規制の根本理由

有料広告規制の核心は「資金力で選挙結果が決まることの防止」です。資金力のある候補者ほど多くの広告で情報拡散が可能になるため、有料広告を自由化すると 候補者間の経済的格差が選挙結果に直接影響 します。新聞・テレビ・ラジオ・インターネットすべてで有料広告が厳格に制限されている根本理由は、この一点に集約 されます。

【レベル 2:構造】判定の 3 軸

適法性は 「媒体・主体・時期」 の 3 軸の組合せで確定します。1 軸でも条件を欠くと違反となる場合があります。

内容
媒体インターネット/新聞/テレビ・ラジオ
主体候補者・政党 vs 一般有権者・支援者
時期告示前/告示後(投票日前日まで)/投票日当日

【レベル 3:例外】誤解されやすい 3 点

直感に反して結論が変わる 3 つの典型的誤解を最初に潰しておきます:

  • ネット選挙解禁 ≠ 全面自由化 — 2013 年改正で解禁されたのは無料投稿等の限定範囲。有料広告は依然制限下にあります。
  • 無料投稿 OK ≠ 有料広告 OK — 同じ内容でも、無料 SNS 投稿は許容され、有料プロモーション設定(ブースト等)は違反となる場合があります。媒体ではなく 「費用支払いの有無」が分岐点 です。
  • 政党広告 ≠ 選挙運動広告 — 政党による広告でも、特定候補の当選を目的とする内容は選挙運動広告として規制対象になり得ます。目的によって規制が変わる 構造です。

制度の具体ルール(3 軸の詳細)

全体俯瞰の【レベル 2:構造】で示した「媒体・主体・時期」の 3 軸について、ここから具体的な制限内容・誤解防止のための補足を展開します。

最短理解: 選挙運動目的の有料広告は「①有料インターネット広告:候補者・政党は条件付き可・一般有権者は禁止(第142条の6)」「②新聞広告:候補者は法定回数・規格内のみ可・無償の選挙公報とは別系統(第149条)」「③テレビ・ラジオ広告:候補者は政見放送・経歴放送等の公的枠のみ・有料広告は禁止(第150条第151条)」「④選挙運動期間外(告示前):候補者・政党も選挙運動目的の有料広告は事前運動として禁止」の 4 ルールで構成される。

条件付き可とは: 候補者・政党による有料広告について「条件付き可」と表記される場合、それは 以下のような複数の制限のもとでのみ可能 であることを意味します(一律解禁ではありません):

  • ①候補者氏名等の表示制限(広告内に表示できる事項の限定)
  • ②政党広告と選挙運動広告の区別(政治活動目的か選挙運動目的かによる適用ルール差)
  • ③選挙運動期間内限定(告示日〜投票日前日の期間内)
  • ④広告主体・連絡先の明示等の表示義務
  • ⑤媒体ごとの法定回数・規格内(新聞広告等)

これらの制限のいずれかを欠くと違反となる場合があります。「条件」の中身は媒体・選挙の種類によって異なるため、出稿前に選挙管理委員会への確認が実務上重要です。

重要(部分解禁の核心): 有料広告は「全面解禁」ではありません。 インターネット選挙運動が解禁された 2013 年改正でも、有料インターネット広告は一般有権者には禁止のまま で、候補者・政党も「条件付き解禁」にとどまります。新聞広告・テレビ・ラジオ広告は媒体ごとに別系統の規制 を受けており、有料広告は媒体横断的に厳格な制限下にあります。

重要(媒体横断適用の核心): 規制は媒体を横断して同じ趣旨で適用 されます。「インターネットだけ」「新聞だけ」「テレビだけ」という分断的な規制ではなく、有料広告という資金力依存の媒体形態すべてに対して、媒体ごとに対応する制限が課せられている のが基本構造です。「ある媒体で禁止でも別媒体で代替できる」と考えるのは誤解で、有料広告として情報を拡散する手段全般 が対象となります。

※補足①: 「有料か無料か」が規制の最大の分岐点 です。同じ内容の投稿でも、無料の SNS 投稿は許容され、有料のプロモーション設定(ブースト・スポンサード投稿等)をすると違反となる場合 があります(第142条の6)。「内容が同じだから扱いも同じ」という理解は誤りで、広告費用の支払い の有無が重要な判断要素になります。

※補足②: 政党による有料広告でも「特定候補の当選を目的とする内容」は規制対象 になり得ます。「政党の広告なら候補者名を出しても大丈夫」という理解は誤りで、政治活動目的か選挙運動目的か によって判断が変わります。選挙が近い時期・特定候補名の強調・投票依頼の文言の有無等が総合的に判断されます。

※補足③: 選挙運動期間前から設定していた有料広告が選挙運動期間にまたがる場合も、期間中の部分について違反となる場合 があります。「告示前から始めていたから継続して大丈夫」という理解は誤りで、選挙運動期間の開始前に有料広告の設定を見直す必要 があります。SNS のブースト・プロモーション設定の自動継続にも注意が必要です(→ 後述の「特に注意:SNS のブースト・プロモーション機能」セクション参照)。

こんな方へ

  • 選挙運動期間中にインターネット広告を出してよいか確認したい
  • 候補者・政党・一般有権者で有料広告の規制がどう異なるか確認したい
  • SNS のブースト・プロモーション投稿が規制対象になるか確認したい
  • 新聞広告・テレビ広告で選挙運動を行う際の制限を確認したい
  • 政党の政治活動広告と選挙運動広告の境界を整理したい
  • 有料広告規制に違反した場合のリスクを知りたい

この記事でわかること

  • 全体俯瞰(核・構造・例外の 3 階層整理)
  • 有料広告規制の根本趣旨(資金力格差防止)
  • 有料インターネット広告の禁止と例外(公職選挙法第142条の6
  • 新聞広告の規制(第149条
  • テレビ・ラジオの政見放送と有料広告禁止(第150条第151条
  • SNS のブースト・プロモーションの扱い(独立警告セクション)
  • 政党の政治活動広告と選挙運動広告の境界(第201条の8関連・直感化マトリクス)
  • 違反した場合の罰則(拘禁刑一本化反映済み)

結論:選挙運動の有料広告は「媒体・主体・時期」の 3 軸で判定。一律禁止でも一律解禁でもなく、媒体・主体ごとに異なるルールが適用される

根拠条文:公職選挙法第142条の6(インターネット等を利用する方法による有料広告の禁止)

媒体候補者・政党一般有権者主な根拠条文
無料投稿(ウェブサイト・SNS)第142条の3
有料インターネット広告△(条件付き可・候補者は氏名等掲載のみ・政党は政治活動として)✕(禁止)第142条の6
SNS のブースト・プロモーション△(有料広告に該当する場合は同上の制限)✕(有料広告として禁止)第142条の6
新聞広告(選挙運動用)○(法定回数・規格内のみ)✕(禁止)第149条
テレビ・ラジオの有料広告✕(禁止)✕(禁止)第150条第151条の5
政見放送・経歴放送(公的枠)○(無料の公的放送枠のみ)第150条第151条
告示前の選挙運動目的の有料広告✕(事前運動として禁止)✕(同左)第129条

重要: 「有料か無料か」「媒体は何か」「主体は誰か」「時期はどこか」の 4 観点を必ず確認 してください。「インターネット選挙運動が解禁されたから有料広告も自由」「政党なら自由」「告示後だから自由」のいずれも誤りです。判断に迷う場合は選挙管理委員会への確認が実務上重要です。インターネット選挙運動全般は SNS と選挙運動の規制 を、時期判定の詳細は 告示前・告示後の違い を参照してください。

今すぐやること

  1. 広告の媒体を確認する(インターネット/新聞/テレビ・ラジオ)
  2. 主体を確認する(候補者・政党 vs 一般有権者・支援者)
  3. 時期を確認する(告示前/告示後/投票日当日)
  4. 「有料か無料か」を確認する(広告費用の支払いの有無 → 有料の場合は厳格な制限)
  5. SNS のブースト・プロモーション設定を確認する(選挙運動期間にまたがる場合は解除を検討)
  6. 判断に迷う場合は選挙管理委員会または専門家に確認する

判断フロー①:有料広告の主体・媒体・時期判定(公職選挙法第142条の6第149条第150条関連)

この有料広告は適法か?

主体の判定

  • 一般有権者・支援者原則禁止(媒体問わず)
  • 候補者本人条件付き可(媒体ごとに別ルール)
  • 政党・政治団体政治活動目的なら余地あり(選挙運動目的は別規制)

媒体の判定

  • 有料インターネット広告(検索広告・バナー・SNS プロモーション等)第142条の6
  • 新聞広告(選挙運動用)第149条
  • テレビ・ラジオ有料広告第151条の5(候補者・政党も禁止)
  • 政見放送・経歴放送(公的無料枠)第150条・第151条

※ 媒体・主体・時期の詳細・「条件付き可」の中身は直下の各セクションで解説します。

判断フロー②:政治活動広告 vs 選挙運動広告の境界判定(公職選挙法第201条の8関連)

この広告は「政治活動」か「選挙運動」か?

判定軸(直感化マトリクスは下記表参照)

  • 候補者名強調の有無 / 投票依頼文言の有無 / 選挙との時期接近性

政治活動として許容される可能性が高い

  • 政党の政策・理念訴求(特定候補の当選目的なし)
  • 政党のイメージ広告で代表者名・写真が出る程度
  • 党員・後援会員募集の広告

※ 「政治活動目的か選挙運動目的か」の区別は内容・時期・文脈の総合考慮によります。境界判断のマトリクスは下記「政治活動と選挙運動の境界(直感化マトリクス)」を参照してください。

政治活動と選挙運動の境界(直感化マトリクス)

政治活動寄りか選挙運動寄りかは「候補者名強調・投票依頼・選挙接近性」の 3 要素で総合判断されます。

要素政治活動寄り選挙運動寄り
候補者名・顔写真の強調度弱い(政党名・政策中心)強い(特定候補の名前・顔が中心)
投票依頼の文言なし(政策訴求・理念訴求のみ)あり(「投票を」「当選を」等の直接的な依頼)
選挙との時期接近性遠い(選挙が予定されていない/告示前で十分時間がある)近い(告示直前・選挙運動期間中・投票日近接)
媒体の選定通常の政治活動と同様の媒体選挙運動用に集中投下する媒体
拡散範囲・対象不特定多数への政策訴求特定の選挙区・有権者層への集中
広告主体の表示政党・政治団体名が中心候補者後援会・選挙対策本部名が中心

重要: 各要素は 総合判断 されます。1 つの要素だけで判定されることはなく、複数の要素を並べて見て 全体として「政治活動」か「選挙運動」か が判断されます。政党による広告であっても、選挙が近い時期に候補者名を強調し投票依頼を含めば、選挙運動と評価される可能性が高くなります。実務上、選挙が近づくにつれて政治活動から選挙運動への評価のシフトが起こる傾向 があります。

① 機能:2013 年改正と有料インターネット広告の規制

2013 年(平成 25 年)の公職選挙法改正でインターネット選挙運動が解禁されましたが、有料広告は例外として禁止が維持されました。

根拠条文:公職選挙法第142条の3第142条の6平成 25 年法律第 10 号・2013 年 5 月 26 日施行)

改正の概要

平成 25 年(2013 年)公職選挙法等の一部改正平成 25 年法律第 10 号・2013 年 5 月 26 日施行)により、インターネット選挙運動が部分的に解禁されました。

媒体・行為改正前改正後
ウェブサイト・SNS 投稿禁止解禁(候補者・有権者ともに可)
電子メール選挙運動禁止限定解禁(候補者・政党のみ可)
有料インターネット広告禁止限定解禁(候補者は氏名等掲載のみ・政党は政治活動として条件付き可・一般有権者は禁止)

なぜ有料広告だけ厳格に制限されているか(レベル 1 の核の根拠)

冒頭の 全体俯瞰【レベル 1】 で示した「資金力で選挙結果が決まることの防止」がここで具体化されます。有料広告は資金力によって情報の拡散範囲が決まる ため、候補者間の資金力格差が選挙結果に直接影響するリスクがあるとされています。選挙の公平性を保つため、有料広告については解禁対象から大幅に除外 されています。新聞・テレビ・ラジオの有料広告にも同様の趣旨で制限が及んでおり、媒体横断的に同じ規制趣旨が適用 されているのが構造的特徴です。

② 機能:禁止される「有料インターネット広告」の範囲

選挙運動を目的とした有料の広告手段はすべて規制対象となる可能性があります。

根拠条文:公職選挙法第142条の6第1項

規制対象となる有料広告の例

広告の種類具体例
検索連動型広告Google 広告・Yahoo! 広告等で候補者名・選挙関連キーワードで出稿する広告
バナー広告・ディスプレイ広告ウェブサイトに掲載されるバナー形式の広告
SNS プロモーション・ブーストX(旧 Twitter)・Facebook・Instagram 等の投稿をプロモーション設定して拡散させる
動画広告YouTube 等の動画広告として選挙運動の動画を流す
スポンサード投稿インフルエンサーへの報酬を伴う投稿依頼(選挙運動目的の場合)

注意: 「有料」かどうかの判断は、広告費用を支払うかどうかです。SNS の通常投稿・ウェブサイトへの掲載は有料広告ではないため、別の規制のもとで許容 される場合があります。詳細は SNS と選挙運動の規制 を参照してください。

③ 機能:候補者・政党・一般有権者それぞれの規制

有料インターネット広告規制は主体によって内容が異なります。

根拠条文:公職選挙法第142条の6

候補者(立候補予定者を含む)

候補者は 氏名・写真等を掲載した有料広告の出稿に制限 があります。選挙運動を目的とした有料インターネット広告について、候補者の氏名等を表示するための一定の制限 があり、自由に出稿できるわけではありません。さらに、選挙運動期間中だけでなく、選挙運動に当たる内容であれば告示前の有料広告も事前運動 として問題となる可能性があります。

一般有権者・支援者

候補者への支持を目的とした有料広告は 禁止 されています(第142条の6)。「応援したい候補者のために SNS の有料プロモーションを出す」「クラウドファンディングで集めた資金で広告を出す」という行為は、善意であっても違反となる可能性 があります。

政党・政治団体

政党は政治活動としての広告について一定の要件のもとで有料広告を出すことができる場合があります。ただし、特定の候補者の当選を目的とした広告は「選挙運動」として別の規制が適用 される場合があります。

重要: 政党等による有料広告であっても、特定候補者への投票依頼を主目的とする内容は規制対象 になり得ます。「政党の広告なら候補者名を出しても大丈夫」という判断は誤りです。境界判断の詳細は本記事の 「政治活動と選挙運動の境界(直感化マトリクス)」 を参照してください。

⚠ 特に注意:SNS のブースト・プロモーション機能(独立警告セクション)

SNS の投稿に料金を支払って拡散させる「ブースト・プロモーション」機能は、有料広告規制の対象となる可能性が高く、実務上最も事故が起こりやすい領域です。

なぜ独立警告するか

SNS の通常投稿は「無料・許容」、ブースト・プロモーション設定は「有料・制限あり」となるため、普段使い慣れた SNS の機能の中に、適法と違反の境界線が埋め込まれて います。設定を 1 タップ変えるだけで違反に転じる可能性 があるため、特別な注意が必要です。

具体的な注意点

SNS の機能選挙運動期間中の扱い
通常の投稿・リポスト候補者・有権者ともに許容されます(別の規制に注意)
プロモーション設定(X・Facebook 等)有料広告として禁止に該当する可能性が高い
インスタグラムの広告出稿有料広告として禁止に該当する可能性が高い
YouTube の広告配信有料広告として禁止に該当する可能性が高い
インフルエンサーへの報酬を伴う投稿依頼スポンサード投稿として有料広告に該当し得ます
TikTok 等の有料プロモーション同様に有料広告として禁止に該当する可能性

期間またぎ自動継続の罠

選挙運動期間前から設定していたプロモーション広告が選挙運動期間にまで継続している場合、期間中の部分について違反となる場合 があります。SNS の 自動継続設定月額プロモーション予算消化までの自動配信 等の機能は、告示日をまたいで動作する ため、選挙運動期間の開始前(告示日前)に必ず設定の見直し を行う必要があります。

チェックリスト

  • [ ] 告示日前に、運用している SNS アカウントの すべての有料プロモーション設定を確認 する
  • [ ] 選挙運動目的に該当し得る投稿のブーストを 解除する
  • [ ] 期間中に投稿する内容について、ブースト・プロモーション設定を行わない(無料投稿のみ)
  • [ ] 過去のブースト投稿が 継続配信されていないか を確認
  • [ ] 判断に迷う場合は 選挙管理委員会または専門家に確認

⑤ 機能:新聞広告の規制

選挙運動用の新聞広告は、候補者本人について法定回数・規格内のみ認められています。

根拠条文:公職選挙法第149条(新聞広告)

主な制限内容

  • 主体: 候補者本人のみ(一般有権者・支援者の選挙運動目的の新聞広告は禁止)
  • 回数: 選挙の種類によって法定回数が定められています
  • 規格: 寸法・記載事項に法律上の制限があります
  • 掲載媒体: 一般日刊新聞紙等に限られています

選挙公報との違い: 選挙公報(無償・公的)と選挙運動用新聞広告(有償・候補者負担)は別系統です。選挙公報は選挙管理委員会が発行する公的な情報媒体であり、すべての候補者が無料で掲載されます。

⑥ 機能:テレビ・ラジオ広告の規制(政見放送と有料広告禁止)

テレビ・ラジオによる選挙運動は、政見放送・経歴放送等の公的枠のみで、有料広告は禁止されています。

根拠条文:公職選挙法第150条(政見放送)・公職選挙法第151条(経歴放送)・公職選挙法第151条の5(テレビ・ラジオでの選挙運動の制限)

公的放送枠(無料・許容)

  • 政見放送: 候補者・政党が政策・主張を述べる放送(NHK・民放)
  • 経歴放送: 候補者の経歴を放送(NHK 等)

これらは 無料の公的枠 であり、放送回数・時間も法律で定められています。

有料広告(禁止)

選挙運動を目的とした 有料のテレビ・ラジオ広告(CM 枠を購入しての選挙運動広告)は禁止 されています。政党のイメージ広告(政治活動目的・特定候補の当選を目的としない)については、選挙期間中も一定の範囲で許容される場合がありますが、選挙運動目的の有料広告は厳格に制限されています。

⑦ 違反した場合のリスク

有料広告規制に違反した場合、刑事罰の対象となり得ます。令和 7 年(2025 年)6 月 1 日施行の刑法等改正により、従前の「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されています。

根拠条文:公職選挙法第142条の6第3項公職選挙法第243条

罰則

違反行為主な罰則根拠条文
有料インターネット広告の禁止違反2 年以下の拘禁刑または 50 万円以下の罰金第142条の6第243条
新聞広告の制限違反2 年以下の拘禁刑または 50 万円以下の罰金第149条第243条
テレビ・ラジオ有料広告の制限違反2 年以下の拘禁刑または 50 万円以下の罰金第151条の5第243条
事前運動(告示前の有料広告含む)1 年以下の拘禁刑または 30 万円以下の罰金第129条第239条

候補者への連座制の適用: 候補者の関係者(出納責任者・組織的選挙運動管理者等)が有料広告規制に違反した場合、連座制の適用によって候補者の当選が無効 となる場合があります(第251条の2)。連座制の詳細は 選挙違反になるケース を参照してください。

※拘禁刑一本化について: 令和 4 年(2022 年)法律第 67 号(刑法等の一部を改正する法律)により、令和 7 年(2025 年)6 月 1 日から従前の「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に統一されました。本記事の罰則記述は施行後の表記によります。

このテーマで使う条文一覧

条文法令区分内容
公職選挙法第129条公職選挙法周辺選挙運動期間(告示前の事前運動禁止)
公職選挙法第142条の3公職選挙法周辺ウェブサイト等を利用する方法による選挙運動の解禁
公職選挙法第142条の6公職選挙法中核インターネット等を利用する方法による有料広告の禁止
公職選挙法第149条公職選挙法中核新聞広告の規制
公職選挙法第150条公職選挙法中核政見放送
公職選挙法第151条公職選挙法中核経歴放送
公職選挙法第151条の5公職選挙法中核テレビ・ラジオでの選挙運動の制限
公職選挙法第201条の8公職選挙法周辺政党等の政治活動の規制(選挙期間中)
公職選挙法第243条公職選挙法周辺文書図画・広告関連違反の罰則
公職選挙法第251条の2公職選挙法周辺連座制(当選無効・立候補制限)

まとめ

  • 選挙運動目的の有料広告は 「媒体・主体・時期」の 3 軸 で適法性が判定されます
  • 有料広告規制の核心は「資金力で選挙結果が決まることの防止」(全体俯瞰【レベル 1】)です。媒体横断的に同じ趣旨で制限が及びます
  • 「条件付き可」とは①氏名等表示制限②政治活動と選挙運動の区別③期間内限定④表示義務⑤媒体ごとの法定規格 の制限のもとでのみ可能であることを意味します
  • 誤解されやすい 3 点:「ネット選挙解禁 ≠ 全面自由化」「無料投稿 OK ≠ 有料広告 OK」「政党広告 ≠ 選挙運動広告」(全体俯瞰【レベル 3】)
  • 有料インターネット広告は一般有権者には 禁止、候補者・政党は 条件付き でしか出稿できません(第142条の6
  • 「有料か無料か」が規制の最大の分岐点 です。同じ内容でも無料の SNS 投稿は許容され、有料のプロモーション設定は違反となる場合があります
  • SNS のブースト・プロモーション機能 は、選挙運動期間中の最大の事故ポイントであり、独立した警告セクションを設けています
  • 新聞広告は候補者本人について 法定回数・規格内のみ 認められます(第149条
  • テレビ・ラジオの有料広告は禁止 され、選挙運動は 政見放送・経歴放送等の公的枠(無料) に限られます(第150条第151条
  • 政党は政治活動としての広告が一定の範囲で許容されますが、「候補者名強調・投票依頼・選挙接近性」の 3 要素 によって選挙運動と評価される場合があります(直感化マトリクス参照)
  • 選挙運動期間前から設定していた広告が選挙運動期間にまたがる場合も、期間中の部分について違反となる場合があります
  • 違反は 2 年以下の拘禁刑または 50 万円以下の罰金 の対象になり得ます(拘禁刑一本化反映済み)
  • 判断が難しい場合は 選挙管理委員会または専門家への事前確認 を推奨します

有料広告規制の適用範囲は個別の事実関係によって異なります。具体的な広告の適法性については、選挙管理委員会または弁護士への確認をおすすめします。

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