08-03 · 許認可・行政 · 手続系(市場参入事前審査+営業中継続義務による流通履歴管理)

古物商許可の必要書類|申請手順・費用・許可が必要なケース

中古品(古物)の売買・交換を業として行う場合は、古物営業法に基づく古物商許可が必要とされます。古物商許可制度は、中古品市場において「誰が、誰から、何を取得し、誰に販売したか」を後から確認できる状態(流通履歴)を維持することを核心目的とし、市場参入時の事前審査と、営業中の本人確認・帳簿記載義務による流通履歴管理の二段構造で設計されています。これにより、不正取得品の流入防止と被害品の早期発見の両機能が担保されます。許可は都道府県公安委員会(警察署経由)に申請し、書類審査・欠格要件の確認を経て取得します。この記事では、必要書類・申請手順・費用・許可が必要なケースを条文とともに解説します。

中古品(古物)の売買・交換を業として行う場合は、古物営業法に基づく古物商許可が必要とされます。古物商許可制度は、中古品市場において「誰が、誰から、何を取得し、誰に販売したか」を後から確認できる状態(流通履歴)を維持することを核心目的とし、市場参入時の事前審査と、営業中の本人確認・帳簿記載義務による流通履歴管理の二段構造で設計されています。これにより、不正取得品の流入防止と被害品の早期発見の両機能が担保されます。許可は都道府県公安委員会(警察署経由)に申請し、書類審査・欠格要件の確認を経て取得します。この記事では、必要書類・申請手順・費用・許可が必要なケースを条文とともに解説します。

カテゴリ:許認可・行政 / 種別:手続系(市場参入事前審査+営業中継続義務による流通履歴管理)
関連条文:古物営業法第2条・第3条・第4条・第13条・第15条・第16条

本記事の主軸: 古物商許可制度を、核(市場参入時の事前審査・許可)→ 構造(営業中の継続義務・本人確認・帳簿記載)→ 例外(業として行わない不用品処分等) の 3 階層で整理し、中古品市場における「誰が、誰から、何を取得し、誰に販売したか」を後から確認できる状態(流通履歴)を、市場参入事前審査と営業中継続義務の二段構造で行政が管理する制度 として位置づける。

制度本質: 中古品市場における「誰が、誰から、何を取得し、誰に販売したか」を後から確認できる状態(流通履歴)を維持するため、市場参入時に事業者の身元・適格性を警察行政が事前審査し、営業中も本人確認・帳簿記載・標識掲示によって流通履歴を継続的に管理する。これにより不正取得品の流入防止と被害品の早期発見を同時に担う制度。

最短理解: 古物商許可は中古品を業として反復・継続的に売買・交換・委託販売する場合に必要。申請先は都道府県公安委員会(警察署経由)。許可後は本人確認・帳簿記載・標識掲示等の継続義務が課される。

こんな方へ

  • フリマアプリ・ネットオークションで中古品を継続的に売買したい
  • リサイクルショップ・質屋を開業したい
  • 古物商許可に必要な書類を一覧で確認したい
  • 個人・法人それぞれの申請書類の違いを知りたい
  • 欠格要件に該当しないか確認したい

この記事でわかること

  • 古物商許可が必要なケース・不要なケース
  • 申請に必要な書類の一覧(個人・法人別)
  • 申請先・申請手順・標準処理期間
  • 費用の目安
  • 欠格要件(許可を受けられないケース)
  • 古物の 13 区分
  • 許可取得後の継続義務(本人確認・帳簿記載等)
  • 2025 年 10 月施行規則改正(金属盗対策)の対応

結論:古物商許可は「都道府県公安委員会」に申請する。書類は個人・法人で異なる

古物商許可の申請は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に対して行います(実務上は警察署の生活安全課等の窓口に提出します)。申請書類は個人と法人で異なり、役員等の人数によって添付書類の数が変わります。

根拠条文:古物営業法第3条(許可の申請)

全体俯瞰:3 階層で整理

階層対象主要根拠条文守る制度価値
(事前審査)古物商許可(市場参入事前審査)第3条第4条市場参入適格性確保(不正主体の流入防止)
構造(営業中継続義務)本人確認・帳簿記載・標識掲示・不正品申告第15条第16条第12条流通履歴の管理(誰から取得・誰に販売したかの記録維持・被害品早期発見)
構造(行政監督)変更届出・営業所立入検査第7条第22条継続的監督
例外(業として行わない場合)自分の不用品の単発売却等第2条第2項業として行う場合の限定

行政関与方式(08001 v7 系)

古物商許可は 「事前審査(許可)+ 営業中の継続義務(本人確認・帳簿記載)」の二段構造 で設計されています。これは食品営業許可と HACCP の関係(08001 v7 で整理)と同型の制度設計です。事前審査は適格者の市場参入をフィルターし、継続義務は「誰が、誰から、何を取得し、誰に販売したか」の流通履歴を管理します。

今すぐやること

  1. 古物商許可が必要な取引に当たるか確認する(下記「判断フロー①」参照)
  2. 個人申請か法人申請かを確認する(書類が異なる)
  3. 管轄の警察署(生活安全課等)に事前相談する(都道府県によって書類・手続きが異なる場合があります)
  4. 欠格要件に該当しないか確認する(役員・管理者を含む)
  5. 書類の取得に要する期間を逆算してスケジュールを組む(住民票・身分証明書等の取得が必要)

判断フロー①:古物商許可は必要か(業として行うか軸)

この取引・事業は古物商許可が必要か?

許可が必要とされる

  • 中古品(古物)を反復・継続的に売買・交換・委託販売する古物商許可が必要とされます(古物営業法第3条)
  • フリマアプリ・ネットオークションで中古品を継続的に売買する業として行う場合は許可が必要とされます(仕入れて販売する・利益を目的とする場合など)
  • リサイクルショップ・質屋・古本屋・中古車販売等を営む許可が必要とされます

許可が不要と判断される場合がある

  • 自分が使っていた不用品を単発・一時的に売却する業として行わない場合は不要と判断される場合があります
  • 自分で製造した新品のみを販売する古物に該当しない場合は不要と判断される場合があります
  • 古物を売るのみの場合でも、委託販売・転売等の取引の態様によっては許可が必要と判断される場合があります。個別の事実関係に応じた判断が必要なため、警察署への確認が重要です

※ 「業として行う」かどうかは、反復継続性・営利性・不特定多数性(取引回数・仕入れの有無・販売形態などが考慮されます)の観点から実態で判断されます。フリマアプリ等での継続的な売買が許可が必要な行為に当たるかどうかは個別の事実関係によるため、管轄の警察署への事前確認を推奨します。

判断フロー②:どの書類が必要か(申請主体軸)

申請者は個人か法人か?

個人申請

  • 個人で古物商を営む個人申請。申請者本人の書類が必要

法人申請

  • 法人として古物商を営む法人申請。法人の書類+役員全員分の書類が必要
  • 役員が複数いる法人役員全員分の住民票・身分証明書等を揃える必要があります

※ 法人の場合、役員全員の書類が必要となるため、役員が多いほど準備に時間がかかります。

① 古物商許可が必要な「古物」とは

「古物」とは、一度使用された物品または使用されない物品で使用のために取引されたもの、もしくはこれらに幾分の手入れをしたものをいいます。

根拠条文:古物営業法第2条第1項(古物の定義)

新品であっても、一度流通に乗ったもの(消費者が購入した後に未使用のまま転売されるもの等)は古物に該当する場合があります。

古物の 13 区分

古物は以下の 13 種類に区分されており、取り扱う品目に応じて申請書に記載します。複数の区分を取り扱う場合は、すべての区分を記載します。

区分主な品目の例
美術品類絵画・書・彫刻・工芸品等
衣類洋服・着物・帽子等
時計・宝飾品類時計・指輪・ネックレス等
自動車自動車本体・タイヤ・カーナビ等
自動二輪車及び原動機付自転車バイク・原付・部品等
自転車類自転車本体・部品等
写真機類カメラ・レンズ・双眼鏡等
事務機器類パソコン・コピー機・電話機等
機械工具類電動工具・農機具・医療機器等
道具類家具・楽器・ゲーム機・スポーツ用品等
皮革・ゴム製品類カバン・靴・毛皮等
書籍本・雑誌等
金券類商品券・乗車券・収入印紙等

② 必要書類一覧(個人申請)

個人申請の場合、申請者本人と営業所の管理者に関する書類が必要です。

根拠条文:古物営業法第3条・古物営業法施行規則第1条の3(申請書類)

無許可で古物営業を行った場合、刑事罰の対象となります第31条3 年以下の拘禁刑又は 100 万円以下の罰金)。副業・兼業で中古品売買を始める場合も同様です。許可が必要かどうか判断が難しい場合は、営業開始前に管轄警察署への確認を強く推奨します。

注意: 必要書類は都道府県・管轄警察署によって異なる場合があります。以下は一般的な例であり、実際の申請前に管轄警察署で最新の必要書類リストを確認してください。

申請書類(個人)

書類内容・備考
古物商許可申請書警察署の書式を使用(都道府県ごとに異なる場合があります)
略歴書直近 5 年間の経歴を記載。警察署の書式を使用する場合があります
住民票の写し本籍地の記載があるもの(マイナンバー記載は不要)。発行から 3 か月以内
身分証明書本籍地の市区町村が発行するもの。後見登記がないこと等を証明(運転免許証等とは別物)
誓約書欠格要件に該当しない旨の誓約書。警察署の書式を使用
登記されていないことの証明書法務局が発行。成年後見等の登記がないことを証明

営業所に関する書類

書類内容・備考
営業所の平面図営業所の間取り・面積を示すもの
営業所の所在地を確認できる書類賃貸の場合は賃貸借契約書等。自己所有の場合は登記事項証明書等
URL の使用権限を疎明する資料インターネット取引を行う場合(第三者ドメインの場合は使用権限を示す書面等)

管理者が申請者本人以外の場合: 管理者についても略歴書・住民票・身分証明書・誓約書等が別途必要となる場合があります。

③ 必要書類一覧(法人申請)

法人申請の場合、法人の書類に加えて役員全員分の書類が必要とされます。

申請書類(法人)

書類内容・備考
古物商許可申請書法人用の書式を使用
定款の写し法人の事業目的に古物営業が含まれているか確認が必要
登記事項証明書法務局発行。発行から 3 か月以内
役員全員の略歴書役員ごとに作成
役員全員の住民票の写し本籍地記載のもの。役員全員分
役員全員の身分証明書市区町村発行のもの。役員全員分
役員全員の誓約書役員全員分
役員全員の登記されていないことの証明書役員全員分

定款の確認: 法人の定款(事業目的)に「古物営業」や「古物の売買」等の記載がない場合、定款変更が必要となることがあります。申請前に確認してください。

④ 欠格要件(市場参加排除事由)

欠格要件に該当する場合は許可を受けることができません。個人・法人の役員・管理者を含めて確認が必要です。

根拠条文:古物営業法第4条(許可の基準)

主な欠格要件(令和 7 年 6 月 1 日施行・拘禁刑一本化対応後)

欠格事由内容
破産者破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
拘禁刑以上の刑拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から 5 年を経過しない者第4条第2号
一定の罪による罰金刑古物営業法第31条に規定する罪、または刑法第 235 条(窃盗罪)・第 247 条(背任罪)・第 254 条(遺失物等横領罪)・第 256 条第 2 項(盗品等関与罪)に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から 5 年を経過しない者
暴力団員等暴力団員または暴力団員でなくなった日から 5 年を経過しない者
不正取消し不正の手段で許可を取得したとして許可を取り消されてから 5 年を経過しない者
心身の故障により業務を適正に行うことができない者国家公安委員会規則で定めるもの(令和元年改正により、従来の「成年被後見人・被保佐人」一律欠格条項は廃止され、個別審査方式に変更)
住所不定住所を有しない者
未成年者(一定の場合)法定代理人等が欠格要件に該当する場合等

重要: 個人申請の場合は申請者本人と管理者、法人申請の場合は役員全員と管理者について欠格要件の確認が必要です。

⑤ 申請の手順と期間

申請から許可証の交付まで、通常 40 日前後かかります。都道府県によって異なる場合があります。

根拠条文:古物営業法第3条第2項(許可証の交付)

手続きの流れ

① 管轄警察署(生活安全課等)への事前相談
    ↓
② 必要書類の取得・作成
   (住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書等は取得に日数が必要)
    ↓
③ 申請書類一式の提出(管轄警察署の窓口)
    ↓
④ 審査(標準処理期間:40 日前後)
    ↓
⑤ 許可証の交付
    ↓
⑥ 古物商標識(プレート)の掲示
   (営業所・ウェブサイト等に掲示義務あり)

費用の目安

項目金額
申請手数料19,000 円(都道府県によって異なる場合があります)
住民票の写し数百円(自治体による)
身分証明書数百円(自治体による)
登記されていないことの証明書300 円(法務局)
登記事項証明書(法人のみ)600 円(法務局)

⑥ 許可取得後の継続義務(流通履歴管理の中核)

古物商許可制度の本質は許可取得時点ではなく、営業中の継続義務にあります。これらは中古品市場における「誰が、誰から、何を取得し、誰に販売したか」を後から確認できる状態(流通履歴)を維持し、不正取得品の流入防止と被害品の早期発見を可能にするための義務です。

主な義務

義務根拠条文内容
本人確認義務第15条買い取り時に相手方の身元確認(本人確認)を行うこと
帳簿等への記載義務第16条古物の売買ごとに取引の相手方・品目・代金等を帳簿(電磁的記録も可)に記載すること
標識の掲示第12条営業所に古物商標識を掲示すること。インターネット取引を行う場合はウェブサイト等への URL 表示も必要
不正品の申告第15条第3項盗品等が疑われる古物を発見した場合の警察への申告
変更届出第7条氏名・住所・営業所等の変更が生じた場合の届出
管理者の選任第13条営業所ごとに業務責任者として管理者を 1 名選任

各義務の流通履歴管理機能

義務管理対象
本人確認古物が誰から取得されたか(取得元情報)
帳簿記載何を・いつ・いくらで取引したか(取引内容情報)
標識掲示誰が営業主体か(営業主体情報)
URL 表示オンライン営業の主体特定
不正品申告流通異常の検知

これらが組み合わさることで、後から取引経路全体を辿れる状態が確保されます。

2025 年 10 月施行規則改正(金属盗対策)

重要な最新改正: 令和 7 年(2025 年)10 月 1 日施行の古物営業法施行規則改正により、1 万円未満の取引でも本人確認・帳簿記載義務が免除されない品目が追加されました。

追加対象品目対応
エアコンディショナーの室外ユニット(室外機)取引価額にかかわらず本人確認・帳簿記載必須
電気温水機器のヒートポンプ同上
電線(銅線等)同上
その他、施行規則で定められた金属製品同上

これは深刻化する金属盗難事件(特に銅線等の金属窃盗)への対応として、少額に分割しての持ち込みによる規制回避を防止するものです。古物商はこれらの品目を扱う場合、価格にかかわらず必ず本人確認と帳簿記載を行う必要があります。これにより、規制回避を許さず流通履歴の管理を一定価額未満の領域まで延長する設計となっています。

違反時の罰則

違反罰則
無許可営業・名義貸し・不正取得・営業停止命令違反第31条3 年以下の拘禁刑又は 100 万円以下の罰金(併科可)
第14条第1項違反(営業所等以外での古物受取等)第32条:1 年以下の拘禁刑又は 50 万円以下の罰金
本人確認義務違反・帳簿記載義務違反等第33条:6 か月以下の拘禁刑又は 30 万円以下の罰金

※ 令和 7 年 6 月 1 日施行の拘禁刑一本化に対応済み。

注意: 古物商許可には法定の有効期間の定めがなく、免許の更新は不要ですが、廃業する場合には返納手続きが必要です。許可を取り消された場合は 5 年間再取得できません

このテーマで使う条文一覧

このテーマは以下の条文で構成されています。

条文法令区分内容
古物営業法第2条古物営業法中核「古物」「古物営業」の定義
古物営業法第3条古物営業法中核許可の申請・許可証の交付
古物営業法第4条古物営業法中核許可の基準(欠格要件・拘禁刑一本化対応済)
古物営業法第12条古物営業法周辺標識の掲示義務
古物営業法第13条古物営業法周辺管理者の選任義務
古物営業法第15条古物営業法中核本人確認義務・不正品申告義務
古物営業法第16条古物営業法中核帳簿等への記載義務
古物営業法第31条古物営業法周辺罰則(無許可営業等・拘禁刑一本化対応済)

まとめ

  • 古物商許可制度は中古品市場における「誰が、誰から、何を取得し、誰に販売したか」を後から確認できる状態(流通履歴)を維持することで、不正取得品の流入防止と被害品の早期発見を担う行政統制制度
  • 制度設計は事前審査(許可)+ 営業中の継続義務(本人確認・帳簿記載)の二段構造
  • 中古品の売買を業として反復・継続的に行う場合は古物商許可が必要
  • 申請先は主たる営業所を管轄する都道府県公安委員会(警察署の窓口経由)
  • 必要書類は個人と法人で異なり、法人の場合は役員全員分の書類が必要
  • 申請書類の中心は略歴書・住民票・身分証明書・誓約書・登記されていないことの証明書
  • 欠格要件は申請者本人・役員・管理者を含めて確認が必要
  • 欠格事由は令和 7 年 6 月 1 日施行の拘禁刑一本化に対応(「拘禁刑以上の刑」が基準)
  • 「成年被後見人・被保佐人」一律欠格条項は令和元年改正で廃止され、心身の故障による個別審査方式に変更
  • 審査期間は標準 40 日前後(都道府県によって異なる場合があります)
  • 申請手数料は 19,000 円程度
  • 許可取得後は標識の掲示・本人確認・帳簿記載・不正品申告等の継続義務(流通履歴管理の中核)
  • 2025 年 10 月施行規則改正により、室外機・ヒートポンプ・電線等の金属関連品目は 1 万円未満でも本人確認・帳簿記載必須(金属盗対策・流通履歴管理の少額領域への延長)
  • 無許可営業は 3 年以下の拘禁刑又は 100 万円以下の罰金第31条
  • 必要書類の詳細は都道府県によって異なるため、管轄警察署への事前相談を推奨

申請書類の作成や欠格要件の確認は個別事情によって対応が異なるため、管轄警察署への事前相談または古物商許可を専門とする行政書士への相談をおすすめします。

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