01-07 · 入門・リテラシー · 入門系

準用とは何か|「規定を準用する」の意味と読替えの読み方

準用とは、本来はその規定の適用対象ではない類似の場面に、必要な修正を加えて当てはめる立法技術です。準用規定はそれ自体にルールが書かれておらず、見落とすと適用される内容を読み飛ばすことになります。

条文を読むと「第○条の規定は、〜について準用する」という表現に出会います。「準用」とは、ある規定を類似の別の場面に必要な修正を加えて当てはめることです。準用規定を見落とすと、そこに適用されているルールの大半を読み飛ばすことになります。準用は民法・会社法・民事訴訟法・行政手続法等の主要法典で頻用される基本的な立法技術です。この記事では、準用の意味・読み方・読替え規定の仕組みを解説します。

カテゴリ:入門・リテラシー / 種別:入門系
関連条文:(本法)民法第559条・第620条・第652条・第656条・第939条

こんな方へ

  • 条文に「準用する」とあるがどう読めばよいかわからない
  • 準用元の条文をどう探せばよいか知りたい
  • 「この場合において〜と読み替えるものとする」の意味を知りたい
  • 「適用する」「例による」「〜にかかわらず」との違いを整理したい
  • 準用と「みなし規定」の違いを整理したい
  • 準用が含まれる条文を正確に読めるようになりたい

この記事でわかること

  • 準用とは何か(定義と立法上の役割)
  • 「〜の規定を準用する」の読み方(手順)
  • 読替え規定の仕組み(「〜とあるのは〜と読み替える」)
  • 「適用する」「例による」「〜にかかわらず」との違い
  • 「準用」と「みなし規定」の違い
  • 準用が頻用される主要法律(民法・会社法・民事訴訟法・行政手続法等)
  • JapanCodexで準用元の条文を確認する方法

結論:準用とは「別の規定を借りてきて、必要な修正を加えて当てはめること」

準用規定を見つけたら、次の2ステップで読みます。

Step 1:準用元の条文を探して読む
         「第○条の規定を準用する」→第○条を確認する

Step 2:読替え規定があれば、その指示どおりに文言を置き換えて読む
         「この場合において、〜とあるのは〜と読み替える」
         → 元の条文中の指定された語を読み替えた上で適用する

準用は立法の効率化のための技術です。同じような規定を繰り返し書かずに済むよう、すでに存在する規定を「借りてきて使う」ことができます。

根拠条文:(本法)民法第656条(準委任)

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

→ 「委任」の節の規定を「準委任」(法律行為でない事務の委託)に準用している。委任と準委任は似た関係にあるため、委任の規定をそのまま使えるようにする。

今すぐやること

  • 条文に「準用する」を見つけたら、必ず準用元の条文を確認する
  • 読替え規定があれば、その指示どおりに文言を置き換えてから読む
  • 準用規定は「本文ではルールが書かれていない」ことを示すサイン
  • 準用の連鎖(A条→B条→C条)がある場合は、最終的な準用元まで辿る

判断フロー①:この条文は準用規定か

条文に「準用する」という語があるか?

準用規定である

  • 「第○条の規定は、〜について準用する。」準用規定。準用元(第○条)を探して読む
  • 「第○条及び第○条の規定は、〜の場合について準用する。」複数条文の準用。それぞれを確認する
  • 「前条の規定を準用する。」直前の条文が準用元

準用規定ではない

  • 「第○条を適用する。」準用ではなく適用(直接当てはめる)
  • 「〜の例による。」準用に近いが異なる表現(後述)
  • 「〜の規定にかかわらず」準用ではなく適用排除(指定の規定が適用されないことを定める)
  • 「〜とみなす。」準用ではなくみなし規定(法律上の効果を確定的に擬制する)
  • 規定の本体が書かれている条文準用規定ではなく本則の規定

※補足:準用規定はそれ自体にルールの内容が書かれていない。準用元の条文を読まないと適用されるルールの内容がわからないため、必ず準用元を確認すること。

判断フロー②:準用元の条文をどう読むか

準用規定に「読替え」の指示があるか?

読替え規定がある場合

  • 「この場合において、〜とあるのは〜と読み替えるものとする。」読替え指示に従い、準用元の条文の指定された語を置き換えてから読む

読替え規定がない場合

  • 準用規定に読替えの記載がない準用元の条文をそのまま読む。ただし「必要な修正」は文脈から判断する

※補足:読替え規定がない場合でも、準用元の条文の語句が準用先の状況と合わない部分は、文脈に照らして解釈する必要がある場合がある。判断が難しい場合は専門家への相談が望ましい。

① 準用とは

準用とは、本来はその規定の適用対象ではない類似の場面に、必要な修正を加えて当てはめることです。条文の重複を避けるための立法技術として位置づけられます。

なぜ準用が使われるのか

法律の中には、互いに似た関係の制度が複数存在します。それぞれに同じ内容の規定を書き並べると、条文が冗長になり、改正時の手間も増えます。そこで「準用」という技術を使い、一方の規定を他方に当てはめることで、条文の重複を避けます。準用規定は条文の分量を減らす一方で読解の難易度を上げるため、意識的に辿る必要があります。

準用元の制度準用先の制度根拠条文
委任(法律行為の委託)準委任(事実行為の委託)(本法)民法第656条
売買売買以外の有償契約(交換・請負等)(本法)民法第559条
賃貸借の解除の効力(将来効)委任の解除(本法)民法第652条民法第620条を準用)

準用の基本構造

準用規定:「第○条の規定は、△△について準用する。」

↓ この規定が意味すること

第○条のルールは、△△にも適用される。
ただし、状況の違いから必要な修正を加えながら読む。

準用が頻用される主要法律

準用は以下のような主要法律で特に多用されます:

法律準用の典型例
民法売買→有償契約一般(第559条)、委任→準委任(第656条)、賃貸借→委任の解除(第652条による第620条準用)
会社法取締役会設置会社の規定を委員会等設置会社・特例有限会社等に準用
民事訴訟法通常訴訟の規定を少額訴訟・督促手続等に準用
行政手続法申請に対する処分の規定を行政指導等に準用
借地借家法借地借家関係の特別規定で民法の関連規定を準用

→ 会社法は準用が極めて多用される代表的法律であり、種類株式・委員会設置会社・特例有限会社等で取締役会等の規定を準用する構造が頻出します。

② 準用の読み方

準用規定を読む際は「準用元の条文を確認→読替えがあれば置換→当てはめ」の順で進めます。

具体例①:民法第559条(有償契約への売買規定の準用)

根拠条文:(本法)民法第559条(有償契約への準用)

この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

読み方の手順:

① 「この節」= 民法の売買に関する規定(第555条〜第585条等)
② 「売買以外の有償契約」= 交換・請負・賃貸借等
③ → 売買に関する規定が、交換等の有償契約にも準用される

例:売買における目的物の契約不適合に関する規定(第562条以下)
   → 請負契約等の有償契約にも準用して読む

→ 売買の規定を個別に交換・請負等の条文として再掲する必要がなくなる。

ただし書きによる準用の制限: 民法第559条には「ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない」というただし書きが置かれています。これは、準用先の有償契約の性質が売買と本質的に異なる場合は、準用が制限されることを示しています(ただし書きとは何かを参照)。準用は機械的に適用されるのではなく、「準用先の性質に照らして適切か」の判断を伴います。

改正経緯: 民法第559条の現行条文は、平成29年(2017年)改正により定められ、2020年(令和2年)4月1日に施行されました(売買契約の節の規定の見直しに伴う準用範囲の整理)。

具体例②:民法第652条(委任の解除の効力 - 賃貸借規定の準用)

根拠条文:(本法)民法第652条(委任の解除の効力)

第620条の規定は、委任について準用する。

→ 民法第620条(賃貸借の解除は将来に向かってのみ効力を生ずる)を、委任の解除に準用している。委任契約も賃貸借契約と同様に継続的契約の性質を持つため、解除の効力に関する規定を借りてきて使う。

準用元(民法第620条)の完全な引用:

根拠条文:(本法)民法第620条(賃貸借の解除の効力)

賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。

読み方の手順:

① 第652条で「第620条の規定は、委任について準用する」とある
② 第620条を確認する:「賃貸借の解除をした場合には、その解除は、
   将来に向かってのみその効力を生ずる。…」
③ 第652条が準用するので、「賃貸借の解除」を「委任の解除」に読み替えて適用
   → 委任の解除も将来効のみ(遡及効はない)
   → 解除をした場合でも損害賠償の請求は妨げられない(同様に準用される)

改正経緯: 民法第620条は、平成29年(2017年)改正により2020年(令和2年)4月1日施行で文言が整理され、改正前の「この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない」という表現が「この場合においては、損害賠償の請求を妨げない」に簡素化されました(解除と損害賠償請求が両立する点は改正前後で変わりません)。

③ 読替え規定

準用元の条文の語句が準用先の状況と合わない場合、「読替え規定」で文言を置き換えます。

読替え規定の形式

「第○条の規定は、〜について準用する。
この場合において、同条第1項中「【A】」とあるのは「【B】」と
読み替えるものとする。」

この規定が意味すること: → 第○条を準用する際、第○条第1項の「【A】」という語を「【B】」に置き換えて読む。

読替えが必要な理由

準用元の条文は、元々別の場面を想定して書かれています。そのまま準用先に当てはめると、語句がそぐわない場合があります。たとえば「売主」「買主」という語が、有償契約一般に準用する際には「契約当事者」と読み替える必要があるような場合です。

読替えの読み方(実践)

準用元の条文(仮):
「売主は、買主に目的物を引き渡さなければならない。」

読替え規定:
「この場合において、「売主」とあるのは「交換をする者」と、
「買主」とあるのは「交換の相手方」と読み替える。」

↓ 読替え後の読み方:
「交換をする者は、交換の相手方に目的物を引き渡さなければならない。」

読替え規定は、特に行政法規や手続法(民事訴訟法・行政手続法等)で多く見られます。複雑な読替えが含まれる準用規定の解釈は実務上も難易度が高く、判断が難しい場合は専門家への相談をおすすめします。

④「適用する」「準用する」「例による」「〜にかかわらず」「みなす」の違い

「適用する」「準用する」「例による」「〜にかかわらず」「みなす」は似ているようで意味が異なります。

表現意味修正の有無機能
適用する規定をその場面に直接当てはめるなし(そのまま当てはめる)規定の直接適用
準用する類似の別の場面に必要な修正を加えて当てはめるあり(読替え等)規定の応用的当てはめ
例による別の制度・規定を参考に処理する(準用より広い意味で使われる)状況による制度全体の参照
〜の規定にかかわらず指定の規定が適用されないこと(適用排除)を定める準用ではない適用の排除
〜とみなす法律上の効果を確定的に擬制する別条文の参照ではない法的効果の擬制

「適用」と「準用」の違いの例

適用:

「第○条の規定を適用する。」
→ 第○条がそのまま当該場面に適用される(修正なし)

準用:

「第○条の規定を準用する。」
→ 第○条を当該場面に「準じて」適用する(必要な修正あり)

「適用」は規定本来の対象場面への直接の当てはめ。「準用」は規定本来の対象でない類似の場面への応用的な当てはめです。

「例による」の扱い

「〜の例による」「〜に準ずる」という表現も、準用と類似した機能を持ちます。準用が条文単位での指定であるのに対し、「例による」は制度・手続全体を参照させる場合に使われることがあります。どちらの表現も、参照先を必ず確認することが重要です。

「〜にかかわらず」(適用排除)との違い

「第○条の規定にかかわらず」という表現は、指定された規定が適用されないことを定める「適用排除」規定です。準用とは逆方向の機能を持ちます。

(例)「第○条の規定にかかわらず、〜することができる。」
→ 第○条のルールはこの場面では適用されず、別のルールが優先される

準用と適用排除は、いずれも「他の条文を参照する」点では似ていますが、準用は他の条文を借りてきて使うのに対し、適用排除は他の条文を使わない(適用しない)ことを定める点で正反対の機能です。

「みなす」(みなし規定)との違い

「みなす」は、法律上の効果を確定的に擬制する規定です。別の条文を参照するのではなく、ある事実があれば一定の法的効果が確定的に発生することを定めます。

根拠条文:(本法)民法第939条(相続放棄の効果)

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

→ 相続放棄をした者は法律上「初めから相続人ではなかった」と確定的に扱われる(みなし規定)。「準用」ではなく「擬制」の規定。

「みなす」と「推定する」「とする」の違いについては、条文の読み方・構造の基礎を参照してください。

⑤ 準用の連鎖

準用先の条文がさらに別の条文を準用している場合、連鎖的に確認が必要です。

条文によっては「A条はB条を準用し、B条はC条を準用する」という連鎖が発生することがあります。

準用先の条文:「第B条の規定を準用する。」
↓
第B条:「第C条の規定を準用する。」
↓
最終的に第C条の内容まで確認する必要がある

準用が複数段階にわたる場合、それぞれの読替え規定がある場合は、各段階での読替えを積み重ねた上で内容を把握します。複雑な準用連鎖の解釈は実務上も難易度が高く、判断が難しい場合は専門家への相談をおすすめします。

準用連鎖が頻出する分野:

  • 会社法:種類株式・委員会等設置会社・特例有限会社等で会社法本体規定を準用
  • 行政手続法:申請手続の規定を行政指導・行政計画策定手続等に準用
  • 民事訴訟法:通常訴訟の規定を簡易訴訟・少額訴訟・督促手続・支払督促等に多段階準用

⑥ JapanCodexでの確認方法

JapanCodexでは準用元の条文へ直接ジャンプして確認できます。

準用元を辿る手順

  1. 準用規定を見つける(「準用する」という語を確認)
  2. 準用元の条文番号を確認する(「第○条」を特定)
  3. JapanCodexで該当条文へ移動する(条文リンクで直接アクセス)
  4. 読替え規定があれば、読替え後の内容で条文を読む

条文リンクの形式

JapanCodexでは、条文リンクは /law/{LawId}/#article-N 形式で提供されます。例えば:

条文リンク形式
民法第559条/law/129AC0000000089/#article-559
民法第620条/law/129AC0000000089/#article-620
民法第652条/law/129AC0000000089/#article-652
民法第656条/law/129AC0000000089/#article-656

準用規定は「本文にルールが書かれていない」ことを示すサインです。JapanCodexでは、準用元の条文と準用先の条文を並べて参照することができます。

このテーマで使う条文一覧

条文法令区分内容
(本法)第559条民法中核有償契約への売買規定の準用(準用の典型例・令和2年4月1日施行の改正で文言整理)
(本法)第620条民法中核賃貸借の解除の効力(将来効・損害賠償請求)— 第652条(委任)等の準用元、令和2年4月1日施行の改正で文言整理
(本法)第652条民法中核委任の解除の効力(第620条を準用 - 単純準用の例)
(本法)第656条民法中核準委任(委任の規定を事実行為の委託に準用)
(本法)第939条民法周辺相続放棄の効果(みなし規定の例・準用との対比)

まとめ

  • 準用とは、本来はその規定の適用対象ではない類似の場面に必要な修正を加えて規定を当てはめる立法技術
  • 準用は民法・会社法・民事訴訟法・行政手続法等の主要法典で頻用される基本構造
  • 「〜の規定を準用する」を見つけたら、必ず準用元の条文を確認する
  • 読替え規定(「〜とあるのは〜と読み替える」)がある場合は、指示どおりに文言を置き換えてから読む
  • 「適用する」は直接当てはめ・「準用する」は修正を加えて当てはめという点で異なる
  • 「〜にかかわらず」は適用排除(規定を使わない)であり、準用とは正反対の機能
  • 「みなす」は法律上の効果を確定的に擬制する規定であり、準用とは別の機能
  • 民法第559条のただし書き:「有償契約の性質がこれを許さないとき」は準用が制限される(令和2年4月1日施行の改正で文言整理)
  • 民法第620条は令和2年4月1日施行の改正で文言が整理された(解除と損害賠償請求が両立する点は変わらず)
  • 準用が連鎖する場合は各段階を順番に確認する必要がある(会社法・行政手続法・民事訴訟法等で頻出)
  • 準用規定はそれ自体にルールの内容が書かれておらず、読み飛ばすと適用されるルールを見落とす

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